映画「クラウド・アトラス」を観て

映画「クラウド アトラス」を観ました．監督がマトリックスのウォシャウスキー兄弟なので観たいと思っていた作品でした．原作は読んでません．

世界は輪廻する．背負ったカルマはいつの時代でもその人に難題として降りかかって来る．だが、自由と平等を信ずる者は救われる．２：４０ぐらいを費やした映画でしたが、わたしにはそれだけしか読み取れませんでした．
輪廻とカルマという仏教的セカイ観でありつつも、自由と平等を実践すれば輪廻から解脱できるという近代西洋思想で決着がついちゃってもなぁ、、、、 大好きな彼氏のための願いを叶えた引き換えに魔法少女になったあげくに魔女になってしまった美樹さやかと比較すると、ずいぶん薄い物語だとは思わないだろうか？

６人ぐらいの人物が、６つの時代に輪廻して、そこで何かをやります．思い出すとこんなストーリーです．これらのストーリーが時間シャッフルされて映画になっています．
 １）奴隷解放に立ち上がる人

 ２）５０年ぐらい前の作曲家  （ちなみにホモ）

 ３）現代のUSAで、原発の汚職を究明するジャーナリスト

 ４）現代のUKで、暴力老人ホームから脱出する老人

 ５）２２世紀、クローン奴隷を開放する反政府テロリスト

 ６）もっと未来、文明が滅んだ後の地球で、他の星系へ脱出する人々

この映画の問題点は、各々の物語が別にどうということのない陳腐な物語だったことです．それを時間シャッフルして見せられても陳腐な物は陳腐でしかありません．時間シャッフルは「パルプフィクション」という金字塔がすでにありますしねぇ、いまさらって感じです．

過去世が未来世に与える影響を織り込んだ大河ロマン的な６作であればまだしも魅せられた気にもなるのでしょうが、そういう構造でもなく、平板な６作がただあるだけ．

６つの中で主要なのは５番目の、クローン奴隷の話だと思います．これは韓国女優のキャスティングが素晴らしいと思います．すっぴんで全然可愛くないんだけど、無感情なクローン奴隷のイメージにマッチしていました．でもそれ以外は褒めるべき所が見つかりませんでした．SFXは今時のレベルでした．

ウォシャウスキーきょうだいは今後どうなってしまうのでしょうか？

かしこ


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