2015年3月26日木曜日

「アインシュタイン vs 量子力学」 読了


以下、科学的には誤りを多く含んでいると思いますが、先にそれを詫びておきます.orz

不確定性原理は「量子の位置と運動量を同時に確定できない」と言っているわけですが、量子のような小さくて軽い物体をノーダメージで測定できるわけないじゃんという測定技術上の理由だけではなくて、「量子は本質的にそういうモノであって存在確率でしか表現できない」と主張したのが右の写真のボーアを始めとする量子力学の創始者達でした.

それに対して、「神はサイコロ遊びをしない」と言って量子力学を批判したのが実在にこだわるアインシュタインだったというのは有名な話です.

そういった「アインシュタイン vs 量子力学」の論争は20年以上も続いたそうで、今でもその火はくすぶり続けているそうです.その経緯を概観した科学史の本(右図)を読みました.外人が書いた本を和訳したのかと思ったら、日本人による書き下ろしだったので日本語は読みやすい.けれど、書かれている内容は難解でした.
『非局所相関において、光速を超えて因果作用が伝達しないかどうかを議論するのは難しい.ジュン・サクライは、先に述べたように情報が伝達しないことをもって因果作用も光速を超えないとするのだが、因果とは何かということ自体がいまだ明らかになっていない.因果に関する哲学的理論のうちには、この問題における非局所作用が因果作用であると結論づけることができるものもいくつかあるのだ』

↑全般的にこういう内容です(笑).日本語表現は分かり易いけど意味はとても難しい.量子力学の実在論争ってのはガチでこういう哲学的難解さなのでしょう.

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この本は科学史を紹介するだけではなく、筆者が「こうであろう」と予想するモデルも巻末に記されています.それを紹介します.

1935年にアインシュタインらが量子力学の不完全さを指摘するために提案した「EPR思考実験」というのがあります.その後改良されて、右図は改良版です.

この図の横軸は距離、縦軸は時間です.時刻t0に量子が生まれて、それぞれ逆向きのスピンを持って反対方向へ飛び去った.時刻t1で左の量子スピンを観測したら+1だった.ならば右の量子スピンは作用反作用的に-1だとわかる.ここまではアインシュタインが何10年もゴネる理由になりません.最初から左が+1、右が-1だったんだよね、というだけの話です.

しかし、量子力学では、時刻t1の直前までは、量子スピンは+1-1のどっちも確率50%で確定していなかったのだ、と仮説します.実験結果もそれを支持する.

だとすると、時刻t1で左のスピンが確定したと同時に、無限の速さで右のスピンが-1だと確定すると言ってます.それじゃ光速を超えてるじゃん.このパラドックスをどうやって説明するんじゃ? 説明出来なければ量子力学は不完全なのだ、とアインシュタインは突きつけました.
量子力学が不完全であるならば、克服できる未知の作用があるはずで、それを発見すれば確率に依らず量子を決定論に引き戻せるとアインシュタインは考えたそうです.

けれどその後、「ベルの不等式」が成立しない → 未知の作用はない、と結論づけられ、量子の超高速な振る舞いはあるけれど、理由は不明、というのが現在の状況と思えばあっていると思う.

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この本の筆者自身は理論物理学者ではないので、誰かの説を支持表明しているのですが、筆者は、「時間対称的な解釈」によって、超高速に見える量子の振る舞いを説明できるとしている.

「時間対称的な解釈」とは、
量子では、
   -過去が未来を決定するだけでなく、
   -未来が現在を決定する  (未来からの干渉がある)
と解釈する説です.

スピン情報が無限速度で伝わったのではなく、(スピンが確定済みの)未来から現在へ、スピンが情報が伝播して来たのだという解釈です.

どーせ何でもアリな量子世界ならば、このくらいハンパない理論が真実であっても、ヒラサカは許す.速度無限大の情報伝播よりもよほど気が効いているじゃぁないか?

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書かれている話題はこれだけではありません.

不満な点をひとつ挙げるとすれば、アインシュタインの実存主義は理解しやすいのでよしとして、ボーアらコペンハーゲン解釈派の人々はどういう理由であのような非実存的解釈(確率オンリーの理論)にたどり着いたのか?を詳しく解説してくれたらもっとよかった.

図書館で借りたのでもう返却せねばならないが、この本は自腹で買って暇なときに少しづつ読もうかとも思う.あるいはどなたかが読み終わったらわたしに進呈してくださるとありがたい.入院して暇な時に手元に在ると最適な本でした. (入院する予定はないけど)

かしこ


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2 件のコメント:

  1. かわいそうかもしれない猫は、何度も繰り返すと 生き返るかも?

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    1. シュレディンガーさんもとアインシュタイン寄りの解釈をしたかったそうです.

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