2016年4月18日月曜日

STAP細胞を改めて振り返ってみる (5) 特許についてとんでもない説が

出雲へ出かけていたので中断していたSTAP細胞の件の今回は第5回です.

本連載第3回で、「特許があるから日本人の権利は大丈夫だよ」と書きましたが、これがなんととんでもないことになっていると判りました.
理研がSTAP特許から降りて、US単独出願になってしまった!
http://www.techvisor.jp/blog/archives/5514
おいおい、理研よ大丈夫か? 大丈夫じゃないって!
待てば海路の日和ありというじゃないですか?
果報は寝て待てというじゃないですか?

せっかくのんびりと待っていればよい状態になったのに、理研が自分から降りてしまったとは一体どうしたことだ???

これで、今後STAP的な現象が再発見されれば、その権利はUSのみが所有するコトになります.STAPを応用した再生医療の利益もUSがガッポリと懐に入れるコトになります.
終わりだぁ~、USの陰謀でこの世の終わりだ~~~
いやはや、US陰謀論を信奉する皆さんの期待通りの成り行きに目が点になってしまっているヒラサカであります.

だがしかし、それだけでは済まないのが現実セカイの面白いところです.STAP特許申請から降りてしまった理研という謎の行動よりも、もっと根源的な謎があるらしいんです.

それを説明する前に、もったいぶってSTAP年表を調べました.(ただしソースはオレ)

2001年         バカンティが胞子様細胞説を唱えるも袋叩きに遭う
2008年         小保方晴子がバカンティ研に参入   胞子様細胞研究開始
2010年         ハーバード御一行が刺激初期化アイデアを思いつく
2011年   4月 研究の舞台が理研若山研へ移動   小保方は若山の部下(ハーバード所属)
2012年         論文投稿却下     若山山梨大へ異動
2013年         笹井参入
2013年   3月 小保方理研へ転職
2013年 10月 国際特許出願(バカンティ、小保方、若山、笹井、他)
2014年   1月 nature論文掲載      フィーバー開始
2014年   3月 一部の執筆者が論文取下に同意
2014年   4月 小保方単独会見
2014年  10月 小保方博士号取り消し処分
2014年  12月 小保方理研退職
2014年  12月 理研がES細胞混入説を発表
2015年    4月 理研STAP特許の持分を放棄   ハーバード大は継続
2015年    9月 ES混入説をnatureに掲載
2016年    1月 「あの日」出版
2016年    3月 「STAP HOPE PAGE」開設

特許に着目すると重要なイベントは2つ.
・2013年10月のSTAP特許出願です.日本人も連名になっています.
・2015年4月に理研がSTAP特許から降りています.

ここで特許にこだわる理由は本連載3回目で書いたとおり、名より実を取るというハナシであって、ノーベル賞は断念するとして、それよりも再生医学でガッポリ儲けましょうやという立場ならば、ぶっちゃけ特許の権利だけ確保できりゃそれでいいやというスタンスです.

ところが、こちらの記事にはものすごいコトが書かれています.(2014年5月の記事)
http://news.livedoor.com/article/detail/8800799/
バカンティー博士らは、2013年10月には国際特許の申請を出している。この特許による利益はすべて、申請筆頭者であるバカンティー博士とハーバード大学グリングハム病院にもたらされることになっていた。
この記事はソースが不明なのですが、2014年5月にupされているのでSTAPフィーバーの真っ最中です.文体からすると、海外のソースを日本語の記事に再構成したっぽいです.

ものすごいコトとは、この記事を信ずるならばですが、
STAPの利益配分は最初からUS100%だった
これねぇ、事実だったとしたらちょっと信じがたいくらいの理研の超敗北です.

なぜか?
利益配分は、発明者が所属する組織同士が話し合って決めます.こういう話し合いを、研究者本人がする場面は基本的に無いです.話し合いは、各組織の知的財産部門が、弁護士も絡めて行います.話し合いの中身は極めて人間的な、母親におこづかいをねだる子供みたいな交渉です.
 ハーバード大   「バカンティにオリジナリティがある」
 理研               「確かにそうですが、実験と検証は理研の貢献が過半を占めるんですよ」
 ハーバード大   「では、9:1としましょう」
 理研               「5:5であるべきでは?」
 バーバード大   「それは同意できない、7:3でどうですか?」
 理研               「しかたない、では7:3でいいでしょう」
こんな感じで利益配分を決めるわけです.知的財産部門や弁護士にとっては、この利益配分割合で高得点を得るのが仕事ですから、そりゃぁ真剣に交渉するはずです.

