2016年8月21日日曜日

ヤマカン、『シン・ゴジラ』が今年の邦画一位なら憂鬱

山本寛(ヤマカン)とは、ハルヒの演出をした人と云っていいのかな? 京アニでの立場的には演出補佐だったのかもしれないが、ハルヒの面白さはヤマカンの貢献による部分が大きかったのは間違いなかろうと思ふ.

そのヤマカンがブログで語っています.
「シン・ゴジラ」が今年の邦画一位になってしまったら驚く.なぜならシンゴジラはヲタク映画であって、ヲタク作品がよりによりもよって邦画のTOPになってしまうとしたら邦画もずいぶん軽くなったものよのう.おおよそそんな文脈です.付随してヤマカンは、昔はTVドラマですら『北の国から』や『金八先生』が「子供がちょっと背伸びする」作品足りえていた、とも書いている.

やはり出てきたか、こういうヲタク批判ベースのシン・ゴジラ批評が.

ヤマカンのヲタクの定義とは、文中でエヴァヲタを批判している事から推測するに、アニヲタ、ラノベヲタ、ゲーオタ、などのような二次元ヲタク全般を指しているように思われる.ヲタクの定義を二次元ヲタに限定することでヤマカンは、二次元ヲタはキモい→二次元ヲタにウケているシン・ゴジラもキモい→シン・ゴジラが邦画TOPになるのはキモいという論理構造を展開したいらしい.

だがこれはちょっと恣意的すぎるかなぁ.だからこの人ってしばしば炎上もしてしまうのだろう.かつてヲタに自分の映画が攻撃されたルサンチマンを晴らしたいのかと勘ぐりたくもなる.

ヒラサカとしては、ヲタクの定義はもっと広範なのではと思う.かなり広範な捉え方だが、ヲタク=時代背景を共有している大衆、というのはアリかと思っている.

今では人種差別問題で上映も放映も出来なかろう西部劇.あれって極論すればインディアン征伐ヲタクのための映画でしょ? 当時のUSの時代背景がインディアン征伐を求めていて、ジョン・ウェインという偶像が人気を極めた.
かつてNHKの朝ドラでは戦時中のお母さんの苦労話が手を変え品を変えて放映されていた.それは戦争苦労ヲタクがたくさん生きていた時代だったから.

シン・ゴジラ関連の時代背景アイテムを書き出せば、3.11の心の傷、原発メルトダウン、尖閣への侵略、自衛隊への差別、政治家や官僚への不信、USの属国、精神年齢の低い日本人、、、そういった共通概念をベースとしていることに異論は無かろう.

映画がマーケティングドリブンである以上、時代背景からそう簡単に離れられはしないはずだ.

ヤマカンはシン・ゴジラという「ヲタク映画」が邦画TOPになるのが憂鬱なわけだけど、それは逆の悩みじゃないだろうか? インディアン征伐ヲタク映画や戦争苦労ヲタクドラマが大人気だったのと同じく、シン・ゴジラはヲタク映画だからTOPになるかもなんじゃないか? ひら的には文芸路線映画がTOPになったらそっちの方が驚く.

ゆえに、ヲタク=時代背景を共有している大衆、と定義するならば、ヲタク映画がTOPになったら憂鬱だという論は成立しないと思われる.TOPを占めるのは常に何らかのヲタク映画のはずだ.

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ヤマカンは結びでこう書いている.ヤマカンの最大の問題ポイントなのだろう.
「大人のコンテンツ」はどこへ行ったのだろう?そもそもこの国に大人は何人残っているのだろう?

ヤマカンは『北の国から』や『金八先生』が「子供がちょっと背伸びする」作品だったから、ヲタク作品とは一線を画した優れた作品だったと暗に述べている.

背伸びといえば、シン・ゴジラは日本国という子供がちょっと背伸びした夢を見させてくれる作品でもあるのだがなぁ、、、、ヤマカンはそれに気づいているだろうか? もし気づいているならば昔のTVドラマは「子供の背伸び」要素があったからシン・ゴジラよりも優れていたとは書けないはずなのだが.


ヤマカンさんは、二次元ヲタク論なんかに執着してないで、自身の能力を正しく使った方がいいと思う.彼我の立ち位置論で気が散るのは観客や評論家の行動様式であって、クリエーターがそれをするのは自滅を招くのではないか? わたしはヤマカンさんの活躍を願うので、評論なんかで自分を不利な方へ追い詰めないでほしい.

かしこ


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2 件のコメント:

  1. こういう方達はみんなと一緒にほめてたらいけないんでしょうね。
    大変な商売ではありますね。
    現役のクリエイティブ系の人達はあまり他人の批評をしない方が良いのになと思ってしまいます。

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    1. 自分の観客層を攻撃するのに積極的だったり、自分の作品への批判の反論を積極的にしたりするクリエーターってあまりいない気がします.商売上のメリットないですからねぇ.

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