2012年1月20日金曜日

失業行政手続きシリーズ005 ハローワーク編

わたしは失業保険をもらえるかどうかで揉めました.その経緯を書きます.

退職して一週間ほど後に、元の会社から「離職票」というのが送られてきます.離職票には、失業保険を支払ってきた年数とか、退職する直前の給料の金額などが書かれていて、それらのデータを元に、失業保険の金額をハローワークが決めるための重要な書類です.離職票を持ってハローワークに行って、失業保険をもらう手続きをします.

ここで、わたしは社会人としては1987年から働いていましたけれど、1998年に転職して12年勤務して退職したのが最終勤務だったので、失業保険の支払い年数は12年間だろうと覚悟していたのですが、ハローワークは意外にしっかりとした管理をしていたようで、失業保険の支払い年数は1987年からの通算23年がカウントされていました.社会保険庁に比べるとはるかにマトモな仕事してるじゃないか、ハローワーク.   → 社会保険庁のインチキ仕事についてはこちらを参照

失業保険をもらうことを、ただしくは失業給付をもらうなどと呼称しますので、以下ではそのように表記します.誰でも失業給付をもらえるわけではありません.

1)もらえないケース
次の仕事やアルバイトや起業が決まったら打ち切られます.

2)もらえるケース
株式配当収入が年間500万円あったとしても失業給付をもらえます.また、家賃収入が年間500万円あったとしても失業給付をもらえます.(下記補足参照)

1と2は一見矛盾することのように見えますが、考え方はこうです.労働収入があるなら失業給付をあげません.不労所得は労働収入とはみなさないので失業給付をあげます.

補足: 不動産規模が5棟10室以上だと立派な不動産業者と税務署から認定されて不労所得だと主張できなくなります.

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さて、わたしは2011年1月にハローワークへ行き、失業給付の受給手続きをしたわけです.受給手続きでは、身辺状況を申告します.ここですでに働いているのに働いてないなどとウソをついて不正受給してはいけません.不正受給した場合は不正受給金額の3倍の罰金を払う羽目になります.ここで、あることを正直に申告したわたしの身に降りかかってきたのは、「あなたには失業給付の受給資格はありません.なぜなら、あなたは個人事業主だからです」でした.

経緯を書きましょう.

●それまで住んでいた家が空き家になっていました.家賃収入を得ようと考え、2010年6月にリフォームし、2010年11月に賃借人が決まり、賃貸収入が入り始めました.まもなく失業する者の生活防衛策としてギリギリセーフといったところでした.

●家賃収入がある場合、所得税をどうしたらいいのか判らないので、税務署に行って聞きました.税務署はこう言いました「個人事業主として開業してください」. 家賃収入の所得税は、個人事業所得として課税を受ける方法と、個人の雑所得として課税を受ける方法があります.税務署は個人事業にして欲しいようですので、税務署に聞いたら開業してねと判を押したように言うみたいです.

個人事業を選択することには実利があります.まず、リフォーム費用の一部を経費として落とせますので節税になります.さらに、2年度目以降は青色申告できるので節税になります.なので、わたしの意志としても個人事業を開業することにやぶさかではなかったので、2010年11月にさっさと個人事業の開業届けを提出しました.この時点でわたしはまだソニー社員でした.いちおう就業規則には副業の禁止というのもありますけど、2010年12月にクビになる人の生活防衛策にいちいち横槍を入れるこたぁないだろうと思ったので会社には黙っていました.

●2011年1月1日から無職になりました.

●ハローワークで、個人事業を開業済みだと申告したら、失業給付の受給資格なしと宣告されました.

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論点を整理しますと、

税務署の主張
・家賃収入があるなら開業してください.
・家賃収入があるうちは廃業は受け付けません.

ハローワークの主張
・不労所得は労働収入とみなしませんので失業給付をあげます.
・個人事業主として課税されている人には失業給付をあげません.
・雑所得として課税されている人には失業給付をあげます.

平坂の主張
・不労所得なので失業給付の受給資格がある.
・個人事業主を開業したのは税務署の仰せに従ったにすぎない
・個人事業主を開業したのは就業中の出来事であり、失業者が開業したのとはわけがちがう.
・おなじ収入形態でありながら、課税形態の違い、すなわち個人事業か雑所得かの違いで失業給付の受給資格が左右されるのはおかしな話じゃないか?

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そこで、A4の紙1枚に経緯をまとめ書きし、税務署の御見解とハローワークの御見解の統一を諮られますよう、上部機関にご照会していただきたくとしたためて、再度ハローワークに申し出ました.

すると、ハローワークにはそういった不服の裁定機関みたいのがあって、そちらに照会するとのことでした.裁定機関の審査申請書にサインして、どういう結果が出るかを待つことになったのです.

そんなわけで失業給付は受給してませんけど、まもなく住宅リフォーム職業訓練の申し込み日がやってきてたので、見切り発車的に申し込んで、簡単な入学試験を受けて、入学資格を得ました.

しかし、なかなか裁定通知が来ませんでした.やがてあの3.11大震災も過ぎました.4月5日には職業訓練が始まるのですが、失業給付を受給できないのなら職業訓練を中止してそそくさと就職先を探さなくてはいけません.どうしたものかと考えていた3月末に電話がかかってきて「受給資格ありです」と連絡をうけたのです.

ハラハラしましたけど、おかげさまで住宅リフォーム職業訓練を受けることができました.

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健康保険にせよ、失業給付にせよ、制度の難点に直面したわたしでした.
上で書いた家賃収入の件は、同じ経験をされた方は相当多くいらっしゃるんじゃないでしょうか??? 普通に賢くて普通に節税を考えている方がハマリかねないツボです.

失業行政手続きシリーズはこれでおしまいです.

3 件のコメント:

  1. その裁定に至った理由って、教えてもらえましたか?

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  2. ハローワークの人は「本庁に上がった」と言ってましたので、こういうケースではどう判断するべきかを厚生労働省で判断したんだなと理解しました.その判断根拠を、ハローワークの窓口の人が知っている雰囲気じゃなかったので、とくに質問しませんでした.わたしは妥当な判断だと思いましたが、わたしのケースが史上初だったとはとても思えないありふれた事象だと思っているんです.

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  3. 私は病気で首になったので、健康保険の療養給付が1年ほど有り、その後失業給付を半年ほど受け、職業訓練を1年保護受けて、身障認定を受け、現在に至るです。
    この認定には一悶着有り、審査官は医者では無い事務員で、蹴られましたが、社会労務士と医者の診断書を出して再請求すると通りました。

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