電流源を応用するとノコギリ波を発生させることができる.OPAMPでやるのももちろん可能だし、その方が高精度なノコギリ波を作れるけど、ここでは飽くまでトランジスタの一気通貫だぁ!
ノコギリ波というのはこういう波形のこと.ノコギリだ.
今は亡きCRTの水平走査信号(15.75kHz)はモロにこういう波形だった.
現在でもモータドライバのPWM変換にノコギリ波あるいは三角波が使われる.D級アンプもな.
回路はこれ.
赤囲いの部分は、240uAの定電流源だ.C1にチャージするようになっている.
右側にあるQ1は、C1のチャージを間歇的に放電させるスイッチの役目.
V2はC1のチャージを放電させるtimingを生成している.100Hz
↓V2の働きを説明する.
V2の周期は100Hzである.
1mSだけHighになる.9mSはLowである.
実際の回路ではタイマIC 555でも使えばいいだろう.
Q1の働きを説明する.
V2で駆動されるQ1は、1mSだけONになる.9msはOFFだ.
Q1がONになるということは、C1のチャージをご破算にする意味がある.
ご破算されたC1は、0Vを起点に240uAでチビチビとチャージされる.チャージは9ms間続く.
その後にはまたご破算にされる無間地獄がC1には待っている.
C1=0.68uFに240uAで9mSのチャージがされたら何が起きるのか?
コンデンサにはお馴染みの Q=CV の関係がある.
また、Q=It でもある.電荷は電流を何秒流したかを意味する.
これらから It = CV の関係を得る.V = It/C = I/C * t と変形すると、
V = 定数 * t
つまり、コンデンサC1の電圧は時間にリニアに上昇する.
電圧がリニアに上昇するとは、ノコギリ波の電圧リニア上昇の部分を意味しているのである.
V = It/C の関係式に各パラメータをブチ込んでみよう.
V = 240uA * 9mS / 0.68uF = 3.176 V
この3.176Vというのは、三角波の振幅約3Vを指している.
ゆえに、ノコギリ波の振幅を大きくしたければ、C1を小さくすればよい.(R2を小さくでもOK)
周波数を変えたければ、V2の周波数を変えればよい.
ノコギリ波発生回路なんかローテクだと思うかもしれないが、時間を電圧に変換する用途であるとか、またその逆では今でも使われている.もっとも今ではanalog ICの内部回路だけどね.
もちろんdigital信号処理回路やDSPで数値演算的に同様の処理をすることもできる.
幅広い知識でもって難局を乗り越えていきましょう!
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かしこ
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