2018年5月9日水曜日

西崎彰司という「宇宙戦艦ヤマト」ビジネスの中心人物と、これからのヤマトについて想うわたくし


祝追記 2019.3.30: 2202第7章の舞台挨拶で、続編制作決定が発表されましたね.無敵ヤマト、止まる所を知らず.ガーレガミロン.

------
先日、伊豆長岡温泉へ行ったとき、読みかけだったこの本を読了しました.「宇宙戦艦ヤマトをつくった男 西崎義展の狂気」です.2202第5章の上映が間もないこの時期に読了できてよかった.

「西崎義展の狂気」の前半は、初代ヤマト~さらばヤマトまでの、大ヒットで大喜びする辺りまでです.後半は、後続のヤマトがヒットせず、西崎氏の仕掛けた映像ビジネスが振るわず、刑務所に入り、出所し、ヤマト復活編が制作され、海の事故で亡くなるまでです.

ひら的には後半が興味深かった.何故かと云うと過去の出来事じゃないからなんです.現在、2202第5章が公開間近ですが、「西崎義展の狂気」の後半に登場する平野彰司という人が2199にも2202にも濃厚に関与しているんです.

------
わたしは初代ヤマトが別格的に大好きで、さらばヤマトはまぁ支持する程度で、それ以外のTV版や劇場版には批判的でした.(先日、復活編を観たけど出来悪かった~)
西崎義展氏の死後に、2199が制作され、西崎彰司という人がテロップに出てくるのを見て「あぁ息子が版権を相続したんだな」と思いました.2199は間違いなく成功した作品です.復活編以前の「失敗版ヤマト」は西崎義展がでしゃばり過ぎたのが原因でしたが、2199ではアニメ制作者に任せたのが成功の一因だったでしょう.

それで2202が今制作中ですが、本音を云うと2202は微妙なデキで終わると予想していたんです.
2199の評価ポイントは、1)初代ヤマトリスペクト路線、2)画面レイアウトとメカ機動の美麗さ、であるとひら的には思っています.
ところが2202は1も2もさほど強くは追求してません.2202で根性入っているのは福井晴敏さんの脚本なんです.しかし脚本だけで支えられるほどヤマトという作品は軽くありませんから、こりゃヤバいだろと、それが2202第1章の頃のやや悲観的な見立てでした.

ですが、2202第4章を観るにつけ、2199~2202を通じた企画意図が見えたように思います.
・2199の役目は、2010年代のコンテンツとしてヤマトを再起動すること
・2202の役目は、ヤマトの物語を持続不能にしてしまった「さらばヤマト」を上書きして、ヤマトビジネスを持続可能にすること
・ヤマト制作委員会は、ヤマトビジネスで今後もenjoyし続けたい
・ヤマトの続編を制作する意欲がある  → ヤマトファン歓喜!
推測ですよ、推測.

だとすると2202は、デスラーは死なず、ヤマトクルーは特攻せず、ヤマトが超巨大戦艦と刺し違えることもなく、、、という具合に、福井晴敏脚本はさらばヤマトとはかなり違う展開へ進んでゆくと想像しています.

いまのヤマト制作委員会のキーパーソンは誰なのか?
「西崎義展の狂気」によると、ヤマトの原作権は西崎義展氏が、商品化権は東北新社が持つそうです.(借金のカタとして東北新社に商品化権を譲渡した)
氏名からすると息子であろう西崎彰司氏が原作権を相続したのだと推測されます.西崎彰司氏は2199,2202にどのように関与しているのでしょうか?
ところが、西崎彰司氏を検索しても情報はほとんどありません.
なんと、「西崎義展の狂気」の後半に登場する平野彰司という人が、義展氏の養子になり、原作権を相続し今に至るのだそうです.養子になってまで原作権を継ぐとは、ヤマトビジネスへの執念を感じませんか? ヤマトファンとしては頼もしいことです.

