2013年2月11日月曜日

787バッテリー炎上事故は、セルのショート

2013年2月12日追記: この記事は、外部ショートという前提で書いてますが、続報によるとそれは間違いだったかもしれません!内部ショートだったのかも...

アメリカの航空当局が、発火原因は、セルのショートによる加熱だという、今までよりもかなり踏み込んだ見解を発表したようです.
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130210/dst13021000170000-n1.htm

これで、過充電原因説は消えたわけですが、そりゃそうでしょう.バグった上位層の誤り指令が、4重のフェイルセーフをかいくぐってバッテリーまで到達するなんてレアケースを想定するのは、素人考えだったわけです.したがって、バッテリー発火の直前に多発したメカニカルなトラブルと、バッテリー発火の因果関係も否定されたと考えるのが妥当でしょう.

つまり発火原因は、フェイルセーフよりも下の階層、すなわちセル近傍で起きたことだったわけです.これはわたしの予想が当たりでした.

ただし、わたしが予想した、リチウム自身が自発的にオカルト的に発火したという説は否定されました.

この発表によって、GSユアサが気の毒な方向へ追い込まれつつあるのかというと、むしろ逆で、外部要因によってセルがショートせしめられ、その結果発火したと含意しているので、タレス社かboeingか関東航空計器社帰責でほぼ確定と思われます.

ただし、どうしてショートしちゃったの? という原因が解明されるかどうかは不明です.今後の成りゆきを予想すると次のどちらかです.

ケース1: ショートさせた原因が解明されず、窮余の策でリチウムを廃止しNiMHに設計変更される.787の運行停止が長期化する.

ケース2:: リチウムをショートさせた原因を特定でき、設計変更して787が再びリチウムで空を飛べる.787の運行停止は比較的短くて済む.

1週間ぐらい前のboeingへのインタビュー記事によると、boeingとしてはシナリオ2でいける自信がありそうな印象を受けているわたしです.たとえウソでもそう表明するしかないとも言えるでしょうが、、、

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というわけで、ショート原因は何なのか?が素人探偵の命題になったわけですので、考えてみますと、

シナリオ1:  整備士がフタを凹ませたからショートした説.さすがに事故った現物を見ればわかるだろうから可能性は0%.

シナリオ2:  BMU基板は各セルの電圧を監視しています.その基板がショートモード故障になって、バッテリーショートを引き起こしたという説.このケースでは、BMUを製造した関東航空計器の責任が問われます.しかし、ショート試験は当然やってるはずだし、ショートしたとしてもバッテリが過熱するより先にプリントパターンが焼き切れるので、この可能性は10%.

シナリオ3:  BMUのための電圧監視配線が振動で外れてブラブラになってショートした.締め付けはトルクレンチで管理されていると思うので、この可能性は20%.

シナリオ4:  セルの実装がギチギチなことに着目.整備士が筐体を凹ませたためにショートした説.ひら的にはこの説好きなんだよなぁ.この可能性は70%と強気に予想しておこう.
かしこ


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2 件のコメント:

  1. 産経(日本?)の記事は分かり難いですね。

    電池セルがショートしたとNTSBが報告しましたが、セルの外部でショートしたのではなくて、セルの内部がショートしたという報告でした。

    バッテリーケースの変形や放電はトラブルの結果生じたもので、原因ではない。

    とも報告されているようです。

    バッテリーケース内の温度は 260℃ 以上になったというから人命にかかわる大惨事にならなくて本当によかった。

    2つの事故原因が同じではない可能性もあるのでJTSBにもしっかり原因究明してもらいたいものです。

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    1. ほう、内部でショートですか.
      それは記事を読み損ねていました.
      しかしそれですとユアサがやばいですね.

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