マンガ 「フルーツバスケット」をまとめてみた （長文）

高屋奈月によるマンガ「フルーツバスケット」全２３巻は花とゆめに連載され、アニメ化もされてとても人気がありました．

アニメ版の全１３話では夾クンが化け物に変態してしまって、それでも透クンがめげなかったところまででおしまいでした．つまりマンガの６巻までがアニメ化されました．

一方マンガ版ではそれからまだまだストーリーが続きまして、最終的には全ての物の怪憑きが呪いから解放されます．奥さんがフルバ全23巻を所持していたものの、わたしは最後まで読了していなかったので、２０１２年の締めくくりとしてマンガ版を読み終えました．

フルバという作品は、親に捨てられた等のトラウマに悩んでいる青少年が「補完」される話といってよいでしょう．
悩める青少年達はぜんぶで１４人ぐらい登場します．彼らは「十二支の呪い」にかかっていて、異性と抱き合うと動物に変身してしまいます．「十二支の呪い」を受けた者を育てるのは大変なので、たいていの人が家庭崩壊したトラウマを抱えています．
親の愛情の少なさとは対照的に「十二支の呪い」を受けた者同士は、十二支の絆で強く結ばれています．
そんな特殊で偏った絆による呪縛に苦しんでいる１４名が、呪いから解放され、このままの自分でもよいのだと気づく、簡単にはそういう話です．というわけでまさに「補完」．

読後感としては、高屋奈月という作家は、設定で物語りを作る人だなぁと思いました．つまりさほどドラマチックでもなし、登場人物の行動が感動的でもありません．さしずめ韓流ドラマのように、ものすごく奇矯な設定なため、次回はどうなっちゃうんだろぅ？という興味で読み終えた、という印象でありました．まぁこんなもんかと．

以下は完全なるネタバレですので、フルバをまだ読んでなくてこれから読みたい人は目が潰れますのでご注意ください．

以下では、登場人物のトラウマとか相関関係を洗い出しました．年長者と思われる人物から順に書きます．年齢は最終回時点での推定です．   ----ひさんな人間関係です-----

草摩藉真の祖父   男  故人   猫憑き
・先代の猫憑きがこの人  （現在の猫憑きは草摩夾）
・猫憑きは幽閉されるので生涯結婚しなかったが、世話役の女性との間に子供をもうけた

本田透の祖父   男  ８０歳ぐらい
・本田透の父方の祖父
・実家で唯一透のことを気に掛けているものの、ボケているので透を追い出してしまってもオタオタとするだけ

草摩晶（そうまあきら）男  故人
・草摩家の先代の当主．草摩楝の夫．草摩慊人の父

・病弱で、慊人が幼少時に病死

草摩楝（そうまれん）女  ４５歳ぐらい
・引きこもりの狂人
・草摩晶の妻．草摩慊人の母
・先代の当主である草摩晶の世話役だったが、晶の寵愛を受けて正妻になった
・晶の死後に長女の草摩慊人が当主になり、十二支の絆の強さを主張する慊人と、晶の正妻である絆を主張する楝が仲違いをするようになった．その論争の中から、十二支の絆がそんなにスゴイのなら、十二支を束縛せずに自由にさせて戻ってくるかどうか試してみることになった．それで草摩紫呉の家での共同生活が始まったという経緯があった．裏で草摩紫呉が草摩楝に入れ知恵したのかもしれない．
・最終的に狂人のままフェードアウト

本田勝也（ほんだかつや）男  故人
・本田透の父
・教育実習先の中学校で今日子と知り合い結婚する
・若くして病死

本田今日子（ほんだきょうこ）女  故人
・本田透の母
・家庭を顧みない父、体裁を気にする母、それで不良になった
・教育実習生の本田勝也と知り合い、不良を卒業し、やがて結婚
・真鍋翔の彼女の小牧の父親の運転するクルマに跳ねられて死亡

←アニメOPより

草摩藉真（そうまかずま）男 ３０歳ぐらい
・道場の師匠．  師匠とか師範と呼ばれる
・幼少期に猫憑きであった祖父に冷たく接してしまったことを深く後悔している．罪滅ぼしのため、現在の猫憑きである夾を引き取って父親代わりになって育てた
・最終的に花島咲と結ばれる

