アナログTVでテレビとビデオデッキを接続するには、こんなケーブルを使っていましたね.黄色のがビデオケーブルってやつです.赤と白は音声ケーブルです.
このビデオケーブルに流れている信号はどんな波形だったのか?
↓オシロスコープで観測するとこんなでした.これは1画面(1フレーム)の信号で、260本ぐらいの走査線がぎゅーっと詰まって表示されています.さすがにこの波形だけを見て、これはアニメ画像だとか、これは若い女性の画像だとか判る人は居ないと思います.
↓ですが、走査線一本をオシロスコープで表示すると、特徴的な画像ならば何の画像か判る場合もあります.たとえばこの波形です.これは走査線1本の波形です.
↓これがTVに表示されるとこうなります.AM2時ごろの、砂の嵐になる直前に放映されていたカラーバーという画像です.
どうしてカラーバーが表示されるのでしょうか?
NTSC信号には、白黒信号と、カラー信号が重畳されています.周波数インターリーブというテクニックでもって、周波数分割で重畳されているのですが、解説するとかなり細かいハナシになるので解説はgive-upしてよかとデスか?
βマックスとかVHSを設計していた人ならご存知の「クシ形フィルタ」を使うと、白黒信号とカラー信号に分離できます.(クシ形フィルタでも完璧じゃないんだけどそれはさておく)
↓分離して取り出した白黒信号は、こんなになります.
↓これをTVに入力すると白黒信号ですから、カラーバーならぬ、グレーバーが表示されるわけです.白黒信号は理解しやすいかと思います.
↓分離して取り出したカラー信号は、こんな波形です.カラー信号は、周波数3.58MHzとビデオ信号では比較的高い周波数の信号で出来ています.拡大するとほとんど3.58MHzの正弦波なんです.なんでこれが色情報なんだ?と思う判りにくい信号です.
↓昭和40年代のカラーテレビを分解すると、HC6Uサイズのこのような水晶発振子が1つ入っていました.これの発信周波数が3.58MHzだったのです.カラー信号処理のための部品でした.
↓カラー信号にどのように色情報が載っているかの解説です.下図①: カラー信号の左端にピョコッと孤立したソロバン玉のような波形があります.これをバースト信号と呼びます.バーストと同じ周波数(3.58MHz)かつ同じ位相で発振するPLL回路を受信機に用意します.そのPLLの出力を「バースト(PLL)」とここでは呼びます.
下図②: カラーバーの黄色に対応する部分の信号を拡大して、バースト(PLL)と位相を比較するとピッタリ一致します.
下図③: カラーバーの青色に対応する部分の信号を拡大して、バースト(PLL)と位相を比較すると180度逆です.
180度で青というのはわたしの記憶違いかもしれませんが、位相0だと黄色というのは合ってるはずです.位相が少し変わると赤だったり緑だったりします.古いTVには「色合いボリウム」があって、回すと肌色がガミラス人みたく緑色になったりするのは、位相情報を修正するので色合いが変わるからなんです.
それは振幅が大きければ色が濃くなるんです.AM変調ですね.
NTSCのカラー信号は、PM+AM変調で出来ているというのが今回のまとめです.
NTSCは元々は電波放送で実用化された技術です.電波だと、AMノイズがたくさん発生するけれど、PMノイズはあまり多くありません. (VTRに比較して少ないです)
ところが、NTSC信号をビデオに記録しようとすると、、、、PMノイズが盛大に発生して、カラー信号が攪乱されてドツボにはまる、というあたりが次回のメインの話題です.
右図は、ソニーの放送局用1インチVTRです.でかくて重いよ! これとかベタカムは、PMノイズから逃れるために苦労しているんです.あの時代によくそこまでやってたもんだ....
かしこ
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懐かしいですね、40年以上前 L画像を基準にステレオ画像を載せて使っていました。
返信削除インターリーブでステレオ画像でしょうか?
削除WOWWOWの3D放送も同じようなコトをやっているようです.
もちろんHDですけども.