ポータブルオーディオにさほど興味が無いわたしです.先日の秋葉原でポタ機器を手にとってヘッドホンジャックはどうなってるんだろうと観察したぐらいの体験しかありません.カセットの頃のwalkmanは体験しました.あと中野のポタフェスには一度行ったことがあったか.
アキバで見たポタ機器は、ESSの9038proが多くを占め、AKMのDACはなかったとの記憶.ROHMのDACを搭載した機種がほんの少し在りました.
それにしても、ま〜値段の高いこと.上位機種は7万円とかしますから.マジかよって思っちゃった.ガクブルー
しか〜し、昨日目にしたこの記事のDAPはすごい.Astell&Kern SP3000は新型AK4499を4個搭載ですって.4499は単体で2chですから、片ch当たり4つのDACを同期運転してSNRを向上させる念の入れよう.
4499は電流出力なのでパラレル化は回路的には楽なはずですが、心配なのはそのお値段.「売値20万円ってとこかねぇ」と想像したが、66万円だってさ.ま〜値段の高いこと.
オーナー様は電車に置き忘れないようご注意!
今まで投稿本文やコメ欄で何度も書いたけど、140dBぐらいのSNRを実現する出力回路を本当に実現出来ているのかどうかと疑ってしまいます.設計前にnoise budgetを定める段階で「無理だ」と白旗揚げてる自分が目に浮かびます.
サーキットのシケインを200kmで走り抜けるマシンなんか作れないのと同じようなオーバーテクノロジーに思えてならないんだが.... 頸椎骨折
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出力回路アンプノイズを計算してみましょう.参考ページ
目標性能は、SNR140dB、帯域60kHz、差動の片側の出力電圧1Vrms(2.8Vpp) とします.ハイレゾなので可聴範囲の3倍ぐらいは出力できるんじゃね?ということで60kHzね.
↓等価回路はこんなです.電流源はAK4499のこと.アンプは外付けのIV変換回路です.データシートによると、AK4499のfull-bit出力電流は差動で70mAppぐらいだそうです.つまり片側で35mApp→2.8VppへIV変換するので等価的に80Ωです.
ノイズの計算をします.
JRCのオーディオ用opamp MUSES02の入力換算雑音は4.5nV/√Hzです.
帯域60kHzを掛け算しますと、4.5nV/√Hz * √60kHz = 1.1uVrms ①
80Ωの入力換算熱雑音は、√4kTRB = √ 4*1.38e-23*300*80*60kHz = 0.28uVrms ②
合計の入力換算雑音は、√①^2+②^2=1.135uVrmsと計算されます. ③
ノイズの加算は単純和ではなく、2乗して加算して√します.
ただし③には電源から侵入するノイズなどを算入していません.最もおいしいとこどりしたノイズという理解でよろしいかと.
それで上記回路の電圧ゲインは1倍です.電流源の出力インピーは10kΩなどととても高いので、(1+80/10k)≒1倍というのがその理由.
ゆえに、出力に出てくるノイズ電圧は③そのもの、すなわち1.135uVrms.
ではSNRの計算です.20log(S/N) = 20 log 1Vrms/1.135uVrms = 119dB
ほらぁ、こんな簡単な計算だけでも、119dBしか行かないじゃん.140dBなんか届かないじゃん.opampって思ったほどlow noiseじゃないんだよ.4499の高SNRをopampが邪魔しちゃう.
DACが140dBだとしたら、後段のopampは143dBあればまぁなんとか邪魔しないで済むってところなんだけどね、本音の期待値としては.
こんなのどーやって落とし前つけてるのかなぁ???
通信機器だったら性能未達=通信不能でアウトなんだけど、HiFiは官能のセカイだから落とし前つけなくても良いのでしょう.
追記: 1.4nV/√Hz であるNJM2725 を使い、帯域20kHzとして試算してみる.
1.4nV/√Hz * √20kHz = 0.2uVrms ①
√4kTRB = √ 4*1.38e-23*300*80*20kHz = 0.16uVrms ②
√①^2+②^2=0.256uVrms ③
SNR=20log(1V/0.256uV)=132dB ←これでもここまでしか行かないよ
かしこ
>140dBぐらいのSNRを実現する出力回路
返信削除>設計前にnoise budgetを定める段階
オーディオ回路の設計って、初期段階で、
・レベルダイアグラム
(ブックダイアグラムの次に、各モジュール/ステージでの、
「ヘッドレベル(信号上限値)・フロアレベル(信号下限値=ノイズレベル)」を決めて、
「レベルダイアグラム」を作る)
を書くのですが、この辺りを、どうしてるのか見てみたいですね。
(私も、現役時代にさんざん書いてました。これは、全体のバランスとかあるので、結構大変な作業です。↑と同じで、何も考えないと、あっという間に、
「実現不可能な、構成」
が、出来上がります。
デジタル系だと電圧が5V3.3V2.5V1.8V1.5V1.2Vみたくどんどん下がってるご時世ですが、純粋オーディオは今でも30Vとか15Vとかなんでしょうか.いいなぁそうゆうの.なお真空管は・・・・
削除4499って消費電力が巨大です.
