今回は回路技術ネタですので、電気屋でない方にはよくわからないと思います.
ポリスイッチというデバイスがあります.SMDの製品が多いと思いますけどわたしが手持ちしているのはリード部品で、まるでコンデンサみたいな外観です.
ポリスイッチって何?
過大電流が流れると切れる一種のヒューズです.普通のヒューズは一度切れるとそれで死亡ですけど、ポリスイッチは何度でも生き返る、そして何度でも死ねるという面白いヒューズです.
ポリスイッチの原理は?
ポリスイッチの素材は、カーボンを練り込んだプラスチック素材で、通電すると発熱します.発熱するとプラスチックが膨張し、カーボン粒子同士の接触導通が遮断されるので抵抗が高くなって導通が切れます.ポリスイッチが切れた状態で触ったらチンチンに加熱していました.冷えると導通が復活します.
下左図は冷えた導通状態.下右図は加熱して切れた状態です.青い○がカーボン粒子.
ポリスイッチの特性は?
加熱して切れるというと、ヒューズみたいに一瞬で切れるのでしょうか? 挙動が気になるので遊んでみました.
用意したポリスイッチは、公称遮断電流300mAの製品です.
常温での抵抗 → 1.5Ω実測 意外と高いです
定電流源で600mA流したら → 切れるまでに20秒かかった 切れた状態で5V 130mAの保持電流が流れた 触るとチンチンに加熱している
定電流源で500mA流したら → いつまで待っても切れない
600mAを越える定電流源を持ってないので、20V2AのACアダプタをポリスイッチでshortすると、1秒も経たずに遮断している様子です.
というわけで、公称遮断電流を少しでも越えたらザクッと切れるような挙動のデバイスじゃないですね.つまり、太い電源をバチッとさせないのには役に立つけど、細い電源を切るのにはあまり期待できないようです.ということを理解した上で使うことにしよう.
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こんばんは 定格の2倍が遮断電流と云うことになっています、
返信削除例えばNFBでも200%遮断が1時間とかに成っていて、
多くなるほど遮断時間が短くなり、1000%でも200mSくらい掛かったりします。
半導体保護用は金ボールを電極で挟んだ構造とかが多く100mS以下が多いようです。
フューズや遮断器ってそんなもんです。
40年ほど前に東淀川F社にfuse遮断特性試験機(2台)を入れたことがあります。