2012年8月3日金曜日

中国が尖閣をほしい理由は石油よりも人民元通貨発行枠という説

尖閣諸島の地権者に土地を売ってくれと各方面が言ってます.国は20億円を提示.最初に買うと言った東京都の募金は14億円貯まっている.中国は300億円を提示.地権者は40億円の借金がある.などといろいろな噂があるようです.

そもそも中国はなんで尖閣がほしいのかというと石油が欲しいんでしょう.歴史的に中国の土地だったなどとお得意の歴史改竄なんかしてないで、石油萌え~と言えばいいのにさ.それで石油を盗りに行く観測気球としてなのか、漁船による突撃なんていうよく判らない事件を起こし、船長が日本の司法で裁かれそうになると在中国の日本人を人質にとって釈放を迫ったと.

ところで、なぜ石油が欲しいのかについて興味深い説を知りました.宇田川啓介著 「2014年、中国は崩壊する」という本なんですが、こういうセンセーショナルな売らんが為のタイトルの新書なんかあまり読まないんですけど、宇田川という著者がおもしろい人で、先日失脚した中国の大物政治家の薄熙来のオトモダチなので、監禁されているであろう薄熙来とホテルで会食したというんです.いったいどういう奴だって思いました.

石油に話を戻します.経済発展する13億人分の石油を確保しなくちゃいけないからという平易な事情理解はまぁ間違いじゃないのですが、その本によるともっとマクロ経済的な事象に基づく政策だというんです.

中国は加工貿易で外貨を稼ぐ経済発展モデルを採用しています.加工貿易を成立させるには人民元の為替レートをUSドルに連動させなくちゃ外資が逃避してしまいます.一方USAの中央銀行であるFRBはリーマンショックへの対処のためにUSドルを3.5倍ぐらい刷りドルを大量発行して名目インフレ率が2%ぐらいになるように調節しています.するとこれで中国は困ってしまうわけです.人民元をUSドルに連動させて価値下落させなくちゃイケナイわけですから、人民元も3.5倍とはいいませんが大量発行しなくちゃいけません.
ここで中国のジレンマです.人民元は変動相場制ではないので、人民元を刷る裏付け -----金本位制の時代はゴールドが通貨発行の裏付けでした--------  が必要です.いまの中国は何を裏付けにしているのでしょうか?早い話が尖閣もそのひとつだと宇田川啓介はいうのです.  中国においては、全ての資産が共産党の所有物です.通貨発行の裏付け帳簿には、ありとあらゆる国富が計上されています.地下資源の推定埋蔵量も国富として計上されています.そうしてなんでもかんでも計上した国富に基づいて中国の中央銀行が人民元を刷る.人民元を刷れば、下落してゆくドルに歩調を合わせて人民元の価値を下落させられるので、加工貿易による経済発展モデルの賞味期限を延長できる.

つまり、中国が内需主導型の経済発展モードに切り替わるまでは-----それがいつかは知らないけど------加工貿易持続のためのUSドル連動を続けざるを得ず、ゆえに、通貨発行の裏付け獲得のために領土拡張による国富増もアテにせざるを得ず、異民族が住んでないただの海である尖閣はチョー美味しい場所である、という話なんだそうです.国富帳簿に載せることが尖閣盗りの目的なので、実際に油井を掘る必要なんか無くて、実効支配さえできてしまえばOKなのも尖閣の美味しいとこと思われます.だから地方の軍閥もどきの暴走とか、人民解放軍の暴走とかっていうナショナリズム的な尖閣盗りではなくて、マクロ経済的に合理的な尖閣盗りだというんです.合理的とはいえ、これってかつての帝国主義の事情と同じですねぇ.固定相場制の下でインフレ政策を持続させようとするとロクなことにならないです.

人民元が変動相場制に移行すれば国富増加の悩みからは解脱できますが、人民元が今の3倍に急騰して外資がサクッと逃避してしまうのも明らかなわけで、どっちにせよお困りの事情御察し致します.


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1 件のコメント:

  1. >監禁されているであろう薄熙来とホテルで会食した
    第二のノビーか。( ´△`)

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