2016年12月9日金曜日

【電通自殺】 時短は解決策じゃないよ、目的関数は時短ではないもの

電通のOLが過重労働で自殺した件がきっかけで労働時間短縮=時短に関心が集まっているこのごろかと思います.

この問題は、ブルーカラーとホワイトカラーでは違います.

ブルーカラーについては、とにかく時短すればよいという志向でOKでしょう.おしまい.

問題はホワイトカラーです.

次は善か悪か?
・仕事が遅いと上司が文句いうこと
・徹夜してでもやれと上司が命令すること
・仕事のoutputがショボイと上司が文句いうこと
・これらを受けた部下は長時間労働で解決しようとすること

うざったい上司だから悪だ、という気持ちはわかります.だがそういうレベルの貴方は上司にはなれない.たとえ上司という立場になっても、貴方の上司から一目置かれることはないし、貴方の部下から尊敬されることも無いでしょう.

上司というのは、アクセルを踏む役割なのです.檄を飛ばす、お前はプアなんだよと文句を言う、それはRPGでいうそういうキャラクタ設定なんだからある程度仕方ないことです.それをしない上司なんか上司ではない.魔法を使えない魔導師みたいなもの.上司とは、時短をする人ではなくて、時長ばかり仕掛けたがる役割(=アクセル役)だという事を忘れてはいけません.

電通OLが自殺した職場の過酷さにヒラサカは耐えられないだろうし、その職場の上司はやりすぎというコトで追放されるのが相応しいでしょう.ただ、上司にアクセル役というロールプレイを捨てさせることで事態収拾を図ろうとするのは大きな過ちだと言いたいのです.

たとえばこういう記事にわたしは違和感を覚えます.上司が檄を飛ばすロールプレイは悪であるという前提に立ち、その悪の根源は戦時体制にあり、というロジックになっています.

繰り返しますが、檄を飛ばしたり、この手抜きがぁ、と上司が文句を言うのは必要悪ですよ.上司の給料には、その嫌われ賃も入っているのですよw

わたしには時短時短と騒ぐ風潮が、部下を叱咤する上司を悪者認定するのと並行して、部下に労働時間上限と云う免罪符を与えようとする動きに見えてしまいます.それに全面的に賛成するべきではありません.世の中の上司の皆さんにもご賛同いただけるものと思います.

正しい対策は、、、
・上司にはアクセルを踏む役目だけをやらせる
・ブレーキ役は、人事・労務・総務・産業医・労組 などに権限委譲する
・上司は、人事・労務・総務・産業医・労組 からのチェック&ブレーキに抗えない仕組みにする(=目に余るようだと飛ばされる)

要はアクセルとブレーキの権限分担です.これは必須.電通にそれが在ったとは思えない.あの自殺OLの追い込まれ方で産業医が登場しないような仕組みだったらそれは仕組みが機能してないです.

ところが、時短論とか軍隊文化説は、上司の権限規制にfocusしている風ではあるが、アクセル権限とブレーキ権限の分離は何故か眼中にない.それはピントがずれている.すると時短だけが一人歩きして残業時間の書き換えだって上司の思うがままになり、やがて、、、労働者の手取り額が減るだけ~(泣)  ←これが裏の目的か!陰謀だ!経団連大勝利!

時短は社員保護のための企業の様々な取り組みの結果として達成される指標の一つであって、時短を目的関数にしちゃぁいかんよ.

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小企業では人事・労務・総務・産業医・労組なんか無いからチェックが無理だって?

その通り.

小企業にはアクセルとブレーキの権限分担なんつうお題目を唱えてもリソース不足ゆえ実現は無理です.時短とか言っても自転車操業だから無駄.事故が起きて労働基準監督署にバレない限り当局の指導が入る心配もありません.

なので、ブラック小企業の労働者にも幸福を招来するのは別の手段でないとダメでしょうな.

失業率を下げて、労働者の売り手市場になるようにして、ブラック小企業から労働者が逃散できるようにしなくちゃいけない.

あれれ?どこかの政権がやってることみたいだなぁwww   ワタミやすき家のブラック経営がバイトの逃散でサクッと行き詰まったのを見たよねぇ.

かしこ

2 件のコメント:

  1. 自己コメですが、
    ・上司と云う権力者を打倒すれば今よりマシな未来がやってくる
    ・バカな部下を許し、バカな部下基準で制度設計しろ
    ・時短で手取り額が減るけど、みんなで貧乏になるんだから絶対正義だ
    ・上司のパワハラは軍事体制に源流がある

    ↑これらって、ぜ~んぶ共産主義者がぺちゃくちゃ喋るテーゼそのものじゃね?

    民間企業のサラリーマンにとって、明るく健康な会社員生活を送れるコトはもちろん大切だが、それよりも大切なコトがあるだろう.それは、働いたなりに青天井に稼げるコトでしょう.もちろんそれは、働かなければ収入が減るコトも含意していなくてはならない.

    小学校の徒競走で順位をつけないなどという日教組教育の暴走が影を潜めたかと思ったら、こんどはサラリーマンに時短と云うアンチ競争制度を導入する動き.あの安倍政権ですら、国会で時短議論をしているのには困っちゃうよ.

    わたしが新人サラリーマンだった1980年代後半、まだサブロク協定が無かったか、遵守に不熱心な時代だった.70時間残業して毎日がボーナスとか喜んでいた.基本給が安いが体力はある若年サラリーマンにはそういう稼ぎ方が在った.
    その後、デフレの深刻化によるワークシェアリングの流れでサブロク協定が強化されたのかと想像するが、いまじゃ残業代で稼げなくなったよね.

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    1. 毎日がボーナス ×
      毎月がボーナス ○

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