ところが、こういった利益配分交渉を経ながらも、理研の利益配分はゼロになったと上のリンク記事は云ってます.それが本当なら、理研の知財と弁護士は、無条件降伏の完敗だということになります.
ハーバード大が理研に突きつけた論理はこういうコトになります.(理研0%を信ずるならば)
 ・オリジナリティのあるハーバードが100%利益をもらう
 ・研究費は理研が支払え
 ・科学の名誉はお駄賃として理研にくれてやる
 ・理研の知財がグダグダ文句云っても却下する
ハーバード大はずいぶん強気であって、共同開発でここまで片方の当事者が隷属的立場に置かれるのはちょっと考えづらいです.民事訴訟でひっくり返すことも可能なくらいじゃないかと思います.

もしかしたら共同開発で、というのがクセ者なのかもしれません.実と云うと、成果が出た後で特許の利益配分を話し合う場面は、通常はありません.共同開発を始める前段階で法務部門同士で共同開発契約書を取り交わします.その契約書には、特許の配分も記載します.STAPにおいても、ハーバード大と理研で事前契約してあったはず.なので通常のビジネス慣行に則るならば、STAP研究が理研に移動した2011年4月の時点で、契約によって理研への配分がセロだと確定していたと考えられるわけです.そんなのあるか?と思いますが...

ところがさらに不思議なコトがあるんです.小保方の手記「あの日」には特許配分についてこう書かれています.
若山氏は当初、理研の特許部門に特許配分案を提案しているが、その内訳は、小保方氏に39%、ハーバード大のチャールズ・バカンティ氏と小島宏司氏に5%、そして若山氏自身に51%だった.

ますます混沌としてきました.
飽くまでも「あの日」と「理研0%記事」を信ずるならばですが、、、
 ・共同開発契約書が不在で、後で特許配分を決めた現場を小保方は目撃
               →ビジネス慣行的に不思議な状況
 ・その結果理研の知財部門は無条件降伏した
               →そこまで隷属する理由が不明、訴訟したら勝てるんじゃね?
 ・利益配分が最初からゼロだったと知らずに日本人は舞い上がっていた
               →理研はただの奴隷と化していた
               →日本にSTAPの生む特許収入は落ちない
               →あるとすればノーベル賞だけ

STAPは面白いです.
小保方を毛嫌いする者が居るかと思えば、小保方を擁護したがる者も居る.
ES細胞がどこで混入されたのか?というミステリーがある.
それらに加えて、ビジネス慣行的に妙なやり方と妙な隷属の存在に今回気付きました.研究の舞台が理研に移る直前の2010年後半に関係者に何が起きたのか? その時期に何かがあったような気がしてなりません.ネットを調べてみてもそんな重箱の隅の情報は無さそうだがなぁ.

理研って契約にこだわらない体質なのかな? いやいや、研究開発企業にそんなプアなハナシは考えにくいです.
若山がSTAP研究に加わったきっかけは、バカンティがキメラマウス作成の助力を請うメールを若山に送ったからだそうです.そしてほどなくSTAP研究の中心が小保方と一緒に理研の若山研へ移ったのは、バカンティ-若山の話し合いでそうなったと見るのが妥当でしょう.ところがそのタイミングで共同開発契約をせずに、なしくずし的に若山研に移動したのか、あるいはあえてアングラ研究の体裁を選んだのか? ひら的には2011年4月にボタンの掛け違いの根があるように思えてなりません.

共同開発契約に関係するもう一つのタイミングは、小保方がCDBに転職した2013年3月です.この時点ですと、小保方が研究リーダーに抜擢されるくらいの注目株にSTAPは成長していたわけですから、共同開発契約をすっ飛ばしてアングラ体裁でKICKするのは考えづらいです.

ちなみに、この共同開発契約の不在が推測される件と、理研の配分がゼロという説には、小保方のような下っ端研究員の関与ならびに責任は一切無いでしょう.そういうのは理研の部門長クラスの職掌です.もしかしたら、STAP問題に早く幕引きしたいそぶりの理研は、この点でも痛い腹を抱えているからなのかもしれません.

変だなぁ

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