2014年11月9日日曜日

【資源枯渇】 UKのウイスキーがもうボトラーズに回ってなくて

いまのNHKの朝ドラで放映しているのはニッカウヰスキーの竹鶴政孝の物語だそうで、ニッカウヰスキーがたくさん売れているとか.よろしいですね.サントリー「山崎」がウイスキーのベスト1位になったそうです.たくさん売れたらよろしいですね.

山崎1位については、「だから山崎はおいしいのだ」などと判断してはイケナイと思います.三菱パジェロがパリダカラリーで優勝したからといって、同じマシンを日本で買えるわけじゃないのと同じ理屈が山崎にも通用するのではないでしょうか?
目黒のウイスキーバー「マッシュタン」に行けば、もしかしたら優勝と同じロットの「山崎」をすげえ高価で呑ましてくれるのかもしれませんがなー. (汗)

ところでわたしは「山崎」のお世話になったコトはないし、なる気もありません.それはマズイからではなくて、コストパフォーマンスに難があるからです.おいしいウイスキーを求めてバーテンさんとあれこれ相談すると、「では山崎をオススメします」なんてコトにはならないですから.なぜかというと、もっと安価で山崎と同等の味わいのウイスキーか、もっと安価で山崎より美味なウイスキーを、一定以上の品揃えのあるバーでしたら在庫してますから.

ウイスキーを値段でカテゴライズすると、こんな感じかなぁ.

【Aランク】 高価で一生呑めなくても仕方ないボトル     仕入れ値で5万円~青天井
「XXX蒸留所が自信をもってお送りする全世界120本限定生産ビンテージボトルを、この度ジャパンインポートシステムでは日本のモルト愛好家の皆さまのために45本の割り当てを戴きました」などというFAXがバーに入るウイスキーで、こんなのをバーで呑むと一杯¥5000以上になってしまうと思われる.こういうボトルは水割りはお避け下さいますと幸甚に存じます.
優勝した「山崎」のボトルはここにカテゴライズされるであろう.

【Bランク】 ボトラーズのビンテージボトル           仕入れ値で3~10万円
ボトラーズとは、蒸留所から「樽買い」してそれをボトラーズブランドで販売する業者.蒸留所にとってみれば、年数が浅い時点で樽買いしてくれるボトラーズは熟成失敗リスクをヘッジする効用があるのだろう.ボトラーズのウイスキーは、値段が安いのはもちろんだが、味は何ら変わることはない.ゆえに、バーテンさんに「すげー美味しいウイスキーを呑みたくて、値段は少し高くていい」と言うと、たいていはボトラーズのウイスキーが出てくる.このランクだと一杯¥3000以上のお値段になる.
2000年代に目黒のegobarに入り浸っていた頃、リンクウッド、ファークラス、タムデューなどの44yoなんていうハイレベルのボトルを、一杯¥2000ぐらいで飲ましてもらっていたの.美味かったなんてもんじゃなかったわ.

【Cランク】 蒸留所ブランドの中年式ボトル      仕入れ値で1~2万円
たとえば、マッカラン蒸留所のボトルは、熟成年数によって全然値段が違います.
 25yo    ¥80000     →Aランクへ
 18yo    ¥18000     →Cランク
 12yo      ¥4000     →Eランクへ
マッカラン18yoは一杯¥1800ぐらいするんじゃないかな.

【Dランク】 ボトラーズの普通のボトル          仕入れ値で¥5000~2万円
10yo~22yoぐらいまでで、出回る数も多いし、安価でありながら当たれば美味しい、お客としても一杯¥1000ぐらいから楽しめるので有り難い.バーテンさんのお奨めに従って飲むべし、飲むべし.

【Eランク】 蒸留所ブランドの低年式ボトル       市販価格で¥3000~¥8000
酒の量販店でよく見かけます.熟成年数は10~14年ぐらい.値段は¥3800とかで買えるけれど、どれも美味いので家飲みならこのランクのボトルで十分です.
ところが山崎の12yoは¥8000ぐらいする.それで味は¥3800のボトルと大差ない.となれば、山崎に手を出す気にはならないんです.

【Fランク】 ブレンデッドウイスキー      市販価格で¥1000~¥1万円
複数の蒸留所から買った樽を「調合」して、味を作っているウイスキー.著名なウイスキーブランドの多くがブレンデッドウイスキーです.混ぜているので熟成年数の表示は”基本的に”ありません.中には12年などと謳う銘柄もありますけど若いウイスキーも混ざっています.
ブランド名は、オールド、角、シーバス、オールドパー、バランタイン、、、たくさん.
バーで一杯¥800ぐらいで飲めます.

※ブランド名が蒸留所なのかブレンド名なのか、それは知識を溜め込まないと判りません.

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さて、表題の「UKのウイスキーがもうボトラーズに回ってなくて」の件についてです.

最近、新橋に復活開業したとあるバーテンさんから聞いた話なんですが、
「最近はもう、ボトラーズが全然リリースしてないんです」
とのことです.だから買いたくても売られてないから買えない.

2000年代はボトラーズがたくさんリリースしていて、バーにFAXチラシが頻繁に送られてきてました.わたしはそのFAXを見せてもらって、次はこれとこれを買う予定とかバーテンさんに教えてもらっていました.今じゃそんなFAXが来てたのは遠い過去の出来事です.

現状、ボトラーズの在庫がないそうです.なんで在庫がないのかというと、蒸留所ブランドでバンバン売れるようになったから、ボトラーズに回さなくなったんじゃないかという推測です.

言うまでもなくUKはウイスキーの主要生産地です.だけどその供給能力はそんなに莫大ではなくて、様々な市場環境により左右されてしまう程度のものであるようです.例えば、世界のウイスキー需要が増えただけでボトラーズへ回す樽が払底してしまうなどというコトが起きてしまうくらいの供給量.その結果、日本の片隅で上のDランクのウイスキーを楽しむ機会が損なわれたりする.ましてBランクにおいておや.

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ウイスキー業界には1980年代に蒸留された製品は出来が悪くて不味いという説があります.その理由はなにか? なんとサントリーが原因かもしれない.当時の日本ではオールドとか角が飛ぶように売れていたため、オールドや角を生産するために、どんなにダサイ樽でもいいからUKで買い付けて日本へ運ぶという、札束で張り倒す行いがUKで繰り広げられていた.その結果、UKの蒸留所が品質に対する意欲を無くしてしまい、1980年代のウイスキーはダメになったという説.
その後、1990年代に入って蒸留所のやる気が戻って来て現在に至る.

20年前に樽詰めしたのを飲む酒ですから、急激な増産なんかできません.ウイスキー生産は微妙なバランスで成り立つ”生態系”のようです.

熟成樽のサプライチェーンもいろいろあるみたいですが書けるほどは知りません.

かしこ


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2 件のコメント:

  1. ウヰスキーと言えば地方で入手できるのは40%未満がほとんど、
    富士山麓とか他にも少しか・・これは正しいのか?

    さて、うちの部品箱が塵だらけに・・原因は掃除機のようだ。
    ダイソンに換えるしかないのか 以前のはフィルターが良いのか、
    もっと少なかったような・・

    キーSWの回答が来た、どこのメーカーでも同じという(タカタ化)
    一応納得しておいた、次の参考にするそうだが本当に大丈夫なのか?

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    1. 富士山麓はできればいただきたくありませんが、居酒屋でそれしか置いてないことがあります

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