2014年11月17日月曜日

「ReLIFE」 WEBマンガと紙メディアマンガとの接点

まだ八雲校舎だった頃の東京都立大学マンガ研究会出身者として、気になるコトがあったのでコメントしておきたく思う.

WEBマンガの人気作品で「ReLIFE」というのがあります.  http://goo.gl/gK47cQ
わたしはとりたてて面白いとは思いませんが、新人マンガ家がデビューするハードルが紙メディア(書籍)よりも低くなって門戸が広がるのがWEBマンガの利点じゃろうて、と思っています.

このWEBマンガという新しいメディアは、スマホという表示デバイスの制約によって、原則としてスマホ画面が一コマ で描かれるという、紙メディアのマンガには無かった制約で描かれています.右の画面がそれでして、このような縦に連なるコマをバンバン縦スクロールしつつ読むという作法になっています.
表示デバイスがスマホですからこうなるのは仕方ないとは思いますし、新しいメディアには新しいメディアなりに妥当な作法が開発されるのは当然のコトでしょう.

ただ、縦スクロール作法だとコミックを発売できない点に懸念を感じました.
というのは、マンガ家の収益構造が、連載作品の原稿料ではさっぱり儲けにならず、コミックを発刊してはじめて印税がガッポリチョとマンガ家に入る仕組みになっているからです.由々しきことには、縦スクロール作法で描かれた画面をコミックに移植できません.右の1コマ目をどこで切ってもコミックの紙面に入りきらないと判るし、よしんば1コマがコミックに納まったとしても1ページ1コマになってしまったらコミックになりません.だから、WEBマンガはコミックの発売を放棄したビジネスモデルなのではないかと疑ったんです.だとしたらマンガ家にはキツいかも.マンガ家にキツいなら衰退するのではないか?

なんつうコトを考えていたら、ローソンで「ReLife」のコミックが売られているじゃありませんか.一体どうなっているんじゃろ、と立ち読みしてみたところ、少々驚きました.

↓コミック版ReLifeの実例がこれです.
縦スクロール形の原稿を素材として、がっつりと再編集して、紙メディアのコマ割りに移植してあるんです.これねぇ、、、、連載を抱えながら、コミックのための再編集をマンガ家がやるっていうのは、マンガ家が抱え込む新しい仕事じゃないでしょうか? 従来の人気マンガ家の働き方では負いきれない仕事量かと思います.ReLifeの作者が多忙とも思えないので現状では問題にならないでしょうけども、、、、
WEBマンガのReLifeと紙メディアのReLifeのどっちが良いかというと、コマ割りの自在さが優れる紙メディアの方が表現手法として巧みであると思いました.あと、WEBマンガはスクロールする手が疲れるのぅ.

手塚治虫先生は偉大でございますぅぅぅぅぅ

かしこ


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2 件のコメント:

  1. エモリーン2014年11月18日 5:28

    これ気になっていました。
    コマ割移植は編集がやっているのではないでしょうか?アニメのフィルムコミックのように。
    作者がやると作業量が馬鹿にならないし、編集がやると自分がやりたい!といった不満が出そうだし、どう考えてもWEBコミック(縦スクロール形式)→単行本は本流にならない気がします。

    あと、スマホ特化の縦スクロール形式は、ページを捲る「間」がなくて、正直自分には読みにくいと感じました。でも、これで漫画を読む人が増えれば、もしかしたらこちらが主流になるかもしれませんが…
    でもまぁ、5年後にスマホは新しいデバイスに取って代わられている可能性を捨て切れませんが、本は多分残っている事でしょう。
    結論としては、手塚治虫先生は偉大也!って事で間違い無いと思います。

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    1. コマ割りをマンガ家がやるか編集がやるか?
      まさにそういう新しい分業体制の発祥でして、それに連想して思い出すのはハリウッドの映画制作で、監督は撮影責任者にすぎず、編集責任者が別に居るという、あの信じがたい方式みたいです.
      それと根本的には、コマ割を「後で決める」手法がマンガ制作において正当とはいささか思いがたいです.
      <<ジーク手塚治虫先生>>

      最中さんの意見をききたいわ

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