2013年6月30日日曜日

ついに誤動作したか、オカマ衝突防止装置が急ブレーキでドカーン

衝突防止装置というとスバルのクルマのアイサイトが有名ですが、トヨタ車にも搭載されていたんですね.そのトヨタの衝突防止装置が誤動作するのでリコールしますってニュースは皆さんもよくご存知のことと思います.
このリコールの技術的内容はネットを探したけれど見つかりませんでした.トヨタの説明によると下図のように、すぐ隣を走っている車からのミリ波の反射は遅延時間が短いのであわや衝突寸前と判断してしまい、高速道路上で急ブレーキの末オカマを掘られる事故が何件か起きたそうで、オカマを掘った側は悪くもないのに悪役にさせられてすごく悔しい気持ちだろうと推察します.
この衝突防止装置の誤動作によって死亡事故が起きたりしたら、刑事責任はどこにあるんでしょうか? 目下のところたまたまオカマ事故だけで済んだからあまり問題視されてませんけど、かなり深刻なPL問題ではないかとわたしは思います.トンネル内で生じた急ブレーキのせいで後続車が玉突き衝突しトンネル火災になって死者が多数なんてことになっても、自動車メーカーはお咎めなしで、玉突きしたドライバーの運転技能の問題に帰されるとしたらそんなバカな話はありません.今般のトヨタのリコールに対して経産省から重視している等のコメントも出ないし、トヨタのファームウエアの変更点が具体的に何なのかの解説もニュースにならないし、そんなことでいいのでしょうか?   (自動車のリコールは経産省ではなくて国交省でしたorz)

というわけで、今回のトヨタのリコールでソフトウエアのどこが改造されるのかを果敢に予想してみました.

前者の距離を測定する衝突防止装置にとっては、隣車反射波は邪魔者ですので、隣車反射波をなるべく拾わないようにミリ波アンテナに鋭い指向性を持たせていると推測されます.その結果、下図のように前車には高感度、隣車には低感度という性能差を、アンテナの指向性で作りだしていると予想します.これは無線の混信防止のためにつかう基本的な手段です.
そういうアンテナシステムで、受信される電波は下図のようになったことでしょう.
①最初にレーダーの発する電波の漏れが巨大に受信されるはずです.
②次にすぐ隣を走行しているけれどアンテナの指向性のおかげで低感度な隣車反射波が観測されます.急ブレーキを踏むほど近いということで1mぐらいと仮定すると、往復2mを光が進む時間差は約7nSecぐらい経って到来します.
③前車反射波が高感度で観測されます.前車との距離は余裕でもないけど10mもあったとすると往復20mを光が進む時間差は70nSecぐらい経って到来します.
さて、衝突回避装置にとっては、隣車反射波なのか、前車反射波なのか、そんなことは知ったこっちゃありません.自分のすぐ近くからエコーが返ってきたらフルブレーキするのが衝突回避装置の存在理由です.
しかし、現実にそんな危ないクルマを出荷するほどトヨタもバカではありませんから、なんとかして隣車反射波なのか前車反射波なのかを区別できないかと知恵を絞るわけです.知恵を絞った結果、上図のようなしきい値を設けておき、しきい値未満なら無視するようにすればいいじゃないかと.ちなみにこのしきい値は、近くのエコーには大きく、遠くのエコーには小さく設定するように傾斜を持たせているとも推測されます.直線近似ではなく、逆2乗で設定されているんじゃないかな?

高速道路で数件起きた急ブレーキ事故のケースでは、このしきい値プロファイルが小さすぎてたか、アンテナが右か左に曲がってついてたかして、隣車反射波であるにもかかわらず前車反射波であると誤解する羽目に陥っていたのではないでしょうか?

そして、今般のトヨタのリコールでソフトウエアを修正するというのは、この『しきい値プロファイル』を上にずらすように変更するだけではないか? というのがわたしの予想です.その修正の結果、隣車反射波を確実にネグレクトすることができるようになるのです! とても安心ですね! さすがトヨタだ!

市場をスクリーニングに使うな!  >  トヨタ殿
マジメにやれ!   >   経産省殿    国交省殿

追記:
レーダー受信機をフロントの左右に配置して、オブジェクトの距離だけでなく角度の測定もできる仕組みも考えられるなぁとさっき首都高を走っていて思いました.このシステムならアンテナの指向性はむしろブロードの方が好ましいかと思います.でも、この仕組みだったらどうして隣車反射波で誤動作するんだと謎は深まりますが、、、
かしこ


人気ブログランキングへ

11 件のコメント:

  1. ソニーOB:佐藤2013年7月1日 1:14

    特許検索かけたら沢山出ないかなぁ。

    返信削除
    返信
    1. ここらへんのチャネル技術はわたしの専門なもんで、えへへ.
      しきい値のプロファイルなんか特許が出てるでしょうね.