草摩紫呉（そうましぐれ）男 ２７歳     犬憑き
・小説家
・草摩慊人に精神的に支配されている十二支の面々を解放するために、本田透を草摩家と関わらせた謀略家．しかし紫呉の個人的野望は、草摩慊人を奪い取るために草摩紅野と別れさせることであったろう
・草摩慊人と草摩楝とHしたことがある
・草摩依鈴を誘惑したのかもしれないが明確には描かれていない
・かつて繭子先生と交際していた
・最終的に草摩慊人と結ばれる

←担当編集者のみっちゃん

草摩はとり（そうまはとり）男  ２７歳   辰憑き
・医者であり、記憶を選択消去する技を持つ
・草摩佳菜の元彼氏
・佳菜の存在を草摩慊人に察知され、怒った慊人に片眼を失明させられる．それを悔やんだ佳菜が発狂し、回復させるために佳菜から「はとりの記憶」を消去するというつらい選択をしたのがトラウマ
・最終的に繭子先生と仲良くなる

草摩綾女（そうまあやめ）男 ２７歳   へび憑き
・コスプレショップ経営
・草摩由希の実兄
・子供が２人も物の怪憑きになったので、親は子供の面倒を見ずに遊んでいるが、綾女はそのことをあまり気にせずに育った
・最終的に倉前美音と結ばれる

草摩紅野（そうまくれの）男 ２６歳   鳥憑き

・彼が１８歳の時に、呪いが自然に解けた．呪いが解けた最初の事例となる
・草摩慊人のことを同情するので、呪いが解けても草摩慊人の恋人役を続ける
・最終的に魚谷ありさと結ばれる

倉前美音（くらまえみね）  女
・綾女のコスプレショップ店員
・最終的に草摩綾女と結ばれる

草摩佳菜（そうまかな）女
・草摩はとりの元彼女
・はとりが失明したことで発狂し、はとりにはとりとの思い出を消される
・繭子先生の友人
・別の男と結婚した

繭子先生（まゆこせんせい）女
・本田透の担任教師
・草摩佳菜の友人で、佳菜の記憶が消されたことを知っている
・かつて草摩紫呉と交際していた
・最終的に草摩はとりと仲良くなる

草摩利津（そうまりつ）男   猿憑き
・母親譲りの自虐的性格で、自分が悪いのです～と落ち込んでゆく
・外見は完全に女だが、それは女装してるだけ
・最終的に担当編集者のみっちゃんと仲良しになる

草摩慊人（そうまあきと）女   ２０歳ぐらい 神様

・引きこもりの狂人
・草摩晶と草摩楝の長女．母親の草摩楝と不仲

・十二支に君臨する神様．十二支の面々が自分に服従しないと暴力をふるう．とりわけ十二支男子が他の女子と恋愛をすると妬んで暴力をふるう．十二支男子と交際している十二支女子にも暴力をふるう

・最終的に、本田透の赦しパワーによって狂気が治癒し、十二支の呪いの解除を許可する

・最終的に草摩紫呉と結ばれる

草摩楽羅（そうまかぐら）女   猪憑き

・猪ゆえ、夾に猪突盲信のごとく猛然とアタックする．しかしその気持ちは猫憑きという化け物に対する同情であることを本人は承知している
・それゆえ、夾と透が結ばれるのを見ても自分は素直に身を引かざるを得ない
・最終的に独り身のままで終える

草摩由希（そうまゆき）男 高３     ねずみ憑き
・草摩綾女の実弟
・子供が２人も物の怪憑きになったので、親は子供の面倒を見ずに遊んでいるので、親の愛情を受けなかったことがトラウマになっている
・幼少期に、草摩慊人に幽閉されネガティブ思考の刷り込みを受けた．そのトラウマがまだ残っている
・品行方正な性格だが、本音の人づきあいができない影の薄い性格だというコンプレックスを持っている．反対な性格の夾のことがうらやましい
・最終的に、由希のコンプレックスを見抜いた倉伎真知と結ばれる．

←由希の母

草摩夾（そうまきょう）男 高３  猫憑き

・フルバの登場人物のうち最悪の呪いを受けている
・十二支にない猫憑きは、手首の数珠を外すとモンスターに変身してしまう．人でありながら人の生活が出来ない十二支の面々にとって猫憑きとは、猫憑きを蔑むことで平静を保つための哀れな道具である
・猫憑きゆえ、高校卒業後には幽閉されることが決まっている．夾は自分の人生は生まれたときに終わっていると考えているので、本田透を好きな気持ちを抑圧している
・母親は猫憑きの息子を恐れていた．そして自殺してしまう
・父親や親戚からは、夾が猫憑きだから母が自殺したのだと陰に陽に非難されている．後に母の自殺原因は父親だと判明する
・本田今日子が交通事故で死んだ現場に偶然居合わせ、事故る直前の今日子を救えるポジションにいたのだが、猫に変身してしまうことを恐れて救わず、見殺しにしたと深く悔いている
・最終的に本田透と結ばれる

