制作者のやりたいことは判りました.映画ではよくあるダークな画面作りなので、これで「汚いからけしからん」と言われても制作者が気の毒ってもんでしょう.見るに堪えないほど前衛芸術してるわけでもないですし.
したがってこれは、視聴者の映像リテラシ不足の問題です.地デジ+液晶TVの鮮やかな画像に慣れた視聴者が、平清盛のダークな画像を観てその落差に惑っているということにすぎません.
左の写真をオリジナル画像として、平清盛の画像をシミュレーションしてみましょう.
液晶TVの節電モードで視聴しているケースでは、左のような画面を観ていることになります.液晶TVは黒を黒く表示するのが苦手なので結果的に黒い細部まで見えやすい設定になっています.トーンカーブは上のグラフのように黒を明るくした特性です.
古い液晶TVはみなこんな画像です.
液晶TVを鮮やかモードで視聴しているケースでは、こんなビカビカな画像を観ていることになります.やがてビカビカな画像に慣れてしまいます.
わたしはこういう画面が好きです.
ビカビカ画像に慣れた視聴者が平清盛を観ると、左のように見えます.白をサチらせて飛ばして、黒を暗く落とすと「平清盛」の画像に似せられるからです.
しかも、直前直後の番組がビカビカの鮮明画像なので、平清盛をみて余計に汚いと感じてしまします.これはけしからん画像ではなくて、通常の映像表現の範囲内だと思います.
このほかに気づくことは、ディザを加えてわざと荒らしてる気もします.御簾越しの画もしばしば撮ってます.通常の映像表現の範囲内です.
アニメSF映像オタク系のわたしから言わせてもらうと、ウルトラマンやウルトラセブンの名監督といわれる実相寺昭雄の映像なんか、下の写真ですよ! 手前の格子が邪魔でトンデモない画像ですけど、それこそが心地よいわけでして、とくに斬新なわけでもない平清盛の映像を汚くてけしからんなんつう意見なんか、映像リテラシの乏しいご老人の戯言と切り捨てるのが妥当というものでしょう.
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