【にわかAVマニアの宇宙】 これは大画面で観たい美麗「ゼロ・グラビティ」

現実世界では宇宙船の事故が相次いでいるこの頃、皆さまにおかれましては益々ご健勝の事とお慶び申し上げます．
大変遅まきながら、宇宙事故映画の「ゼロ・グラビティ」を観ました．軌道上のシャトルに宇宙塵が降り注いで、命からがら助かるという物語．面白かったです．多くの人にとって観ても損はしないと思われます．

本作について最初にわたしが好感したのは、尺が９０分と短かかったことでした．エンドロールを除くと１時間２０分ぐらいだったのではないかと思われる．ダラダラと長い映画が多い中、この竹を割ったようなサクッと短い作品はよかよか．もっとも、CG製作のこの映画では製作費的にあまり尺を長くしたくなかったのかもしれませんが．

もう助からないと何度も絶望するシガニー・ウィーバーじゃなかったサンドラ・ブロックが勇気を奮い起こす、どっちかというとわたしが嫌いなタイプのヒューマンドラマなんだけど、それをクサ芝居にせずに物語の前半を引っ張っていったのは、船長のジョージ・クルーニーでした．なんとカッコイイ役だったことか？？？   「万に一つの可能性があるならば、冷静にそれを実行するお方」って人でした．

↓でもその船長さんは、還らぬ人となってしまいます．壊れかけたISSへ取り付くのには成功した２人でしたが、パラシュートの紐に偶然絡まっているだけの状態．そこで２人は助からんと判断した船長は、自らテザーを離して宇宙空間へと漂流していったのでした．漂流中も無線で指示を出し続ける船長．

↓なにより本作で良かったのは美麗なCGでした．何度目かの宇宙塵の衝突でISSがゆっくりと崩壊して行く様は、息を呑むほどの美しさでした．これは大画面で観たいと思った．わたしは劇場では観逃したので、いま上映中の劇場を検索したら木更津だけのようでした．遠すぎて観れません．

↓後半は、ちょっち盛り下がり．あの相対速度とベクトルを消火器噴射で姿勢制御するってのは、いかがなものか？と思わずには居られませんでした．

↓中国の宇宙ステーションに取り付いて、その着陸船で地上に帰還するんだけど、漢字のディスプレイを操作して大気圏突入するのってかなり無理と思われた．中国の宇宙船はソューズをベースとしたシステムなので、それほど当てずっぽうな設定でもないのですが、、、う～ん

好きな映画はいろいろあれど、好きにもいろいろとあって、「ゼロ・グラビティ」の場合は、美麗な宇宙を楽しむために繰り返し観たいと思う映画でした．

映画における宇宙飛行の描写というと、「２００１年宇宙の旅」のような慣性飛行なゆっくりとした描写か、「スターウォーズ」のような加速度を感ずるための描写か、そのどちらかにカテゴライズできてしまいます．ところが「ゼロ・グラビティ」はその上を行きました．慣性飛行描写もあるし、加速度描写もある、それに加えて回転モーメント描写で観客を船酔いにして吐かせるところが「ゼロ・グラビティ」が達成した新しい宇宙飛行描写でした．

宇宙塵がマシンガンのように降り注いで、船体崩壊する中を偶然かいくぐったものの、おかしな回転モーメントをもらってしまって宇宙がグルグルと回ってしまう．この辺を大画面で鑑賞して船酔いで吐くのが、わたしの願いになってしまいました．

かしこ

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