その頃の回路製作記事には、必ずと言っていいくらいトランスが使われていました.
よく使われていたトランスはST-32などという製品番号が記憶にあります.
当時の半導体事情ですとオペアンプをさくさく使えるほどICは普及しておらず、真空管がトランジスタに置き換わった程度の数のトランジスタしか使えなかったため、インピーダンス変換の必要があるならばトランスでやるのが通常の設計作法だったのでしょう.
今じゃインピーダンス変換はオペアンプでやってしまうし、その方がトランスを使うよりも価格が1/10ぐらいで済んでしまいます.
ちょっとわけあって、昔のような小信号用トランスを入手したくなりました.今でも売ってるのかな? 中華メーカーの正体不祥なトランスが見つかるかどうか、、、というのが期待値でした.
ところが! ネット通販を探したら、なんのことはない、秋月でST-32などがまだ売られているんです.
えぇ~っ、ST-32って山水だったの!? 山水のアンプ、トランスというと、80年代のオーディオ全盛期の有名メーカーでした.ST-32はその山水だったのですね.
だけど、山水という会社はもう存在しないはずです.いったいどこの誰が山水のST-32を生産しているのでしょうか? 江戸川コナンくんも冷や汗が吹き出てしまうほどのミステリーです.
wikiを調べてみたら、真空管オーディオショーでも見かける、橋本電気株式会社に山水トランスの製造販売権が譲渡され、いまでも秋月で売られているST-32がそれであるようです.
赤井は消滅し、パイオニアも消えそう、ナショセミはTIに吸収され、フェアチャイルドはオンセミに吸収され、あのLTですらADに吸収されて、いろんな老舗が無くなってしまう中で山水ブランドが意外な形で残っていたとは、昭和時代からの回路ヲタクとしては深く感銘を受けざるを得ませんでした.
しかし¥540は決して安くは無いですね.
かしこ
2SC372くらい懐かしいです~。
返信削除パーツケースには取り外し品のこれが何個か必ずあったような。
そしてSTシリーズトランスのコアの素材はパーマロイだそうです.カセットデッキのヘッドがパーマロイでした.
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