2014年2月17日月曜日

テープストレージという狭いウインドウから私が見たソニーの来し方行く末

VAIOビジネスの売却などによって、ソニーの将来を危ぶむ記事が週刊誌を賑わしているこのごろです.昨夜、まだソニーが中規模企業だった頃からソニーにいた人(ソニーマグネスケール時代の元上司)と飲みました.その人曰く、セットの競争力の源泉は仙台なんだ、なぜならデバイスを生み出すのは仙台TECだからだ、と言ってました.わたしもそれに同意です.

わたしはヘリカルスキャンが大好きで、企業で働いたキャリアの90%がヘリカルスキャンだったのは趣味としては幸いな事でしたが、とはいえコンスーマー機器としてのヘリカルスキャンはDVカムが(ほぼ)最期の製品だったわけですから、後半の10年間は消えゆくヘリカルスキャンの延命行為ばかりをやっていたのが真相だったわけで、ビジネス的な成功とはあまり縁のない会社生活でした.

ヘリカルスキャンというとビデオを録る装置が一般的ですが、ヘリカルスキャンでデータを保存するテープストレージ(テープストリーマ)という装置がわたしの仕事でした.テープストレージはソニーの中で傍流の小さなビジネスで、わたしはその小さなウインドウから見ていただけなわけですが、ソニーが不調になった理由の典型を見たように思っています.結論はこうです.
一つ目) 事業部長の行動原理が、オールソニーのためという発想よりも、喧嘩上等すぎた
二つ目) 事業部長を統制するガバナンスが、創業者世代のリタイヤと共に失われていった
三つ目) その結果、総合的開発力を発揮する土壌が消滅した

以下、1,2,3を解説します.

大容量のテープストレージを3年毎に発売するのがテープストレージ業界の商売です.大容量化するために最も重要な技術はヘッドです.ヘッドを開発できなかったらテープストレージ業界で生きてゆくことはできなくなります.

ソニーのテープストレージの生産基盤は、8mmビデオとかDVカムのようなコンスーマ機器の生産インフラでした.その中のヘッドに着目すると、ソニーは仙台方面に磁気デバイスの開発・生産拠点がありました.ソニーは事業部制で、磁気ヘッド事業部、光ピックアップ事業部、ヘリカルドラム事業部などのように個別パーツが事業部、つまり独立採算制になっていました.これらのデバイス事業は、ビデオデッキの売り上げ規模に比べたらパーツですから小規模な事業部です.それでも、採算責任を明確化するメリットと、ポストを増設するメリットがあったのでしょう.

事業部同士の間柄には他社のようなドライさがつきまといます.新しいフォーマットをリリースした時点ではソニー製ヘッドが高性能だったとしても、3年も経てば他社も追いついて来てしかも値段が安い.ソニーのヘッドを採用すべきだと判ってはいても、利潤追求のプレッシャーのかかる事業部長がALPS製ヘッドを採用することを厭わなくなるのは自然の流れです.そうして利潤が他社に流出しても、ビデオがバンバン売れていた時代(インフレ期)には問題は表面化しませんでした.古いフォーマットは他社製品に明け渡したとしても、新フォーマットが続々とリリースされていたので、新開発ヘッドを高価で買ってくれるソニー社内の需要が旺盛だったからです.

やがて、ビデオ市場が縮小期(デフレ期)に転ずると、ビデオという最終商品の元にすべてのパーツ事業を統合し、開発効率を高め、キャッシュアウトをセーブするという真逆の方針にチェンジする必要が生じます.
ところが、ソニーではそれが上手くできないケースが多かった.それはなぜか? いろいろありますけど、、、
一つ目は、事業部の統合はパーツ事業のカテゴリ内で行われ、商品カテゴリで統合されることが(あまり)なかった.かつてのソニーは、マイクロソフトとアップルとサムソンを全部足したような業界プレゼンスのある企業でした.そのソニーの事業部長になる、あるいは事業本部長になることはとてもエライ人になることなので、かなり天狗になった.そして、自由闊達さが亢進しすぎたあまりソニーという企業のためというよりも、オレがオレがと自己主張するのがソニーの事業部長のかっこよさなのだと誤解する文化がいつしか根づいてしまった.そんな中で事業の統合を進めるべき時に、赤字事業と合併させられるのはゴメンだとか、あいつは嫌いだからゴメンだとか、そういう理由で頓挫するようなことが多々あったと推測します.
テープストレージをやっていたわたしとしては、迷惑千万でした.磁気ヘッド事業部と光ピックアップ事業部が合併して何が起きたか? 統合事業部の方針は、磁気ヘッドへの投資を縮小し、リソースをPS3やBluRayの光ピックアップに振り向けるようになる.それが統合事業部の合理的行動ですからテープストレージのこちらが文句言っても通じない.まさにとばっちり.ビデオ市場が縮小して投資が枯渇しつつある段階なのに、ヘッド開発はそれに輪をかけた投資縮小に見舞われました.