←獣化第二形態

←夾の父

本田透（ほんだとおる）女  高３

・主人公
・万人に赦しを与える存在．その赦しによって草摩慊人の狂気すら治癒させてしまう
・幼少期、フルーツバスケットというゲームで「透はおにぎり役」に指名されたが、それは透を仲間外れにするイジメだったというのが「フルーツバスケット」の名前の直接の由来．十二支の中に透という一般人が一人混ざっているという情況を「フルーツバスケット」に喩えてもいると思われる
・幼少期に父親が病死し、悲しむ母親にネグレクトされたので、母親の気を惹くために父親の口調を真似たのが固定した
・母親が事故死し、行き場のない透は父の実家に引き取られたが、実家から疎まれ追い出されてしまい、テント暮らしをしているところを草摩に保護され草摩紫呉の家で暮らすようになった

魚谷ありさ（うおたにありさ）女 高３
・本田透の親友
・母親は他の男とデキて逃亡．父は酒乱．それで不良になった
・本田今日子を見習って更正した
・最終的に草摩紅野と結ばれる

花島咲（はなじまさき）女 高３
・本田透の親友
・人の心を読む・操作する超能力を持つので魔女呼ばわりされ不幸な幼少期を送る
・本田透の赦しパワーにより、超能力を制御できるようになった
・最終的に師匠と仲良くなる

真鍋翔（まなべかける）男 高３
・生徒会役員
・倉伎真知の異母兄
・厳しい跡継ぎ教育を受けるも途中で解脱した
・小牧の恋人

小牧（こまき）女
・翔の恋人
・本田今日子をひき殺した事故のドライバーはこの娘の父親．父親も事故死

倉伎真知（くらぎまち）女 高２
・真鍋翔の異母妹
・厳しい跡継ぎ教育のため完璧さ恐怖症と対人恐怖症になってしまった
・草摩由希のダークな心を見抜いた
・最終的に草摩由希と結ばれる

桜木直人（さくらぎなおひと）男 高２
生徒会の役員．脇役．

藤堂公（とうどうきみ）女  高２
生徒会の役員．脇役．

草摩潑春（そうまはつはる）男  高２  牛憑き
・十二支の中で牛はバカにされているのが彼のコンプレックス
・一貫して草摩依鈴を好いているが、依鈴の行動が理解できず困惑する
・最終的に草摩依鈴と結ばれる

草摩依鈴（そうまいすず）女  高２  馬憑き
・物の怪憑きゆえに家庭が崩壊した
・草摩潑春とつきあっていたが、怒った草摩慊人に重傷を負わされる
・それ以来、草摩潑春と疎遠にして、呪いを解く方法を探索するが失敗に終わる
・最終的に草摩潑春と結ばれる

草摩紅葉（そうまもみじ）男 高２  うさぎ憑き

・家族と別居している．うさぎ憑きの子が生まれたので母親が発狂してしまい、治療のため母親の記憶を消去したからである
・本田透のことが好きだが、最終的に独り身で終わる．

←紅葉の実母

草摩杞紗（そうまきさ）女  中学生   寅憑き
・母親から拒絶されているのがトラウマ
・草摩燈路と仲がよいので草摩慊人の暴力で全治二週間の傷を負う
・クラスでいじめられて、失語症になった
・赦しを与えてくれる本田透になついている
・最終的に草摩燈路と結ばれる

←杞紗の母親

草摩燈路（そうまひろ）男  中学生  羊憑き

・ガキ
・親から拒絶されることなく、家庭環境はフツー
・草摩杞紗のことが大好き
・杞紗を護りたいが、いくら大人ぶっても所詮子供なのでなにもできない．草摩杞紗と距離を置くことで草摩慊人の暴力に再び火がつかないようにしている
・杞紗がなついている本田透に八つ当たりする
・最終的に草摩杞紗と結ばれる

いやはや、まともな経歴の登場人物が基本的におらなんだ、というのがフルバの醍醐味にて．

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