2017年11月3日金曜日

ブレードランナー2049 ≒ 猿の惑星 (ネタバレ)

ブレードランナー2049を観ました.¥1800の値打ち無し.猿の惑星みたいだと思っちゃった.

USでは客の入りがスカスカだそうですが、日本では渋谷・新宿では毎回ほぼ満員になっているみたいですからスカスカではないように見受けられます.

USでウケなかった理由を想像すると、それまで奴隷や愛玩動物だった生命が組織だって反抗する物語ということで、それは直前に公開された猿の惑星みたいなストーリーであることと、ブレードランナー2049では反抗計画実施の前段階で終わっていてUSの観客のカタルシスを満足させられなかったこととの二重苦だったからではないかと思いました.

上映時間は3時間ぐらいなのですが、3時間を要するほど緻密なストーリーではありません.スゲー分かりやすいです.分かりやすくするために無駄が多い.USのオツムの悪い観客を納得させるために時間をかけて説明したら3時間になっちゃったのかも.とりわけ不要だなぁと思ったのが、主人公が恋人として飼っているAIと、リアル娼婦とを重ねあわせて性行為をするシーンでした.削除してしまって観客に諸事情を脳内補間させりゃいいだろって思った.

映像がプアでした.初代ブレードランナーの映像美を再現するには、LAの高層ビルを縫って飛ぶスピナーを描けば必要十分である、というのが2049の制作陣の仕事でした.手抜きでがっかりさせるなぁ.ソニーの映画ってこういうセコい事をするので嫌いなんだ.
初代では、LAを飛ぶスピナーという外部描写だけでなくて、室内美術も凝りまくっていたじゃないですか? 最も思い起こされるのはJFセバスチャンの部屋です.おもちゃが所狭しと置かれていて、オルゴールのような音とクリーチャーの鳴き声の響くあの部屋です.プリスの異形の死に様も美的でした.
ところが2049の室内美術ときたらあれじゃフツーのドラマのセットだよ.デッカードが潜んでいたアジトの撮影は、カジノホテルで撮影しただけでした.埃っぽさの演出としてデジタル処理で黄色くしてました.あぁぁぁ手抜き.LAをスピナーが飛んでれば満足できてしまう程度の人しか観客として想定してません、2049は.

初代のラストで「生のある者も、生のない物も、やがて等しく死ぬ、雨に流される涙のように」という諦観が語られます.けれどそれはテーマのような大げさな物ではありませんでした.初代はストーリーやテーマなんかに頼らずに幻惑的映像で押し切ってしまう映画でした.そういう映画は貴重だと思います.
ところが2049には、レプリカントの総決起というストーリーがあるんです.革命映画なんですよ、とほほ.

エンドロールに、ショーン・ヤングが出てました.

ヴァンゲリスのBGMはほとんど使われていませんでした.

以下はネタバレですのでまだ観てない人は読むの禁止です.


スクロール





















ストーリーを時系列で記します.

2019年、デッカードとレイチェルは逃亡する.ネクサス6であるデッカードとレイチェルだったが、彼らはタイレル博士が仕込んだ途方もない機能を持っていたのだ.それは生殖機能.デッカードとレイチェルは女子を授かる.ネクサスの地下組織はデッカードが組織したものなのか、既に存在していたのかは不明だが、女子は地下組織によって匿われる.

タイレル社はネクサス6をディスコンにし、安定したネクサス8を生産するが、2022年、ネクサス8が核EMPで全米に大停電を引き起こす.通称ブラックアウトと呼ばれる.ブラックアウトにより、データセンターは破壊されデジタルデータが消滅した.タイレル社は倒産.レプリカントの生産は中止される.

その後、ウォレス社がタイレルの特許を買収し、レプリカント生産を再開する.人類は9つの植民星にてウォレス製レプリを働かせている.

以降が2049本編となる.

2049年、レプリの需要は植民星のために逼迫しているが、レプリの生産人数は限られる.ウォレスはレプリに生殖機能を与えることで生産人数限界を撤廃しようとする.ビニールから誕生したレプリは生殖機能試作であるが、失敗作なので間もなく処分される.

主人公はブレードランナーのK.彼はウォレス製レプリである.旧型のネクサス8を狩るのがKの仕事である.ちなみに凶悪なまでにカワイイ女子はKが飼っているAIのおねえちゃん.(AIおねえちゃんはstory上重要ではない)
Kはネクサス8の疑いのある者を狩りに行く.アジトの地中埋設物を発掘したところ、それは女性の人骨であり、驚くべきことに出産の形跡のあるレプリだった.骨の製造番号を辿るがブラックアウトのデータロストのため追跡は途切れるかに思えた.
Kは骨のDNA解析から辿った孤児院=奴隷労働施設へ向かう.なんとそこにはKの幼少期の擬似記憶に在る馬の彫り物が実在したのであった.擬似記憶ではなく、K自身の記憶なのかもしれない.

Kは馬の記憶が本物なのか擬似記憶なのかを確かめるために、記憶製作者を訪ねる.何者かの本物の記憶だと判明した.Kは自分こそがデッカードとレイチェルの子供なのではと疑い始める.
骨は、ウォレス社の秘書レプリによってLA警察署から強奪される.ウォレス社長は、デッカードとレイチェルの子供の存在を察知しており、生殖機能サンプルとして行方を追っていたのだった.

Kは、馬の彫り物の生産地をつきとめた.そこにはデッカードが隠れ棲んでいた.
足のついたKをウォレス社が急襲する.連れ去られたデッカードは、子供の行方を吐くよう強要される.骨DNAから再生したレイチェル(たぶん3人目)が登場するが、デッカードは「レイチェルの瞳はグリーンだった」と嘘をついた.レイチェルは処分される.(ここのレイチェルはCGであろう、なかなか良く出来ていた)

デッカードのアジトに放置されたKのところに、レプリカント開放団が救助に来る.レプリ開放団は子供を押し立てて革命を起こす予定であり、Kは仲間になるよう説得される.子供は女子であると告げられる.(なんか猿の惑星だ)

Kは戦闘の末、ウォレス社からデッカードを奪還し、デッカードを娘に引き合わせる.娘は記憶製作者であった.

雪の降る中で、傷を負ったKは静かに息を引き取る.ロイ・バティのように.(ここでヴァンゲリスのBGMが使われる)

fin.  (革命は今後のお楽しみ)

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