2014年1月9日木曜日

【フリエネ】 テスラと無線電力伝送とスカラー波の意外な関係

今日のフリエネ話は、カルト成分がほとんど含まれませんで、ほぼ正統科学の範囲の話になります.

アメリカで電力会社ができはじめた頃、エジソンが直流電力伝送を、テスラが交流電力伝送を主張し、エジソンが政治力で勝ってテスラを叩きのめしたが、その後テスラの交流電力伝送が主流になった、という話を知っている人は多いと思います.これは正統科学の話です.
←テスラさん
↓その後、マッドサイエンチストなテスラは、地球を電磁的共鳴体にして、地球から電力を取り出すシステムを作るべく、巨大なアンテナを建造しようとしましたが資金難で断念したと言われます.これを「世界システム」というのだそうな.このマッシュルームのような巨大アンテナが「世界システム」のアンテナだそうです.これはカルト成分濃度の高い話です.
↓話は変わって比較的最近、MITが無線電力伝送を発明したというニュースがあり、電気エンジニアには割と知られていると思います.この写真がそのデモ場面で、左のコイルから人を挟んで右のコイルに60Wもの電力を無線伝送しています.コイルの中央にいる人が人体発火したりはしないらしい.これは正統科学の話です.
じつは、テスラの「世界システム」と、MITの無線電力伝送は、同じ原理を使っていて、ゆえに「世界システム」は世の中で思われているほどカルト話ではないかもという話を以下でします.(私の個人的解釈ですので誤解があるかもですが)

↓以下では電磁波が発生する様子を数式で表します.正統科学の教科書で「理論電磁気学」という本から引用した数式で説明します.
↓電波はアンテナから発せられるのが通常ですが、数式を解くのを簡単にするために、振動する電気双極子から発生する電磁波を考えます.電気双極子というのは、+と-の電荷が隣り合って並んでいる仮想的物体のことです.磁石の静電気版みたいなものだと思えばいいでしょう.
↓数式に登場する変数やベクトルをこの図のように決めます.下にある±qの電荷が電気双極子で、ぷるぷると振動していると思ってください.電気双極子の距離ベクトルをdとします.双極子モーメントp=qdと定義します.ベクトルxの先っぽで観測される電界E1と磁界B1を数式で求めるのが目的になります.ベクトルn0はベクトルxの単位ベクトルです.
↓結論の一部を先取りして道草をすると、上図のE1もB1も電磁波の進行方向n0に直交しています.電磁波はよくこういう図で示されますが、電界と磁界が進行方向に直交している横波だっていうハナシと同じことです.
↓さて、導出過程は全部すっとばして、「理論電磁気学」から結果だけ抜き出すとE1とB1はこうなります.電界E1と磁界B1が双極子モーメントpと位置xで表されています.pの上に点が1つついているのはpの速度です.pの上に点が2つついてるのはpの加速度です.
このE1とB1を、pと、pの速度と、pの加速度に分けてみますと、あら不思議、面白いことが判ってきます.

(0) pから成る電磁波成分
これは磁界がゼロなので電磁波とは言えず、電気双極子から到来する”静電場”と同じです.とはいえ、これこそがスカラー波のことらしいです.(たぶん)   こんな風に、正統科学の枠内からスカラー波がひょっこりと顔を出すとは驚きです.
残念ながら、磁界がゼロだから電磁波として飛ばすことは出来ないはずなのでスカラー波を実現したとはいえないのが正統科学の残念なところです.ただし、軽くカルト風味を混ぜて考えてみると、媒質を自由空間ではなくて層構造の誘電体にするとかなんとか(根拠はない)工夫をすることでスカラー波に磁界成分を生じせしめることができたりしないかと、わたしは思うことがあります.ま、カルト話ですがね~

(1) pの速度から成る電磁波成分
この成分は、距離rの2乗に反比例しています.つまり、距離が離れると急速に弱体化する電磁波です.そんな変な電磁波もあるんです.そしてこの電磁波こそが、テスラの世界システムが利用するはずだった特殊な電磁波らしい.そしてMITの無線電力伝送が利用している特殊な電磁波.それだけではなく、近接光記録で利用されるエバネッセント光もこの特殊な電磁波だそうです.
こんな変な電磁波が、正統科学の枠内から導出され、実用化されているんです.ただ一般に知られていないだけです.MITの無線電力伝送がこの原理を使うと知った時は興奮しました.MITのこの写真は、たぶん周波数が30MHzぐらいです.すると電磁波の波長は10mです.写真の無線伝送距離は2mぐらいでしょうか? 波長が10mの電磁波を2mの距離で使うという「極端な近接性」が、この変な電磁波で無線電力伝送できてしまう条件なんです.
テスラは地球の電磁振動から電力を取り出そうとしました.地球という巨大な電気双極子を仮定するならばその振動周波数はかなり低いと思われます.なので、「世界システム」のアンテナがあんなに巨大なのだろう、という推測ぐらいはしても罰は当たりますまい.