削除AKMの延岡工場が生きてた頃のAK4499は700mWぐらい喰うとデータシートに書かれているんです.アチチ
最新のAK4499EXは不明ですが似たよなもんかと.
>純粋オーディオ
削除何をもって「純粋オーディオ」と呼ぶかによる(笑)と思いますが、
(なんか、オーディオ系って「純粋(ピュア)」なんとか、って好きな気がする。
何が「純粋」なんだろう?と、思わなくはないですが。)
まぁ、設計思想で「電源電圧」なんて、どうにでもなりますからねー
フツーのオペアンプは現在も、30V(±15V)のはずなので、それを使ってるうちは、そうなると思いますが、ノイズフロアは「熱雑音」で、規定されちゃうので、
(それを嫌って「ヘリウム冷却」とかしてるアンプもありますが。こうなると「何がピュア」なのか、わかりませんが。)普通に考えると、
「電源電圧は、高ければ高いほうがいい」
ってなりますよね。(実はこれにも、「空気中で、自然放電しない最大電圧(絶縁耐圧)」ってのがありますが。)
※そう考えると、
「常温空気中で、最大実現できるダイナミックレンジの値」
って、計算で求まりますね。
(そんなの求めてどーするって話はありますが。)
>ヘリウム冷却
削除そいつは天文台の赤外線望遠鏡になれます.あと、オーバークロッカーにもなれます.ヘリウム希少で持続性的には不純ですが.
>常温空気中で、最大実現できるダイナミックレンジの値
じつは昨日、EMP爆弾の影響をちょっと調べたんですが、、、
まずパルス電界のピーク強度が50kV/mと予想される.
そして、50kVまでの立ち上がり時間が1nSecぐらい.
ダイナミックレンジ振り切っとる強さに呆れます.
SATA cableとか巨大な同相ノイズでinput cellのMOSゲートが焼けるか、ラッチアップで済めばラッキー.
核EMPってすごく迷惑だわ~
>そいつは天文台の赤外線望遠鏡になれます
削除あはは。やはり、わかりましたか。
※こういう事情なので、天文台って、
・山の上 or 北のほう (要するに、寒いところ)にあるんですよね。
(富士山の上にも、観測所がありました(確か今は無い))
こんなのですね。
https://www2.nict.go.jp/sts/stmg/vcon/symposium2011/InP_HEMT_LNA_Nitsuki-ohno.pdf
InP HEMT MMIC InP HEMT MMIC 冷却低雑音増幅器の開発
雑音温度 40K = 0.556 dB だそうです。
(ちなみに、常温 300K = 3.062 dB)
※でもこれは、ノイズが少ないだけで、「いい音」かどうかは、わかりませんね・・・
>EMP爆弾の影響
削除いつも思うのですが、人間だって、神経系って、
「電子の移動」で動いてるんだから、何らかの影響受けますよね・・・
(一般的には、EMP爆弾は、コンピュータへの影響しか語られないですが。)
※神経が焼けて、脳が異常動作したりしないのだろうか?手足が勝手に動き出すとか。運が悪ければ、「脳自体が」焼けちゃうとか。
>「いい音」かどうかは
削除やはりcoolな音がするのでしょう.びゅーっと激寒な音が.
>人間だって、何らかの影響受けますよね・・・
論文検索すると、EMPが脳に与える影響とかいうタイトルがポコポコあるんですね.
気圧で体調悪化したり、満月で狼に変身したりするくらですからEMPでやる気無くすくらいはありそうです.
電脳化してなくてよかった・・・
削除LME49990の0.9nV/rtHzで計算すると134dBで、差動の片側だけのように見えるので両側にすると+3dBで137dB。2個使いにするとさらに+3dBでギリ140dBになりますね。
返信削除実際の製品はというと、世に出ているDACコンポーネントのS/Nはよいものでも-130dBですし、THD+Nだと-123dB程度ですね。
0.9nV/rtHzとは優秀なのがあるもんですね.それで音が良ければありがたい.
削除JRCのMUSESシリーズって音いいんです.静的SPECには出ない何かがあるみたいで.
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