久しぶりの住宅リフォームシリーズです.1月30日以来となります.
今回は、給水あるいは排水につかう、ビニールパイプの施工のしかたについて解説します.ビニールパイプの施工方法がわかると、庭に水道の蛇口を取りつけたりできます.
施工方法を簡単に言えば、ビニールパイプを切って、接着剤をドバッと塗って接着すればOKなんですけど、難しいポイントは、
●給水は、水圧が加わりますので、水漏れしないだろうなとビクビクすることになります
●排水は、重力で水を流すために1/100ぐらいの勾配をつけて固定するのが難しいです
今回は最初ですので、ビニールパイプの基本的な加工方法だけを解説します.
●パイプの採寸
技能オリンピックじゃないのですから1mm単位でキッチリ施工する必要はありませんので、パイプの採寸は現物合わせでよいと思います.ただし、接合部の「Z寸法」は考慮してください.Z寸法とは何か? たとえば下図は二股分岐させる「チーズ」という部品ですが、中心点から3方向に38mmの大きさの部品です.チーズにパイプを挿入して接合しますと、力一杯挿入してもせいぜい23~24mmしか入りません.したがって奥の方で15mmは遊んでいるわけです.これをZ寸法と呼びます.なので、現物合わせでパイプを採寸したら、Z寸法のぶんだけ短く切断しなくちゃいけないわけです.Z寸法は、パイプの太さや部品形状によって様々ですので、部品の図面を見て「この部品はZ寸法が20mmだ」などと理解して進んでください.
●パイプの切断
切断面が直角になるように気をつけながら、パイプカッターまたはノコで切断します.ただし、パイプカッターによる切断面は凍結時に割れることがあるので、プロはノコで切断するらしい.ノコ切断時はケガ予防のため軍手は必須.下左写真はグルグル回してパイプをカットする工具ですが、これは使いません.ビニールパイプは軟らかいのでこの工具を使う必要がないからです.下図の赤い工具はハサミのように切れますので便利です.ノコは下図の安っぽい工具でOKです.木工用のノコを手持ちでしたらそれでもOKかと思います.刃が欠けませんように...
●面取り
切断面はリーマで外径と内径を軽く面取りします.
●接着
まず、想定される挿入寸法(23mmとか)にマジックでマーキングしておきます.ウエスで接着面の内外を軽く拭いた後、内面へ接着剤をまんべんなく塗布し、外面に接着剤をまんべんなく塗布し、マーキングしておいた挿入寸法まで一気に押し込みます.接着剤が固まるまで20秒ぐらい保持します.冬の方が固まるまで時間がかかるので、冬は30秒ぐらい保持します.保持時間が短いと、差し込んだパイプがにゅるーっと戻ってきてしまいます.特に太いパイプで戻りが顕著ですので注意しましょう.接着剤には、速乾性と遅乾性があり、太いパイプでは遅乾性をつかうことが多いそうです.挿入する時には手が滑らないように素手でやるのがおすすめです.ハミ出た接着剤はウエスで拭き取ります.
訓練校では下図のような複雑な構造を作る練習をしました.
●接着部の修正/垂直出し
接着後数分以内であれば、接着部を外すことができるので、間違った部品を接着してしまった場合は強引に外してやりなおすことができます.パイプが割れるんじゃないかという心配を無視してとにかく力一杯接着部をひねれば外せます.
直角に接着したかったけれど曲がっちゃったなんていうこともよくあります.そういうときには数分以内なら力で角度を修正することもできます.
●圧力試験
素人の工事では圧力試験はやらないと思いますが、マンションだと水漏れ事故は高額の賠償問題になるので、できれば水圧試験をやったほうがいいでしょう.1時間以上放置して接着剤が固まってから実施します.この時点ではまだ蛇口は取りつけてないので、全てのオープン端を塞ぐためにテストプラグで栓をします.テストプラグは下記のオレンジ色の部品です.テストプラグは空気を通すが水は通さない特殊仕様の止水栓です.どこか一箇所にポンプを接続し1.75MPa(17.5気圧)を与え、圧力低下の有無をチェックします.滴る程度の水漏れでも圧力計が下がるので検出感度は高いので、ピンホール程度の穴であっても数分で検知できます.数時間経っても圧力低下が生じなければ太鼓判です.
圧力が低下したらどうするか? 滴る程度の量ですけど、水漏れしてる場所を探さなくちゃいけません.困っちゃいますぞー.
今回は、ビニールパイプの基本的な加工方法までを解説しました.
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