2019年2月11日月曜日

【にわかAVマニアの特許】TripathのUS特許に書かれていることは?

良音を求めて様々な取り組みを行っているにわかAVマニアの平坂です.本日もヨロシクお願いいたします.

わたしは特許文書を読むのが好きである.新規性のある要件をご丁寧にも図表入りで解説してくれ、しかもworld wideの検索システムが完備している.なんて便利なんだこのやろう!

それで今回はTripathのアンプの秘密の信号処理についてだ.
Tripathの造語でClass-Tと呼ばれる技術のUS patentはこれらしい.(US5777512A
「Method and apparatus for oversampled, noise-shaping, mixed-signal processing」

読んでみたんだが、そんなに大したことは書かれてないんだよ.
骨子はこうゆうことだった.
1)デルタシグマDACの性能改善技術についてである
2)従来技術の問題点は、、、パワーアンプの出力FETは様々なswitching lossの発生源である
3)解決手段は、、、出力FETのswitching波形からデルタシグマ初段へanalog feedbackする.feedback経路にLPFを入れるとなお良い

※ちなみにデルタシグマDACについてはこちらを読んでみてね.

↓デルタシグマDACのブロック図はこんなものである.

↓Tripathがクレームするところの、loopに出力FETとLPFをぶち込んだブロック図はこう描ける.FETが発する様々なnoise波形をanalog feedbackするために「1bitDAC」を「レベル調整(=アンプ)」に変更してある.特許文書には様々な派生が図示されているが、単純にはこれがTripath特許の本質である.
Tripathはまた、FETが発するtiming errorを補正するためにはover samplingが重要だとも述べている.その視点で考えればLPFを入れてしまったらダメじゃね?って思うのだが、Nyquist freq.越えの帯域だけをカットするのが主旨のようだ.

先日、Tripath TA2020の音を聴いてみた.
【にわかAVマニアの試聴】Tripath TA2020-020でスピーカーを鳴らした
やけにトルクフルな音で驚いたのだったが、それはこの特許文書の寄与で得られるとは考え難い.なにか別のことをやってる気がするTripathさんだ.

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Tripathアンプのキモの部分は、loop内に出力スイッチングFETが在ることだ.

ところが、TripathのICラインナップには、TC2000やTC2001のような、PWM段とパワー段を分離した構成のICがある.これだとFETの歪みをキャンセルしないのではと心配になる.
この写真のアンプがまさにそれだ.PWM段にTC2001、パワースイッチング段にSTA508という独立IC構成である.

しかしTC2001の仕様をチラ見したところでは、FET→TC2001へのfeedbackピンが設けられているので杞憂だったようだ.

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Ucd方式D級アンプというのがある.これがTripathのさらに先を行ってるように思われる.Tripathが出力FETからfeedbackするのなら、Ucd方式はスピーカー端子からfeedbackするのだ.原理的にはUcdに軍配があがるように思う.

Ucd方式のパワーアンプがメジャーオーディオメーカーから発売されたという話をわたしは知らないが、InnocentKeyさんという日本の会社がプリント基板を販売している.(過去形かも)
http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=936
なんと、2015年にマランツがUcdアンプを出してたよ.

わたしもUcdを回路simしたことがあって、まだ実機製作はしてないんだけどね.
【にわかAVマニアの比較】 自励式D級アンプなんていうのがあるのよ
【にわかAVマニアの歪率】 Ucd方式D級アンプを改善する
【にわかAVマニアの歪率】 Ucd方式D級アンプを改善する(2)
【にわかAVマニアの調達】 Ucd方式D級アンプのICは買えるか

Tripathでひとしきり遊んだら、Ucdを自作してみようそうしよう.

かしこ

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