親父が失踪した （４） 総括

伊勢原で後始末業務をいくつかやって、昨夜中目黒へ戻った．ただただ疲れた．

まずは新たに判明した事実から．

失踪時の親父が唯一持っていたPASMOの利用履歴を伊勢原駅の券売機で確認したところ、伊勢原駅の改札内へ入ったことがわかった．ただし改札から出た記録は無し．強行突破したのだろう．ボケると記憶が先祖がえりするというから、海老名市に住んでいた当時の自宅へ帰ろうとしたのかもしれない．徘徊老人のするコトはやはり想像を超えている．

保護された時には立位困難・歩行困難だったが、翌日にはひょこひょこと歩けるぐらいには回復した．寒さと疲労で一時的に歩行困難になっていたのだと思われる．

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今般の失踪を総括したい．想定内、想定外を考えてみる．

親父のボケボケは原因だったとしても想定内であった．

想定外だったのは、母が元気過ぎることだ．一人でよく頑張っていると近所の住人から聞いたが、それは確かにそう思う．

失踪状況を詳細に分析すると次のような事情が透けて見える．

大病院で診察２時間待ち、会計１時間待ち、それに加えてバス移動、イトーヨーカドーで買い物、というハードな連れ回しが親父の知能をダウンさせた．TAXIを使い、イトーヨーカドーで買い物をしなければ失踪は起きなかったはずだ．

病院３時間攻撃を喰らってもイトーヨーカドーへ行った事情とは何だったのか？ここに問題の根源がある．さすがに行方不明は今回が初ではあったものの、かねてより親父を一人で留守番させるのには不安があったのは事実．それゆえ、母が伊勢原市街地まで気軽に買い物に行くのがままならぬ状況に陥っており、通院のついでにイトーヨーカドーで買い物をする羽目になった．それが父親の知能をダウンさせた背景事情だった．

買い物すらままならぬこの状況はすでに詰んでいる．

だが、失踪事件を経てもなお母は「まぁなんとかなるわ」と言っている．それは「がんばり屋でエライ」のか？ そうではないと思われる．「これは詰んでいるわ」とか「さすがにもう対処不能だわ」とか「誰かの助けが必要」とか、そういうネガティブ発想をする神経回路が母には無いのである．過剰なまでに元気なのだ．これこそが想定外の中心部であり、放置できないのは此処だ．

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翌日、かかりつけ医に検診してもらったが治療は特になかった．徘徊しちゃったんですか、では東海大学病院の神経内科を紹介します、と医者に言われて月曜日にまたわたしは伊勢原へ行く．MRIとかやられちゃうと思われる．そしてまた大病院３時間攻撃に遭うのだろう．

かかりつけ医の後、地域包括センターという老人介護窓口を父母を連れて訪問．想定外に元気な母は介護サービスを利用するコトなんぞ微塵も考えてないので、強制連行したのである．老人二人暮らしで詰んでいるから買い物留守番やデイサービスを頼みたいと申請書を提出．後日行われる要介護認定面接等にはわたしも立ち会うつもりだ．警察沙汰になったくらいなので、何らかのサポートを受けられると思う．

親父を連れ回すのはそれくらいにして帰宅．

子供に持たせていたauのGPSケータイを没収し、親父の発信機として持たせることにした．

トイレに手摺を取り付けた．

続報はまた．

かしこ

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