読者からいただいた情報で、787バッテリ炎上の調査進捗を的確にまとめてあるソースがこれです.バッテリーが内部ショートで発火したと書かれています.
http://www.hideshima-issei.com/?p=3489
まず、昨日「VAIOのリチウム発火は迷宮入り」と書きましたが、訂正します.
わたしが知っている情報は当時のこんな会話です.
「リチウムどうなってるの?」
「灰になってて原因はわからないらしいけど、不純物混入のせいと推定して、いま生産ラインを一生懸命クリーン化してるよ」
「ふーん、でもそれって仮説でしょ? わざと不純物混入させて発火を再現できたの?」
「そうじゃないらしい」
「じゃぁやってみて様子を見るってこと?」
「まぁそうだかねぇ」
その後、再現実験に成功したのかはわたしは知りません.
そしてその後、リチウム電池製造時のダスト量を電池業界で決めることにしたそうです.
さらにその後、リチウム発火事故がニュースになってないことを鑑みると、ダスト原因説は統計的に立証されたと考えてよいのでしょう.
ということは、VAIOリチウムが迷宮入りというのは言い過ぎで、再現できたかは知りませんが、原因推定→対策→市場不良で立証、という成果はあったと言うべきでした.お詫びして訂正いたします.
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さて、787のバッテリ設計変更についてフレンドリーに表現してみました.こういうオチに向かって進んでいまいか???w
ボ社: 開発段階の熱設計はうちの規定でちゃんとパスしたんだけど、今回学んだのはリチウムって想像以上にケアが必要らしいってことなんだ
ひら: ケアってどんなケア?
ボ社: 熱がね~、意外に発熱するんだ
ひら: 熱設計が甘かった? まぁかなりギチギチに実装しちゃった感があるよね
ボ社: うん、ありゃぁ失敗だったなぁ.エンジン始動で大電流を取り出したとき、試験では100度までは上昇することがあるという結果を得ていたんだけど、今回の事故は特定のセルは150度近くまで行ったのかもしれない.150度っていうと、電解質が変性しはじめる温度でさ
ひら: 実際そのくらいの温度まで行ったの?
ボ社: いや、推測なんだ.いろんなサンプルで試験してるけど、実際にそんなに高温になるサンプルはまだ見つかってない
ひら: 推定原因ってことね
ボ社: そうだけど、我々は自信をもっているよ.リチウムを冷却すべく設計変更中さ
ひら: 推定原因で設計変更してみて、あとは飛ばして実績を積む作戦ってか? FAAがそれでOKって言うの?
ボ社: う~ん、OKするんじゃないかな? FAAにはうちの会社出身の人も大勢いるしね
ひら: へーっそうなんだ.意外と軽いノリじゃん.ただ気になるのはさ、コンスーマー用リチウムは膨大な生産数量があるから、市場をスクリーニングに使うなという批判をさておけば、統計的に妥当性を判断できる日がいつか来るとは思うんだよね. けどさ、航空機のリチウムの生産数量って、年間で1000台とかそういうオーダーでしょう.統計的な妥当性判断は10年経ってもできないんじゃないかなぁ?
ボ社: 技術革新には一定の犠牲はつきものさ
ひら: なんかオレ787に乗りたくなくなってきたよ
ボ社: No problem. Don't worry. Don't mind. You are chicken.
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ボ社:Trust me, I know what I'm doing!
返信削除トラストミーな元首相のご母堂様のご冥福をお祈りいたします
返信削除VAIOのリチウム発火の件、詳しい説明(内部情報)ありごとうございます。
返信削除NE(2006 11-6)を見返すと
「SONYは、より詳細なメカニズムを公表しないが、Niメッキが発生源の1つで、Ni微粒子が電界強度の高くなる部分に入り込んで発火にいたった」というような内容が書いてあるので
なるほど、そういうことだったんですね。
お詳しいようで、参考になります.
削除GSユアサ帰責になりませんように...
こんにちは 事故品の画像を見ると 現在でも電圧は24vのようですね。
返信削除事故を完全になくすには1セルを3分割して(並列)事故セルは遮断、
2セル(6V)位をワンパッケージにして不燃ケースに入れ、4ケースを分離して、通信網で連絡制御して、単位セルの管理をすれば少し大きく重くなるだけで、アルカリセルよりもアドバンテージが残るはずです。