踏み切り自殺の老人を助けようとした男性が巻き添えで二人とも死にました.
川崎市川崎区の京急電鉄八丁畷駅前の踏切で、踏切内にいた高齢男性を救助しようとした男性とも電車にはねられ死亡しました.
美談にするな.無謀な救助は愚かだ.そんなコトを申すつもりはありません.
ただ、救助者までもがどうして電車に轢かれたんだろう?という疑問がアタマから離れません.
わたしは、日常的に、自分の体重(70kg)とほぼ同じ体重の身体障害者の介助をやっています.そんなわたしが件の踏切事故状況を分析するニュースを見て、あぁぁぁこりゃダメだ、と納得しました.あの救助のやり方だと巻き添えはあり得ると思いました.
救助状況はこうだったらしいです.
・踏み切りに高齢男性が侵入
・救助者が踏み切りに侵入 (急行電車が迫っていた)
・キルゾーンにて、救助者は高齢男性に後ろから抱きつき、脱出を図った
・たぶん、動けなくなって轢かれた
これはだめだ、抱きついた時点でおだぶつでした.
70kgの貴方が、全く歩く気の無い70kgの他人を抱き上げて、合計140kgになった状態で、差し迫る電車のキルゾーンから脱出することはほぼ不可能です.はっきり言って、合計140kgになった時点で、動きが止まります.前にも後ろにも進めず、そこで立ち止まって急行電車に轢かれるまでの2~3秒を抱き合って過ごして人生終了です.
こんなの、なまじっかスポーツが得意で、ドライバーで快心の弾道をスパスパ打てるような人は自分の能力を過信してしまうものなのかもしれません.そういう人は試してみたらいいです.同僚を抱っこして合計140kgになった自分が自動ドアの向こう側へスタスタと歩いて移動できるかどうかを.とくにホワイトカラーは全然ダメじゃないかな? 自衛隊の人なら出来るだろうが.
踏み切りでスタックしている人や車を見かけて、救助のために踏み切り内に侵入するのを、わたしは否定しません.電車の陰がまだ見えない段階なら救助できる可能性が高いわけだから.
問題は、電車が近づいているときにはどうしたらよいのかです.
わたしは被介助者を移動させる場面で、どうやったら安全に移動できるかをその都度考えるクセが身についています.それはAB間の距離や障害物だけでなく、床の傾きや靴の滑りやすさも考察対象です.可能か無理かの判断をその都度下すんです.
当ブログで以前書いた、エスカレータの上から降ってきた女性を見殺しにしたエピソードはまさにそれです.なんでもかんでも腕を掴んで持ち上げれば人助けになるとは限らないのです.
では、川崎の踏み切りでわたしが救助するとしたらどうしたか?
0)現場へ走る間に、どうやって老人をキルゾーンから脱出させるか、プランを考えます.プランがまとまらないうちに老人が轢死体になってもそれは仕方ありません.
1)抱きつき救助は絶対にしません.抱きつくという行為は、被救助者にのしかかってその場で静止するのが関の山で、自分も巻き添え不可避です.何のメリットもありません.
2)老人に体当たりして転倒させる手があります.転倒した老人がキルゾーンから脱出すれば成功ですが、残念なコトに運動量を失った自分がキルゾーンに取り残されて轢死体になってしまいます.アニメでよくあるシーンですね.
3)自分はキルゾーンの外に居て、老人の手か服を引っ張って転倒させます.急行電車通過までの時間が許す限り、コケた老人をセーフゾーンへ引っ張ります.老人の体の一部がキルゾーンに残ったら切断されるでしょうがそれは仕方ありません.ひら的にはこの手がオススメと思われます.
エイメン
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