今回は同LED懐中電灯の回路がどうなっているのかを知りたくて、完膚なきまでに分解しました.再度組むつもりだったのですが、回路を焼損してしまったため、死亡してしまいました.
↓中華通販ではCREE XML-T6と表記されることの多い外観のLED懐中電灯ですが、わたしが入手したのはパチもんです.
それでは分解してみます.
↓電池の出し入れはお尻の部分を外して行います.お尻の部品にはスイッチのみが在り、LEDドライバ回路は無いようです.回路は何処にあるんだろう?
↓LEDはこのように見えます.ネジ構造で外せるようになっています.
↓ネジでバラせるのはここまでです.
↓LEDモジュールはこのようにポロリと外れます.
↓そして筒の中を覗くと、奥に回路が入っているんですね.
末尾の5は5modeを表し、末尾の3は3modeを表しているようです.
3modeとは、明→暗→点滅の3種類の発光パターンを意味します.
5modeとは、明→中→暗→点滅→SOSの5種類の発光パターンを意味します.
わたしがこうして分解している理由はこのmodeにあります.modeなんか不要なんです.いつも最大輝度で光ればいいわけで、SOSなんか誰が使うかっつうの.電源を入れるとピカピカ点滅なんかしてくれたって有り難味はないですから.常時遭難してませんから.
USのサイトには同じ悩みを持ち、単純なON/OFF動作に改造したい人達の会話があります.そのスレッドのタイトルは「Trying to remove strobe mode from LED」ですからそのものですね.こういう変態達の層の厚さはUSならではと云えるでしょう.
ところでこのYN-20-5の写真を見て、変な感じがしませんか?
・1つだけ在る半導体がどうして3端子なんだ?
・5modeの制御はこの半導体が司っているはずだ
・出力にコイルもコンデンサも無いのでスイッチング回路ではなく、アナログ定電流回路なのか? →オシロで波形観測してスイッチング電源でないことを確認した
↓プリントパターンから推測される回路はこうなりました.う~ん、、、なんじゃこりゃ?
アナログ電源だという前提で、0.25Ωの意味はなんでしょうか? 考えられるのは2つ.
1)電流制限抵抗
2)電流検出抵抗
1)電流制限抵抗という説は考えにくいです.電流制限を抵抗でやるならば半導体はただのON/OFF素子と考えられ、LEDのVf=3V、リチウム電池=3.7Vと仮定すると、(3.7-3.0)÷0.25=2.8Aも流れてしまうからです.前回の実測値で約0.65Aだと判っているので辻褄が合いません.
2)電流検出抵抗と考えたいところですが、0.25Ωの両端に発生する電圧は160mVぐらいです(@0.65A).その一方で、LEDのVfは2.7~3.2Vぐらいの振れ幅がありますかねぇ? だとすると、LED Vfのバラツキに翻弄されて電流検出精度がコケてしまいます.
↓電流検出抵抗を実装するにはこんな回路にするのが通常です.これならLED Vfと0.25Ωの両端電圧を区別できますから.しかし4端子の半導体になってしまいます.
そんなわけで、YN-20-5の回路はよくわかりません.0.25Ωの存在理由もいまいち不明です.
↓そういう時は半導体の型名で追うのがベターです.HL6E1という文字が見えます.しかしこの番号で検索してもヒットしませんでした.lot numberなのでしょう.
digikeyで、3端子で1Aぐらい流せるLEDドライバを検索したけど、該当する製品は存在せずでした.どうやらこの謎のLEDドライバは仕様非公開なICであるようです.
↓仕方ないので謎のLEDドライバの内部構造を想像してみたのが赤枠のところ.LED端子電圧が0.54Vになる定電圧源なのではないかという苦しい仮説です.(これだとVbがマイナスなのはさておく)
↓前回測定した電池電流の時間推移がこれです.これを見ると定電流駆動できている気がほとんどしません.謎のLEDドライバのグラグラな性能ゆえこうなっているのではないかと、今にして思います.
謎のLEDドライバの仕様調査は、以上で手詰まりとなりました.
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5modeの輝度可変についての考察です.
輝度可変のために、上の回路のベースをon/offさせる回路が内蔵されていると想像します.輝度可変の様子をチェックするためにLED両端電圧を観測しました.
↓まずは中輝度のときです.268Hzで断続され、duty=50%です.off時に0VにならないのはHi-Zゆえの現象なので気にする必要はありません.
↓次に低輝度のときは、duty=25%です.
↓最後に最高輝度のときは、duty=100%です.
これらの波形に、10kHz~1MHz程度のスイッチング波形は観測されなかったので、このLEDドライバはアナログ電源だと考えられます.
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5modeをcyclicに切り替えるカラクリについての考察です.
YN-20-5に、Cと1MΩが載っています.Cだけなら電源パスコンかな?と思うところですが、なぜか1MΩがついていますから、何らかの時定数を形成していると推察されます.C=1uFと仮定すると、時定数は約1秒です.
mode切り替えは、電源スイッチをカチカチとoff/onして行います.電源の断続行為ですからcyclicな切り替えは本来不可能です.そこで、短時間の電源断なら記憶喪失にならないようにこの時定数が電源ラインに付属していると考えられます.
ならば、この時定数を外してしまえば、cyclicなmode遷移が遂行されなくなり、常に5modeの初期設定で起動するようになるのではないか? そして同初期設定が最高輝度であれば、単純なON/OFFで使いたいという所期の目的が達成されると予想されます.
それを実際に試してみました、、、、と言いたいところなのですが、半田づけしていじってるときに半導体パッケージが焼ける匂いがして、詰んでしまいました.
ひとまず、我に続く人柱諸氏の健闘に期待することとしよう.
今宵はここまでにしておきたく思います.
エイメン
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