住宅リフォームシリーズ007では、電気製品と建築物の精度管理方法が違うということを書きました.
ところで建築って難しいのでしょうか?
プロセスや精密加工に比べたら、建築技術は簡単です.しかし、設計者や施工者が品質責任を持たなければならないところが難しい.というのがわたしの印象です.
建築技術は簡単だという理由を説明しますと、
床の間つき茶室みたいな部屋は施工技術が難しく、経験豊富な大工さんじゃないと絶対無理ですけど、現代風建築は低技能な施工者でもボロが出にくい仕組みになっています.皆さんの部屋の壁を見てください.壁の表面にクロスという化粧紙を貼ってあるでしょう.クロスをペラッと貼るだけで下地のボロを隠せる仕組みなんです.床はどうでしょう? フローリングが多いと思いますが、フローリング材の模様の綺麗さなんか厚さ0.2mmの印刷された表面だけであって、その下はクズ木材の集成材です.
だから、自分の土地があって、そこに好き勝手に家を建てたりリフォームするんなら、たとえ付け焼き刃な者であっても、一度経験するか誰かに指導してもらえば、かなりできると思います.自分の物件であれば、床の隅に少し隙間が空いてもいいや、床が少し斜めでもいいや、クロスの継ぎ目に隙間があってもいいや、などと下手さは割り切ればいいです.すきま風が入らないとか、雨漏りがしないとか、漏電しないとかいう最低限の要件を満たすのにそれほど高い技能は不要だということです.
皆さんも昭和30~40年代に建てられた古い民家の解体作業を見たことがあると思いますが、あの頃の木造建築物ってボロボロですよね.外壁がトタンだけだったり、土台が土台の役に立ってなってなかったり.あれでも、老夫婦が先月まで住んでたりしたわけですから、仕上がりの出来映えにこだわらなければ大概はOKってことです.
というわけで、現代風建築の建築技能なんかたいしたことないぜ、とタカビーなことを言っているわけですが、本当に難しいのは技能面とはすこし違うところにあります.
難しいのは「クレームが来ないように施工すること」なんです.これが、建築に携わる全ての者にとっての難関だと思います.これは、誰にでもできることではありません.建築物件は高額ですから、クレーム対応も高額化するリスクを抱えながら建築するのは難しい.タカビーなことなど絶対に言えないと思います.
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