アスカ風に云えば内罰的な謎の人々

昨日の記事で劇場アニメ「聲の形」を観て、平成育ち／昭和育ち云々と書いたので、それに関係するかもしれないことを書こうと思う．

知り合いにケースワーカーなのか社会福祉士なのか、わたしが福祉に無関心なのでよく判らない職種なんだが「いろいろな人の悩み」を聞く機会の多い人がいる．

その人が目にしたといういろいろなケースのうち、なんだかよく判らないカテゴリがある．

やけに内省的、アスカ風に云えば内罰的、そう、シンジ君みたいなケースなんだ．

仕事で他の人についていけなくて、悪いのは自分で、でもそれを話せる友人はいなくて、なんだかこのままだと壊れてしまいそうで、、、異口同音にこういうstoryを語るのは立派な学歴と社歴のある２０～３０歳ぐらいの人々だったりする．そういうカテゴリ．  （ゴメンねオレそういう気持ちが判らないの）

自分の昔の様子を思い出してみる．

思い起こすに、わたしと同世代に悩める人々が全く居なかったとは思わないが、ポコポコ噂を耳にするほどではなかったように思う．まして立派な学歴と社歴のある社会階層の中に「悪いのは自分ですから」って内向きに壊れかかっている人々を探すのは非常に難儀なくらいレアだったのではなかったか？ 飽くまでもわたしの印象ですが．

２０歳台のわたしは「こんな仕事つまんねぇ、もう辞める」という人だった．「こんな仕事つまんねぇ、配置転換を希望します、でもやりたい仕事はありません」という困ったちゃんも居たなぁ．そんな不穏な奴らはいつの時代にも何処の組織にも居るもので、「つまんねぇ」と鬱屈するのは別に悪いこととは思わない．
まだ技術者の転職が容易だった頃なので、転職経験者は周囲にたくさん居た．そいつらは皆「この会社はダメだ」と一度は思った連中だった．つまんねぇのは会社のせいだ、と問題を他者になすりつけて生きてきた連中．わたしもそのカテゴリに含まれる．

そして今、「悪いのは自分で、、、」って悩んでいる若年層はどうかというと、常に問題は自己にありとマインドセットされてしまっているんだろうねぇ．それはさぞかしつらいと思うよ．でも何故なのさ？

「悪いのは自分」という場面はたしかによくある．
二日酔いでダウンしているのは自分のせいだ．朝の電車に１本乗り遅れたのは自分のせいだ．ハコテン喰らったのは自分のせいだ．．．．．．．．悔やみは尽きん．

けれど、職場の同僚の能力に比較して自分が劣っていることまで自分のせいだと引き受けてしまうのはかなりヤバい．能力オーバーな領域にまで達成目標を引き上げてしまい、未達なら自分のせいと内罰的になるのでは精神が壊れそうになるのも無理からぬことだろうよ．

わたしが会社を辞めて６年近く経つ．いろいろなアルバイトをした．それぞれの道のプロ達の技量の高さに呆れた事などいくらでもある．廃品解体処分をやったときは、連中の作業スピードの速さに呆れた．耐震診断をやるときは、一級建築士達の読図能力の高さにほとほと呆れる．４０年前のドラフター手描き図面の青焼きから構造をスパスパと読み取るんだもの．
でもさ、そうやって呆れ果てても、すげー経験値だと感心するだけでおしまい．まして「悪いのは自分」だなんて１ｍｍも思わん．オレだって回路図ならスパスパ読めるもんね、へへへ．

だから、悪いのは自分ですとマインドセットされてしまっている人々の精神構造を理解できないんだ．能力差にも、潜在能力差と経験値差の２つがあるんだけど、「悪いのは自分ですから」って短絡的に内罰的な人々は潜在／経験の振り分けとかやってないんじゃないかな？ 経験値不足ならば石の上で３年修行すりゃクリアできるかもしんねぇし．

なんでそんなに内罰的なのかねぇ？

デフレの２０年で、転職という逃げ道が塞がれてしまったから、ブラック企業で洗脳＆搾取される立場から抜け出せなくなってしまった不幸があったかもしれない．ワンオペを完遂できない社員は出て行ってもらって構わない！みたいな社長の訓示があったりして．
そんなブラック社長に洗脳されちゃう人々もどうかと思うんだけど、運動会の徒競走で順位をつけちゃいけないなどという似非平等教育が流行した時期であり、能力差／経験差を識別する機会が奪われてしまったのかもしれない．
物質的飢餓感が払拭され、人間関係の円滑性が最重要課題に昇格したのかもしれない．


結論： よくわからない．わたしには彼らを理解する潜在能力が欠けているのは確かなことだ．


そうそう、ちなみにわたしは完全運痴という発達障害の一種であると自己分析しています．スポーツがまるでできません．こちらにその異常さを書きました．これは専ら潜在能力の問題ですので、自信を持って言えます．「悪いのは自分です、ゲームを盛り下げてすみません、わたしのような無能者は消えてしまうべきです」

エイメン


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