以下はネタバレレポートですので、これから観るひとは決して読まないでください!
15歳の高校生と27歳の少し人生にいきづまった女性のラブストーリー.
あらすじと感想
主人公は高校生になったばかりの秋月孝雄(CV入野自由).時間設定は5月末なので高校生になってまだ2ヶ月しか経ってません.タカオは靴ヲタクで、靴を作る職人になるのが夢.雨降りの日の午前は学校をサボって靴づくりの構想を練るのが彼の日課?になっている.
謎の女性雪野由香里(CV花澤香菜).タカオが授業をサボって行く新宿御苑のベンチには、いつも仕事をサボっている彼女がいて、チョコをツマミにビールを飲んでいる.
去り際に「雨が降ればまた逢えるかしら」という意味の万葉集の短歌を言い残していったユキノ.タカオにはその短歌の意味がわからなかったが季節はやがて梅雨入りし、御苑で会う機会も増えていった.ユキノは自分のことはちっともしゃべらないが、「わたしはここで歩く訓練をしているの」とだけ語った.タカオが靴を作りたがっていることを知り、タカオに足の採寸をさせる.タカオは「あの人がたくさん歩きたくなるような靴を作ろうと決めた」
ここら辺の、女子の足にひざまづく男子というシーンは”足フェチ”にはたまらんシーンだろうなぁと思って観ていましたが、わたしは足フェチじゃないのでまぁ普通にやり過ごしましたw.
ちなみに、すでに御苑のロケ地を写真に撮ったひともいるようです.まさにココですね~.
物語の中盤でユキノの背景事情が明かされる.ユキノは味覚障害でビールとチョコぐらいしか味がわからなくなっていたのだった.職場には不倫の元カレがいて、ユキノに優しい言葉をかけてくれ心配もしてくれるし相談にも乗ってくれるが、いつも親切なだけで自分はいつも置いてけぼり、と寂しいユキノであった.
梅雨が明けたせいで雨天の逢瀬は少なくなっていったが二人の気持ちはより近づいていった.やがて夏休みが明け、中途退職のために久しぶりに出勤してきた3年生担当の古典教師、それがユキノの正体だと知ったタカオ.3年生による教師イジメで心身を壊わして退職するのがその真相.雨の御苑にいたのは逃避のため.イジメの主犯女子を殴りに行ったタカオであったが取り巻きの男子にあっさりと逆襲される.
退職して気分が楽になったユキノは、タカオを家に招き、味覚が戻ってきたことを二人で祝った.食後のコーヒーを飲みながらタカオは言う、「僕は、たぶんユキノさんのことが好きなんだと思う」.するとユキノの返事は、「ユキノ”センセイ”でしょ.それにあたし、高知へ帰ることにしたの」...タカオは「僕、帰ります」といってそそくさと帰っていった.そりゃぁそんだけキツいこと言われたら帰るしかないわなぁ.... タカオを追い帰した形のユキノであったが、部屋に一人残されてボロボロと泣いてしまう.
やっぱりタカオを追いかけなくちゃ、と決心したユキノは靴も履かずにマンションの非常階段を倒けつ転びつ駆け降りる.数階下の踊り場にタカオがたたずんでいた.ここが物語のクライマックス.ひら予想では、ここまでの展開が氷室冴子っぽく感情を抑えた”平熱感覚”な流れだったので、タカオが作った靴をここで出してお別れ、となるのかなぁと思ったのですが、意外にも激アツな展開に....
タカオが抑えられない感情を爆発させて一気に言う、「ああ、オレもあんたの事が嫌いさ! あんたは最初から教え子だと判っていたんだろ.教師だって知ってたら靴を作るなんて言わなかったさ.人のハナシばかり聞いて自分のことは何も語らないで、あんたは一生ずっとそうやって、大事なコトバを絶対言わないで、自分は関係ないって顔してずっと一人で生きていくんだ!」 こんな風に感情をぶつけて欲しかったのだとわかって泣きじゃくっているユキノはタカオの胸に飛び込んでゆく、、、、
この予想外のクライマックスは良かったなぁ.入野自由のCVもすっごく良かった.わたしの個人的趣向ですけれども、映画っていうのはこんな風に激情が溢れて止まらなくなるラストシーンをドカーンと描ければそれだけでもう充分なのさ.
「秒速5センチメートル」は3作品のそれぞれに見所がありましたけど、「言の葉の庭」の見所はこのクライマックスシーンに全て集約されている、そう思いました.
アニメ技術
新海作品のリアルタッチな背景はこの作品でもいつもどおり.下の場面は新宿御苑から新宿駅方面へ少し歩いた甲州街道の風景かと思われます.映画館バルト9の対面あたり.
ただし今作では、秒速5センチの背景のような空気が澄明でコントラストが強い背景ではありません.雨の描写が多いことがその理由なのかもしれません.
雨のシーンが演出上どれだけ重要だったかというと、あまりそうは思えませんでしたが、水の処理テクニックにはいくつか印象に残るシーンがありました.水面に反射した背景のテクスチャを、水滴の波面で揺らすのがよかったです.それと、雨粒を一つ一つ描いたシーンがセールスポイントだそうです.
鉛筆で絵を描くシーンで、鉛筆の描線が紙面に落ちるアニメはどうやって作ったのかわかりませんでした.こんなことできるんだーと思ったです.
雨の御苑のシーンで、顔に緑色の照り返しをつけています.周囲の木々からの反射光なのでしょうけれど、これは果たして効果的だったんでしょうか? 緑色ってのは扱いが難しい色のように思われ、微妙な印象でした.
声優入野自由と花澤香菜を主人公に起用するとは、旬の声優さんをガッツリと使いましたねというのが第一印象.入野自由といえば、「謎の彼女X」の椿クンですから、ユキノ役には吉谷彩子をキャストしてくで~と切望いたしました.
入野自由の声はタカオにマッチしていたと思います.とくにクライマックスの激情溢れる演技はよかったよかった.
花澤香菜の声質は、27歳の女性にはチト幼すぎたかと思われます.なにせ天使(Angel Beats!)ですからねぇ.
BD発売
劇場で先行販売中です.一般販売は6月21日からです.劇場へ行って買おうかな.いやamazonの値引きを待つとするか?
追記6月8日: amazonで本作品のDISKが売り上げランク1位になってます.ほほ~っ.わたしはそれに貢献している者のうちの一人.早く来ないかなぁ.
追記6月27日: その後書いた関連記事でございます.
ステレオサウンド社にて「言の葉の庭」を超高級ホームシアターで体験視聴
アニメ「言の葉の庭」感動ラストのBGMはいずこに?
アニメ「言の葉の庭」 電車の車窓の場所を特定
アニメ「言の葉の庭」 ラストをリピートで2時間視聴
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かしこ
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