2011年11月15日火曜日

職業訓練 住宅リフォームシリーズ007 建築物の寸法精度はどうやって実現するか?

私はずーっとヘリカルスキャン装置の設計をやってきました.その悲喜こもごもを「失業した理由シリーズ」に書きました.

ヘリカルスキャン装置のメカ部品の寸法精度は、最高部位は0.1umぐらいの精度で作られます.そしてそういう精密加工はとても難しいので、ダーッと作って寸法外れ部品を捨てたりします.

いま10ヶの子部品から成る親部品があったとします.それぞれが誤差を持つ子部品から成る親部品の寸法誤差はどうなると計算され、寸法不良率は何%になると計算されるのでしょうか?

答えはこうです.モンテカルロ法という手法で計算します.
●その子部品それぞれの寸法誤差は正規分布すると仮定します.
●コンピュータ上で、正規分布する10万個の寸法バラツキサンプルを数値で作ります.
●それらをコンピュータ上でランダムに仮組して親部品の寸法を計算します.
●寸法スペックがオーバーしたサンプルを数えます.
●すると、親部品の寸法不良品が7%も出て悲惨ピー、なんつう推測ができます.

一方で、建築物って、大きさが10mもあるわけでそんなでかいものの寸法をどうやって管理するんだ? というのが住宅リフォーム科で学ぶ前の私の最大の謎でした.

結論はこうでした.
●部品精度は±1mmぐらいである
●組み合わせると±2mmぐらいはザラに誤差るが一旦放置する
●誤差を蓄積させる場所をあらかじめ想定して順序よく組み立てる
●誤差を蓄積させた場所に最後につける部品の寸法で誤差を吸収する

だから、「誤差を蓄積させるように作業できるかどうか」が技能だとわたしは思います.だから、素人がいくら丁寧につくったって、無駄に丁寧なわりに、最終的に全体が納まらないなんてことになりかねないわけだわ.

誤差を蓄積する作業例を挙げますと、
昔の畳ってそれぞれ寸法が違っていたんだって知ってました?
つまりですね、6畳部屋をリフォームするために一旦畳を全部剥がしました.リフォームが終わって畳を敷くときに、元の配置がわからなくなっちゃったので、ランダムに畳を敷いたら、納まらなくなっちゃったってことになります.
これはどういうことかというと、大工さんは、部屋の寸法が1cmぐらい歪んだところでお構いなしで施工します.畳屋が、その出来上がり寸法に合わせて畳の寸法を決める.畳屋が最後に誤差を吸収する.これが旧来の日本建築でした.
もっとも、現代では畳は規格品になってますので、大工さんが畳みの納まる寸法に部屋を施工しなくちゃいけません.

ドアの造作を作るのも同様です.昔は、大工さんが作ったドア枠に合わせて建具屋がドアを作りました.建具屋が最後に誤差を吸収する.けれども現代のドアは既製品なので、大工さんがドア枠の取付精度を守る役割になっています.

これらは極端な例ですが、建築の精度管理はどれもどこかにしわ寄せし、それを吸収するという考えで作られていると思います.このことがわかってスッキリしたわたしでした-.

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