2015年11月12日木曜日

祝、MRJ初飛行成功、、、

そこらじゅうで祝賀モードですからいまさら感がありますが、一応お約束ということで、
MRJ初飛行おめでとうございます
その市場のコンペチターがブラジルとカナダだからUSがOKしてくれたのに違いあるまいから、大型機へとビジネス展開するプランはたぶん不可能なのでしょう.近距離機というニッチ市場で2番手の地位を確保して末永くビジネスを継続していただけるよう祈願しております.

大型機ビジネスはボーイングに刃向かうことなく、日本企業は部品メーカーとして生存するしかないでしょう.それは仕方ない天井ということで...

ガリバーに刃向かうかどうかというと、韓国と台湾の産業振興が対照的だと思っています.

韓国は、自動車においては現代のように完成品メーカーとして日本のコンペチターを目指しました.またエレクトロニクスでは、サムソンのようにTVやスマホといった完成品メーカーとして日本のコンペチターを目指しました.たぶんそれが国策だったんでしょう.

一方で台湾は、完成品メーカーの道へは進まずに、部品メーカーの地位を目指したように思います.LSIプロセス専業メーカーとしていまや世界一のプロセス技術を誇るメーカーの一つに成長したTSMCが典型的です.

日本の自動車や電機のようなハイテクコンスーマー商品に追いつこうとして、国策による傾斜投資と円高の追い風を生かして、一時期絶好調だった韓国製造業でしたが、そもそも生産設備や素材は日本に依存したままだったという基礎体力の無さが、今度は円安局面でモロに露呈して今の韓国製造業は絶不調だと聞きます.一時期は韓国が優勢だったが、だいぶ弱まったとは言え日本はまだ死んでいなかったという図式. (通貨安誘導が戦争並に有効だともいえる)

現在の我々が目撃している、一時期のサムソンはすごかったけれど、円安になった途端にサムソンってボロボロになっちゃったよねぇ、という場面は、そっくりそのままに大型航空機産業にあてはまってしまうと思います.国内の航空市場が小さい日本がボーイングに刃向かっても長期間存続できるとは思えませんから、航空産業における日本は部品メーカーとして、奴隷の身に甘んずるしかないでしょう.

MRJには成功して欲しいけれど、成功したとしてもニッチのガリバーにしか成れないと思う.だからMRJの初飛行を見て喜ばしいとは思うものの、所詮限界のあるビジネスなんだよな、という息苦しさも同時に感じざるを得ず、万歳三唱などする気にはなれなかったわたしです.

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その業界に既にガリバーが居て、そのガリバーが市場を支配していて、後から参入しようとする者が有形無形のバリアーで跳ね返されて苦しいビジネスを展開せざるを得ない場面っていろいろと体験したり見聞きしました.

Advantestのスペアナをよく使っていましたが、測定器をPCから制御するGPIBというコマンド体系があって、GPIBのライセンサーはHPでした.Advantestに対する客の要望は、HPの性能と同じにしろ、HPのGPIBコマンド(HPIB)と同じにしろ、だったと元Advantestの技術者から恨み節を聞かされました.

自分自身の話、VHSダビングマシンを開発していた頃、市場のデファクトモデルはこの2機種でした.
AG6800はビデオエンハンサを効かせたようなゲスの極みな波形応答で、輪郭強調画質なんだけど、それに慣れちゃうと画質が綺麗に見えてしまうものらしかった.
BR7000は、波形応答が優れた美しい画質でした.両者の画質は対照的でした.
それで、VHSダビング市場で神の声を発するのは業界の誰なのかというと、例えばそれは「ブエナビスタ」でした.ブエナビスタなんて聞いた事ないのがフツーですが、ジブリのビデオを販売しているのがブエナビスタです.つまり、ディズニーアニメの版権ビジネス会社がブエナビスタなんです.だから、ブエナビスタが好む画質のビデオを設計しなくちゃいけなかった.ブエナビスタが好む画質とは、AG6800だったんだなぁこれが.だから、BR7000みたいな美しい波形応答を設計した後に、わざと波形を崩してAG6800に合わせるなんていう修正をした.ゲスですわ.だから今でも、ビエナビスタと聞いただけでパブロフの犬的に鬱になってしまうんです.

テープストレージを開発していた頃、多数在ったサーバ企業が合従連衡してIBMとHPしか居なくなってしまいました.IBMはLTOを自社開発しているくせに、自社のストレージの調達は社外からも公平に行うというポリシーで、AITもコンペに参加しないかと誘ってくるけれど、そんなの只の当て馬に過ぎなくてAITを採用する気なんか無かった.

UKに赴任していた知人のところにドイツの某社の担当者から電話がかかってきた.用事があるから来てくれとのこと.フィールドサービスっぽい仕事だった知人は、UKからドイツまで飛行機で赴いて、顧客のところに出頭したらその用事というのが、「そこのダンボールを片付けておいてくれ」だった. (これほど無茶な話は聞いた事が無い)

まぁ、ソニーは多くのフォーマットライセンサーだったので逆に虐めをする立場だったんですがね.BDのLTHを鳴かず飛ばずで葬ったのは遠まわしにソニーの虐めだったとも言えるわけです.BDを早く市場導入したいが、LTHは開発が遅れているのでLTHの市場導入は後回しにしましょう、という合意形成をしただけでLTHを半殺しぐらいには出来ます.その後BD市場がDVDほどには拡大しなかったので、もはやLTHが飛び出す余地は無くなってしまいました.エイメンであります.

ビデオテープやビデオヘッドでも、開発段階での虐めはいろいろとやりようがありました.

所詮わたしなんか開発屋ですから、調達屋のえげつなさに比べたらスイートな世界でしょう.

この世はすべからく奴隷と王様です.

MRJについては、基本的には終生奴隷身分なのだが、少しだけ自由を勝ち取るチャンスが巡ってきたといったくらいに考えておきたいと思います.

#官公庁から受注を得るハナシは知らぬ存ぜぬですw

基本的にエイメン、、、


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5 件のコメント:

  1. いつも面白い記事ありがとうございます。

    ただ、王様も永続するわけではなく、いずれ没落するわけですから、奴隷にも下克上のチャンスがめぐってくるでしょう

    そもそもミツビシが奴隷的ポジションかどうかは疑問ですが....

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    1. 三菱殿は士農工商の”士”ですね.もとい朝廷か...(国内において)

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    2. mitsubishiは皇室経由で大英帝国ともつながっているそうですから、侮れません

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  2. 昔は製造ラインにHP3585がずらっと並んでいるのを見た覚えがあります。
    数百万円ぐらいだったと思うんですが、そんなのを使ってて製造しててもデバイスが儲かっていた良い時代でした。

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    1. デバイスの単価が高価だった時代もありましたね.歴史の彼方に消えたデバイスは数知れず.

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