2020年2月27日木曜日

【回路】電撃トランジスタ講座(小信号アンプ設計)(22) ノコギリ波発生器

前回は電流源を説明した.

電流源を応用するとノコギリ波を発生させることができる.OPAMPでやるのももちろん可能だし、その方が高精度なノコギリ波を作れるけど、ここでは飽くまでトランジスタの一気通貫だぁ!

ノコギリ波というのはこういう波形のこと.ノコギリだ.
今は亡きCRTの水平走査信号(15.75kHz)はモロにこういう波形だった.
現在でもモータドライバのPWM変換にノコギリ波あるいは三角波が使われる.D級アンプもな.

回路はこれ.
赤囲いの部分は、240uAの定電流源だ.C1にチャージするようになっている.
右側にあるQ1は、C1のチャージを間歇的に放電させるスイッチの役目.
V2はC1のチャージを放電させるtimingを生成している.100Hz

↓V2の働きを説明する.
V2の周期は100Hzである.
1mSだけHighになる.9mSはLowである.
実際の回路ではタイマIC 555でも使えばいいだろう.
Q1の働きを説明する.
V2で駆動されるQ1は、1mSだけONになる.9msはOFFだ.
Q1がONになるということは、C1のチャージをご破算にする意味がある.
ご破算されたC1は、0Vを起点に240uAでチビチビとチャージされる.チャージは9ms間続く.
その後にはまたご破算にされる無間地獄がC1には待っている.


C1=0.68uFに240uAで9mSのチャージがされたら何が起きるのか?

コンデンサにはお馴染みの Q=CV の関係がある.

また、Q=It でもある.電荷は電流を何秒流したかを意味する.

これらから It = CV の関係を得る.V = It/C = I/C * t と変形すると、
    V = 定数 * t
つまり、コンデンサC1の電圧は時間にリニアに上昇する
電圧がリニアに上昇するとは、ノコギリ波の電圧リニア上昇の部分を意味しているのである.
V = It/C の関係式に各パラメータをブチ込んでみよう.
      V = 240uA * 9mS / 0.68uF = 3.176 V
この3.176Vというのは、三角波の振幅約3Vを指している.

ゆえに、ノコギリ波の振幅を大きくしたければ、C1を小さくすればよい.(R2を小さくでもOK)
周波数を変えたければ、V2の周波数を変えればよい.


ノコギリ波発生回路なんかローテクだと思うかもしれないが、時間を電圧に変換する用途であるとか、またその逆では今でも使われている.もっとも今ではanalog ICの内部回路だけどね.

もちろんdigital信号処理回路やDSPで数値演算的に同様の処理をすることもできる.

幅広い知識でもって難局を乗り越えていきましょう!

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かしこ

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