ソニーとシャープの明暗を分けたのは何だったんだろう？

シャープはホンハイと超合金合体して悪の宇宙人と闘う正義の味方として再建を図ることになりまして、シャープおよびシャープ社員の皆様のご活躍とご発展を祈願しておりま～ふ．

だがしかし、元ソニー社員としては、ちっともシャープのことを嗤えない気がします．野放図でない正当な投資は何かを真剣に考える姿勢が足りなかったのは、ソニーのエレキ事業もシャープの事業もさほど変わらなかったように思うからです．ソニーは長年の間、相当にちゃらんぽらんだったとわたしは思います．ちゃらんぽらん状況については以前こちらに書きました．

でも、シャープは一気に死亡し、ソニーはエレキを徐々に切り離して生存しているのは何でだろう？？？

シャープが死亡したのは、液晶の一本足打法がコケたからというのが下馬評のようです．ところが、ソニーの屋台骨だったトリニトロンTVはシャープの液晶TVに刺されて毒が回って死亡したのにどうしてソニーは死なずに済んだのか？

ソニーの事業がエンタメ・金融方面に多角化されていたから死なずに済んだのはそのとおりですが、それはオールソニーでのハナシであって、エレキ事業単体で見た場合にトリニトロンTVの生産終了の２００７年を乗り越えてソニーのエレキは生存しました．リーマンショックの前、すなわち２００８年上半期の時点でエレキはまだ好調だったというのがわたしの実感です．なぜでしょうか？

理由の一つは、トリニトロンは投資が軽くて工場を閉鎖しやすかったからだと推測しています．トリニトロンは謂わば巨大な真空管ですから、液晶のようなプロセス製品ではありません．プロセス設備は様々な高価な精密機器の集合体なのに比較して、真空管製造設備の精度なんか液晶の２～３桁低いんじゃないかな．それに長年生産してきたトリニトロンの製造設備は償却済みで工場を畳んでもバランスシートを毀損せずに済んだと思います．ソニーはトリニトロンを打ち切りやすくてラッキーでした．

一方のシャープは時代的にもいろいろと不幸が連続していたように思われます．
・あのトリニトロンの息の根を止めるのはシャープだ、という興奮を感じるなというのは難しかっただろう．液晶へリソース集中したかった気分を理解できます． （ソニーでもXXXへの過大な投資をしていながら、政権交代でXXXを潰すなんて何度もやってますよ、ホントにもうｗ）
・亀山工場にした多大な投資を回収する暇もなくSAMSUNGとLGとの価格競争に巻き込まれてしまったのは、韓国が政策的に傾斜生産していた一方で日本はもう経産省が電機事業に口出しするような時代では無くなったゆえの不幸という面もあったように思います．
・リーマンショックとその後の民主党政権による円高政策もビジネス環境面で韓国勢に追い風、シャープにとってはあまりにも強い逆風でした．そんなのシャープが悪いわけじゃないさ．
・ちなみに２０１５年では為替が￥１２０で４Kテレビが意外な売れ行きを見せているという、シャープにとっては手遅れの春がソニーやPanaのTVビジネスへの追い風になっているのも皮肉なもんです．

ソニーの場合、トリニトロンが死んだおかげでエレキビジネス全体が沈下しましたが、他のカテゴリの製品がまだ生きていたので、エレキビジネスを次々と切り売りせないかんくなるまでには５年ぐらいの時間稼ぎが出来ていたように思います．
これがもし、トリニトロンのご臨終が２００７年ではなくて２０１２年だったとしたら、他のエレキカテゴリが弱ってトリニトロンの一本足打法になったところでドカーンとコケてしまうのですから、時間稼ぎ出来ずにもっとハードな展開のリストラになっていたのではないかと、そのように想像しているわたしです．

シャープが倒れたのには、如何ともし難い不幸の連続を感じざるを得ません．疫病神に取り憑かれていたんですかねぇ？ 迷わず成仏してクレ．

エイメン


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