2012年3月14日水曜日

職業訓練 住宅リフォームシリーズ 025 配管工事2

前回は、ビニールパイプの基本的な加工方法について解説しました.

配管工事の解説は、内容が盛りだくさんなのでかなり長引くんです.
  1)ビニールパイプの加工方法     ←前回書きました
  2)給水管の実技課題     ←今回はこれ
  3)排水管の実技課題
  4)銅管の加工方法
  5)銅管の実技課題
  6)さや管ヘッダシステム
  7)模擬家屋の配管
  8)水洗トイレと洗面台の取りつけ

今回は、ビニールパイプを使った給水管の実技課題について解説します.管工の資格試験をパスするための実技課題なので、実際の施工では不必要とも思える高精度を追求するカリキュラムではあります.

●下図は、実技授業の課題です.大きさは60cmぐらいの物体です.13Aという文字は内径13mmのパイプという意味です.これを、±2mmぐらいの寸法精度、直角はピッタシになるように組み立てます.そのためにはどういう順序で組み立てるのが良いかを丸数字で表しています.(ヒラサカの主観です)
数字順に手順を追ってもらうとわかりますけど、所望の長さにパイプを一気に切断してから一気に接着するという手順をあえてしないようにしています.その理由は、寸法を決める時をなるべく後にしてなるべく誤差をキャンセルするためです.この構造で難しいのは、①と⑫の面内平行です.
  ① → パイプを切断せずに接着する.水栓ソケットのZ寸法はドントケアでよい.
  ② → トータル250mmになるように、Z寸法を織り込んで250-15=235で切断する.
  ③④ → 接着および切断.切断寸法は、250-15=235である.
  ⑤⑥ → 接着
  ⑦ → 長いままでパイプを接着
  ⑧ → 280mmになるようにZ寸法を織り込んで280-15=265mmで切断
  ⑨⑩ → 接着し、235mmで切断
  ⑪ → ②と⑩が平行になるように注意して接着
  ⑫ → 開口部がまっすぐになるように注意して接着

●次の課題は、13mmのパイプと20mmのパイプの混在で、立体的な構造で複雑です.この図面はアイソメ図と呼びまして、3次元物体をXYZの斜行軸に投影した管工屋がよくつかう表現です.
複雑な構造なので、平行や直角をケアしなくちゃいけない場面をなるべく後回しにするのが吉です.そのために、①②③④⑤⑥と⑦⑧⑨と⑩⑪⑫⑬と⑰⑱⑲⑳の4つのモジュールを別個に組み立てます.その後の組立手順は、平行や直角を意識して接着しなくちゃいけないきわどい場面ばかりが続きます.管工の資格試験に挑むには、アイソメ図を見て机上で組立手順をプランニングできる必要があると思います.
  ①②③④⑤⑥ → 一気につくる
  ⑦⑧⑨ → 一気につくる
  ⑩⑪⑫⑬ → 一気につくる
  ⑭ → ⑦⑨⑩の平行を出して接着する
  ⑮ → ①③④と⑦の平行を出して接着する
  ⑯ → とくになし
  ⑰⑱⑲⑳ → 一気につくる
  ㉑ → ⑰の垂直を出して接着する
  ㉒㉓ → 一気につくる
  ㉔ → ㉒の垂直を出して接着する

●組立終わったら、寸法をチェックして、圧力試験をします.
←寸法チェック風景


というような実技課題をやったわけですが、現実の施工で上の写真のような複雑な構造を施工する場面は滅多にないと思われます.

それどころか、建設業界の趨勢としては、給水管の接着不良による漏水が損害賠償など深刻な被害を起こすのを嫌気して、ビニールパイプで施工すること自体を避けようとしているらしいです.その解が「さや管ヘッダシステム」です.右写真のような柔軟性のあるパイプを引き回して、ジョイントは差し込み式にする施工方法です.これは当シリーズの後の方で解説します.


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