九州巡業中に「金属-空気トランジスタ(Metal-Air Transistor)」というニュースが飛び出してきました.ニュースから知れたのは、
1)トランジスタ1つのサイズは数10umと巨大
2)シリコンじゃなくて金属なのでどんな下地にでも形成できる
3)積層形成が容易
4)THzオーダーでつかえるかもしれないくらい高速
5)限界を迎えつつあるムーアの法則を打破する切り札
回路屋としては、なんだかハッピーシュガーライフな満点デバイスみたいじゃないですか? でもホントですかぁ?
ところがわたしは巡業中で、スマホオンリーライフな身の上では日本語のニュースしか見る気がしませんでしたから、肝心の動作原理はどうなってるのよ?ってところは不明でした.
こんな画像が紹介されています.2つの金属ギャップ間を電子が飛ぶ様子です.そりゃ電極間に電圧を加えればチビチビと電子は飛びますが、問題はゲート制御をどうしてるのか?ってことでしょう.それが解説されてないのよ.片手落ちなニュースだなぁ.
帰宅したので調べてみました.
論文は有料でしか出回ってないという説があったけど、こんなのを見つけたにょ.
https://sci-hub.tw/10.1021/acs.nanolett.8b02849
トンネル効果という切り口で理解するほど量子力学を知らないわたしですが、ゲート制御の素人的理解はたぶん以下のようなものなのだろう.
↓まずトランジスタの構造ですが、こうなっています.ドレイン-ソース電極と30nmぐらいの空隙が形成されています.それは上のCG画像と同じです.
問題なのはゲートです.ドレインソースの地下にベタ基礎状のゲートがあります.なんでこんなんでゲート制御ができるのさ? なんでこんなんで空隙のポテンシャルを可変できるのさ?
↓FNトンネル効果という難しい話はさておき、それはこの図で概念的には合ってると思うんです.この図はゲートにマイナス電圧が加えられた状態です.
Source電極から電子(e-)が飛び出したとしても、ゲートがマイナス電圧になっていると電子が垂直方向に吹き飛ばされてしまいます.哀れな電子さんはドレインに辿り着けません.
それゆえこうゆうことかと.
・ゲート電圧=マイナスの時、このトランジスタはOFFになる
・ゲート電圧=0の時、このトランジスタはONになる
ゲートと呼ぶのはやめてグリッドに戻せやw
ついでにプレートとカソードに戻せや.
ちな、ゲートは空隙の下だけでよろしく.とくにドレイン直下のゲート電極はあれですな、ミラー効果でしたっけ?やたらとfeedback喰らう気がするー.
かしこ
初めて聞きました。確かに真空管っぽいですねー。温まるまで使えないとか制御に使う電圧が数百Vで大きなトランスがいるとかだったりして。
返信削除こんな簡単な原理ならショックレーさんが発明済みかさもなくば検討済みだったのではないかと思っちゃうんだけど、、、あの当時は30umの空隙を製造できなかったから考えもしなかったのかな?
削除放射線には強そうですね.あと高温でも使えそう.
4年前のネタですね。
返信削除https://hardware.srad.jp/story/14/06/26/1152249/
まさにこれですね.NASAさんうれしいデバイス.
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