ステッピングモーターにスラスト荷重をかけてはいけないという反省はその一つでした.
いまのわたしが直面しているのは、、、エンドミルの半径分だけ削りが太くなってしまう問題です.このissueをCNC業界では「工具径補正(tool radius compensation)」と呼ぶのだそうです.用語すら知らないので検索に苦労しました.
これまでにCNCデータを生成するための各種ソフトを使ってきて、工具径補正はどのソフトがやってくれるのだろうか?という疑問を抱きつつ、その疑問を後回しにして進んできましたが、そろそろ工具径補正について考えなくちゃいけなくなりました.
【工具径補正をしないと生じる問題】
↓CADのデザインはこのような筆記体のHiraという文字だとします.この黒い部分を削って凹にしたいのが要求です.
↓外形線のみを表示させるとこんな感じです.inkscapeでTEXTをpathに変換して、Fillを消して、strokeを描くとこうなります.
↓inkscapeのextensionのgcodetoolsのArea機能で塗り潰すとこうなります.さらにgcodetoolsでGRBLを生成し、CNCフライスに送信しますと、この線上をエンドミルがtraceすることになります.
↓1.5mm径のエンドミルで実際に削ってみたのがこれです.削って凹になったところを黒塗りしてあります.線をエンドミルでなぞったため半径(0.75mm)だけ太くなってしまいました.太くて潰れてダメだこりゃ.
対策としては、エンドミル径をすごく細くするか、文字を巨大にするか、、、どちらにせよ限度があります.以上が工具径補正をしないと生じる問題の概要です.
【試行---CAD図を細くしてみた】
太くなってしまって困るのですから、工具径だけ外形線を細くすりゃいいはずです.とてもかったるい作業ですけど、手作業で外形線を消して、必要な箇所にはベジェ曲線を追記しました.細い文字に描き直したわけです.
↓これをCNCで削ったのがこちら.エンドミルは1.5mmです.今度は筆記体っぽく見えるようになりました.方向性としては正解です.
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上の操作は工具径補正を手動でやったわけです.ワークが円や長方形ならば手動でCAD図を描き直す作業でもやればできるかもしれません.しかし筆記体のような複雑形状を細く描き直すのはやってられんです.
CNC業界の人は工具補正をどうやっているのだろう? 門外漢でパープリンなわたしにはCNC業界の常識が判りません.
【GRBLに工具径補正機能があるのか?】
ここでGRBLとは、GRBL言語仕様のことです.
GRBL言語に工具径補正機能があります.
コマンド名のG41とG42がそれです.経路の右を逃げるか、経路の左を逃げるかの違いです.
【Arduino GRBLはG41,G42をサポートしているか?】
ここでGRBLとはArduinoのfirmware仕様のことです.
Arduino GRBL firmwareにはG41,G42は無いんです.
いまのわたしが使っているArduino firmwareはgrbl0.9です.当連載8回目で触れました.
最新のgrblは1.1だそうです.grbl0.9もgrbl1.1も、G41,G42をサポートしてない模様.
紛らわしいのは、G40はサポートされているんです.しかしG40の意味は「工具径補正をキャンセルする」ですから、工具径補正はサポートされていないのが実情です.
【どうしよう?】
困ってしまいますよねぇ.
工具径補正した図を描き直すのは勘弁してもらいたいです.
NCVCというsoftware toolが自動的に工具径補正をやってくれる”らしい”ので、NCVCを味見してみようと思っているんです.
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かしこ
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