      削除
  2. もう少しインテリジェントに判断しているように思います
    けどねえ。時速80キロで、いきなり反射波が衝突範囲内に
    出現したからと言ってブレーキをかけるのではなく、
    ひとつの反射波を時系列に捕捉していてそれが段々
    近づいて限界を超えたらブレーキをかけるくらいの
    仕様ではないかと、好意的に考えています。

    今度の事故は、隣車が偶然これに近い動きをしたので
    間違えたのではないかと。

    レーダーの指向性は、そう鋭くできないから、斜め前の
    車の反射波と、衝突の恐れのある同一車線上の車との
    区別もつけなきゃいけないし。考えてみると、
    結構難しいですね、フェイルセーフにするのは。

    返信削除
  3. 時系列解析、これは入念にやってるでしょうね.先週でしたか、トンビがフロントグリルに突き刺さった事件がありましたが、鳥が横切っただけでブレーキが反応しちゃシャレにならないですので.

    衝突防止装置の構成について何の知識もないわたしですので100%想像にすぎませんが、隣車反射波を除去するための第一関門としてアンテナ指向性を利用しているのではないかと想像した理由は、いまどきのメッキモールドの成形精度はミリ波のホーンアンテナを安価に調達できるくらいは朝飯前だと思うので、指向性を利用してるのではないかと思った次第です.

    あるいは、ご指摘のように、アンテナ指向性がアテにできないのなら、受信アンテナを車体前部の左右に配置して、オブジェクトの距離だけではなく角度も測定できるようにしているのかもしれないと、さっき首都高を走っていて思いました.

    ではでは.

    返信削除
  4. 衝突防止の一種、割り込み検知が誤動作したのですよ。

    返信削除
    返信
    1. ええと、これは高度なjokeと受け止めてよろしいですよね?w
      いや~、割り込みが誤動作する装置に乗ってするクルージングは素晴らしいスリルの得られる感動体験だなぁ.すごいや.GOODすぎる.命をかける値打ちがある.

      かつてテープストリーマの開発段階ですけど、割り込み処理のバグでモーターが暴走してテープがグチャグチャになる場面をたくさん目撃しました.

      そういえば、USAでの暴走事故の公聴会で、スピードアップする方向には2者一致(AND)の制限がかかっていると社長は述べていましたが、だとすると減速する方向にはバンバン減速がかかるんでしょうかねえ.

      削除
  5. 中年会社員A2013年7月1日 18:03

    車載機器はサイズ制限もあるだろうし
    ミリ波でもそんなにビームは絞れないと思います。

    新聞によれば
    「前車で散乱した電波を隣車で反射した」とのこと
    リアが丸まっている車種と、隣がタンクローリー
    だったら十分にありそう。

    ミリ波レーダーだけ、というのは少し無理筋か。
    カメラとの併用がベストなのかなあ。

    返信削除
    返信
    1. 前者→隣車ですか、それは複雑でどうなっちゃうんだろ?

      タンクローリーで鏡のようにピカピカなのがたまに走っていまして、太陽が映り込んでいるとあれが凹面鏡でなくてよかったよとしばしば思うわたしです.

      削除
  6. こんばんは 
    少し日本を離れている間にいろいろなことがあったようですね。
    サブミリ波ぐらいでも図のような指向性を得るのは相当広い開口がいるはずです。

    今のカメラは多彩な顔認識などもあるようで、ヒントにはなりますが、走行方向にのみ絞り、なんにでも当たっていけないという制限があると、非常に難しいでしょう。

    相手が車ですと受ける方も応答をすれば、更に確実になりますが、
    そこまで行くなら、目的地をセットするだけで、走行路をガイドする全体管理システムまで進んでしまわないと、もったいないですね。

    しかし価格は上がるし、事故は起こらずとなると保険システムも崩壊してしまいます。

    話は変わって、行き帰りに高速を走っていると国内では結構近距離で割り込んでくるので、マナーが出来ていないと思いました。
    (もし入って来て直ぐ急ブレーキを踏まれると避けられない状況でした)
    1つの原因は十分離してはいるのは捕まらないかという心配もあり、どうしても5mと離さず入ってくるようです。(金取り主義でないなら、追い越し時は少し離すまで目をつむってほしいですね)

    かの国では結構優しい運転で、距離的には近くとも深く切り込まないので、割りと避けやすく、事故も少ないようで、ほとんど見ませんでした。

    返信削除
    返信
    1. たしか台湾に行かれてたんでしたか?
      中国本土とはずいぶんと運転マナーが違うようですね.

      削除
  7. 急ブレーキで思い出したんですが40年近く前、信号無いに酔っぱらいがふらりと、
    前方車が急ブレーキ、大分離していたんですが、スローモーションのように吸い寄せられ、バンパーにコツンと当たりました、あちらはほとんど傷はなく、うちのフォグランプが割れました。
    私はついなんで交差点内で急停止するんだと怒鳴りますと、謝っていました。
    今考えると立場は逆だったんですけど、
    それと、ブレーキングの練習はしていくべきだと思いました。
    ブースターが付いて、車ごとに違うので、出発時後ろを確認しながらノンスリップ限界を確認、スリップしたら少しゆるめる、此はなかなか出来なくて、逆に踏み込んでしまいそうになります。
    最近はABSが付いていますが最高の人的操作よりは2mほど伸びるそうです。
    100k最短は空走無しで40mを切る位です。

    返信削除