------
「西崎義展の狂気」からの記憶で書きますと、西崎彰司氏とヤマトの関わりは、、、
・元は音楽関係のビジネスをやっていた平野彰司という人
・ヤマトファンではないが、音楽関係者からヤマトのコンテンツとしての魅力を聞く
・松本零二氏と旧知であり、ヤマト新作の準備をする
・松本氏が原作権訴訟で敗訴してヤマト新作は空中分解
・獄中の義展氏に接近、養子になる
・義展氏出獄後の高級マンションは彰司氏の自腹による物件
・彰司氏により進行中の復活編が義展氏に乗っ取られる
・義展氏死去、ヤマト原作権を相続
・2199制作
・2202進行中

関係者によると、彰司氏の義展氏への献身的姿勢は相当なものだったそうです.
ヤマトビジネスへの執念を感じます.

つい先日、ヤマト復活編のBDを観たのは、テロップに西崎彰司氏の名を確認するためでした.確かにその名がありました.
義展氏が映像作品を仕切ってもどーせロクなのが出来ませんから、出獄した義展氏が張り切って復活編がああなっちゃったのには、ありゃ~と思っちゃいました.義展氏は編集にまで手を出したのだとか...

2199や2202における西崎彰司氏はでしゃばってないご様子なのでいい感じです.

2202の後続のヤマトをどうか推進して下さいまし~ 彰司さま~

------
最後にヤマト愛について.

わたしの知人のヤマトファンが異口同音にいうのは「ヤマトは特別なんだよ」という想いです.これはわたしも同じです.ヤマトへの特別な想いとは何なのでしょうか?

日本のアニメマーケティングを大きく変えた作品を挙げると「アトム」「マジンガーZ」「ヤマト」「ガンダム」「エバンゲリオン」ぐらいでしょうか.

若い人には想像できないと思いますが、アニメBGMのLPレコードが初めてヒットしたのはヤマトなんです.また、設定資料集が初めて売れたのもヤマトであり、プラモデルが飛ぶように売れたのもヤマトが初めてだったんです.アニパロと同人誌もヤマトで拡大したかと.アニメマーケティングに大きな足跡を残したヤマトでしたが、全くダメだった事が一つだけあります.それは、後続の類似作品が派生しなかった、ということです.

ヤマトとは異なりロボットアニメは大繁栄しました.マジンガーZがガンダムとって替わられ、途中でマクロスという派生があり、エバがあり、ガンダムUCの続編がまだ作られようとしているんですから、かれこれ40年間もロボットアニメは続いています.

しかし、ヤマトはヤマトだけです.メカをソリッドに描いた初めてのアニメであり、SF考証に凝っていて、波動砲で活路を拓く戦術があり、沖縄への手向けとして沈んだ戦艦大和の蘇りであり、負けた戦争を逆転するsimulation storyでもあります.すなわちヤマトはSFなだけでなく、わたし達の歴史的心情的諸事情を巧みに汲み上げた作品だと思います.それが「ヤマトは特別なんだよ」という想いの根本ではないでしょうか?

アニメ演出面でも並外れて優秀でした.「西崎義展の狂気」で山本泰人さんがこう述べています.
『ヤマト』が本当に凄いのは、テレビシリーズ第一話の最初の15分.できれば僕の言葉を念頭に置いて、もう一度見てほしい.フォルム(画)の小さいのはともかくとして、中でやってる処理、カメラワーク、音楽----これは今見ても映像をわかる人には震えがくるようなものがあります.『ヤマト』以前のアニメではやってないと思うようなことをやってますから.

そうだ!そのとおりだ! (ひら的には演出チーフの石黒昇の功績ではないかと思っている)

最終回、若いヤマト乗組員が「地球が見えた」と歓喜しているのをよそに、天才指揮官の沖田十三が艦長室でひとり「何もかもみな懐かしい」と呟いて死ぬシーンにはどれだけ、どれだけ、どれだけ滂沱しても足りません.

「進、許してくれ」もどうしてこれほど、、、とのけぞるくらいカッコイイ.(演出チーフの石黒昇の功績ではないかと思っている)

このように、ヤマトについて44年越しのたくさんの想いを抱きつつ、物語が大転換しそうな2202第5章を楽しみに待っているわたしです.

公開は2018年5月25日ですが、わたしが観るのは28日になりそうです.くそぅ

早く来い来い第5章.

かしこ

0 件のコメント:

コメントを投稿