(2) pの加速度成分から成る電磁波成分
この成分は、距離rに反比例しています.つまりExBで求められる電磁波のエネルギーが距離rの2乗に反比例して減衰します.これが、テレビや携帯で使われている、遠くまで届く普通の電磁波です.

電磁波っていうのは意外と恣意的なものだ
以上の(0)(1)(2)の結果を知ると、電磁波というのは意外に恣意的なものだと思いませんか? 我々が普段利用している電磁波は、ラジオでも携帯でもWiFiでも電子レンジでも(2)の電磁波だけであって、厳密には存在している(1)のことは無視しています.
もう少し難しく言うならば、マクスウェル方程式という根源理論に、電磁波が発生・伝搬する空間の性質(例えば真空とか)を適切にモデリングして代入して、遠くまでエネルギーが届く成分を残したのが我々の知る電磁波だと言えます.なので、真空じゃなくて、なにかおかしな媒質を仮定してやれば、スカラー波なんていうトンデモな電磁波が本当に発生するの”かも”しれません.ま、カルト話ですがね~.

マクスウェル方程式は変えられない
先日書いた記事で、第3の起電力があるという説は苦しいと思います.マクスウェル方程式は根源的すぎるので、この4本の式に、第3の起電力の項を付け足すのは、難しかろう.それにひきかえ、恣意性がたっぷりある電磁波導出には、恣意的な修正をする余地は残っているかもと思います.

というわけで、意外にも正統科学とカルトに接点があるものよのう、と思って楽しんでいただけたら幸いです.

かしこ


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7 件のコメント:

  1. 以前 大電力高周波発振機 の所に居たことがあり、
    小型卓上テーブル型の機械を納入前にあんパンを加熱しようと、
    やってみますと、ポンとアンが飛び出したことがあります。
    おちゃらけは置いておいて、
    納入時の試験でシールドルーム(当時は27Mと40Mが開かれていました)でチューニングダイヤルを回すと、アンマッチの時は足がお湯につかったような熱を感じ、マッチングが取れると、不要輻射が減って平気になります、
    それでも、折れ尺(木)の先にネオン管を付けた簡易検知器で強電界の所がないか探したりしました。
    それまではずっとアルミバケツのようなキャビテイレゾネータを使っていましたが、
    ある時注文先から、リダイン社のコピーをもう一台と頼まれ、開けてみますと交差型のバリコンのようなキャパシタとワンターンプレートリングのタンク回路でした。
    スペーサにジュラコンを使うとそこで放電したので、パイレックスに換えました。
    しかし後年そこの親父さんは白血病のような症状になりましたし、小生は、脊椎症になりました。
    この様なことは短時間では判断できません。(1wを超えると危険と判断するようにしています)

    さてテスラの交流はカナダかニューヨークのナイアガラで単相(4相かも)だったと思うんですが、逆スコットトランスで3相に変換され、大電力が遠くまで送れるようになりました。
    しかし現代ではSiC半導体の発達で超高圧か簡単に処理でき、この場合のロスは抵抗損だけで、交流のように波長節点や電磁誘導、静電誘導のロスがないので近年見直されています。
    抵抗損で落ちたら、昇圧インバータで上げて送るので、ロスが半分以下になり、東南アジアからの水力を送電しても元が取れるようになったんですが(机上計算)国内の東西派や原電派の抵抗があって実現はおぼつかない状態です。
    東西の変換所には基本技術が使われています。

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    1. え~~アンマッチでポカポカするとは、かなり労災認定な笑えない仕事ですね(笑)

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    2. 近年は直流電力伝送も見直されつつあるそうですね.ケーブルがケミカルに劣化するのは解決出来たのかしら?

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    3. 超高圧 直流送電 で検索すると少し出てきました。

      中でも「100年の時を経て、改めて注目される直流送電」なんてのも有ります。
      最大の問題点は、ゼロになる瞬間がないので、事故の時の遮断が難しく、
      以前は、交流に直したりしながら遮断していました。
      最近はよい半導体が出来て、楽になったみたいです。

      実際に運用したり此から始めるところもあるようです。
      北本連系
      紀伊水道直流連系
      ちょっと違うが
      佐久間周波数変換所
      新信濃変電所
      東清水変電所

      南福光連系所
      海外でも相当進化しているようで
      HVDCの利点は、損失は1,000km当たり約3%と見積もられる、と言うことらしいです。
      ケーブルは MI ケーブルかOF ケーブル、すなわち油浸絶縁ケーブル が主流のようで、
      或いは、固体絶縁体を用いた. XLPEケーブルが,低電圧階級から超高電圧階級に、
      まだ此からも発展するでしょう。

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    4. 1000kmで3%ってすごい低損失です.えらいHVDC

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  2. 東西の変換所の中は 高圧DCです。

    電磁場に縦波が起こりえないことが、ガウスの法則で解明される。

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  3. 波長が10mの電磁波を2mの距離で使う 此は密結合ですね。
    受け側にタンク的特性が有れば、電磁力は全方向的で更に中心が強く、殆ど逃がさず吸収できます。
    しかし間にいる人の電力密度は2w程度でしょうか、そうでないと焦熱感をが有ります。

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