二つ目は、創業者世代のリタイヤです.事業部長が我が儘だったとしても、事業部制を採っている以上それは仕方のないことでもあります.だって独立採算なんですから.事業部の正しい統廃合ができなくても、上手に利害調整できればよかった.それはどういうことかというと、テープストレージのビジネスモデルは、インクジェットプリンタビジネスと似て、ドライブは赤字で売ってもOKで、メディア(テープ)をたくさん売って利益を出すというビジネス構造になっています.だから、ヘッドが赤字でもOKよとソニーの上位層が太鼓判を押してくれさえすれば、ヘッド開発投資は継続できたはず.でも、強いリーダーシップのある創業者世代ならそんな例外行為をできたかもしれないけれど、4代目5代目6代目社長...とだんだん型破りさは失われていった.そもそも、創業者世代のリーダーシップがあれば事業部の統合が「あるべき姿」で実施されていたに違いないわけだし.

三つ目は、結果としてキーデバイスであるヘッドを開発できず、新型テープストレージの市場投入が遅れたり、所期の性能を出せなくなって行った.運の悪いことに、インチキなR&Dがいて、ウソのヘッド開発をして我々に押しつけてきた.笑うしかないことには、まさに文字通りの意味で30分でヘッドが壊れるのでした.でも、ヘッドへの投資が絞られてしまっている環境下ではバックアッププランを準備しておくこともできなかった.その後どうしたかは書きません.つまり三つ目で言いたいことは、新商品を成立させるための技術開発ポートフォリオを組めない企業になってしまったソニーの姿でした.技術ポートフォリオを組めないということは、技術を外から買うのと同義です.それはキチガイをやめて真人間になることです.技術キチガイじゃなくなったソニーってのは、ただのブランド管理会社でしかありません.

という風に、テープストレージの延命という小さなウインドウを通してソニーを眺めてきたわたしでしたが、わたしが見てきた「やりずらさ」は、ソニーの多くのビジネスに通底するような気がしてなりません.

書きたいこと、書けることは他にもありますが、このくらいにしておこうと思います.

今は静かにソニーの行く末を見守るだけであります.

かしこ


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39 件のコメント:

  1. ソニーOB:佐藤2014年2月17日 23:57

    テープメディアとして開発部を廃止した時の企画管理部の判断は、今後はテープメディアへの投資は縮小するという決断だったわけで、2000年には終わりの始まりが始まっていました。当時よく言われたのがドメインシフト。具体的にはどうしたのかは話すべき内容ではないので伏せますが、そのドメインシフトがうまくいかなかった以上にテープメディアの食い扶持を食ってしまったという経緯があります。
    ヘッドに関しては平坂さんが言うような状況であり、テープとメディアは両輪なのでテープ事業部がヘッド開発を抱え込むべきだと思ってましたが、それは実現しませんでした。そのうちテープメディアの終わりの始まりを指揮した企画管理屋が事業部長と統括部長になり、たまたま時流もそういう流れだったのだろうが、DVもシュリンクへと進んでいき、Dothanも潰すという流れになりました。
    今考えれば平坂さんの言うように「延命行為ばかりをやっていたのが・・・」というのが一番的を射ているのかもしれません。
    そう考えていくと企画管理屋に対してもっと開発やらなきゃつぶれると当時は思っていましたが、意外と正しい判断だったのかもと思いますが、その次へのビジネスのシフトがうまくいかなかったのは計算ミスだったのかもしれません。その最初の責任者も去年かな会社を辞めています。

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    1. 的確なご指摘だと思います.

      仙台とは縁が深かったわたしでしたが、デバイス屋やメディア屋がドメインシフトを描いてもフォーカスしきれなくて難しいと思いました.iPhoneみたいな目標とするセットイメージを設定して、そのための技術ポートフォリオの一環としてデバイスやメディア屋が機能するべきではなかったかと.ゆえにドメインシフトがうまくいかないのは宜なるかなと.じゃぁセット側がなにか商品イメージを打ち出せていたのかというとそうでなかったのは明らかでもあるわけですが.

      わたしが悪びれずに延命行為をやっていたのは、テープストレージは旧来ソニー体制的で、テクノロジオリエンテッドに進めていける数少ないビジネスで、うまくやれば少しの投資で5年ぐらい延命できるはずだからなのですが、上手くは行かなかったです.一番の狂わせ要因はリーマンショックでした.

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    2. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 10:41

      久々にFamily見ましたがとても薄っぺらいものになっていました。
      ソニー広報もむやる気無しって感じかというか、そろそろ終焉を感じるものになっておりました。
      こんなものにお金をかけるものではないとの判断でしょうか。寂しいの一言です。

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    3. えーうちにはfamily送ってきませんけどぉ.送付されるのを見たんじゃなくて、どこかで見たということでしょうかねえ.

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    4. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 14:10

      昨日家に届いていたみたいです。

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  2. ソニ-さんの内情からの技術レポ-トとして信頼性を持って読ませて頂きました。ソニ-さんが、テープレコ-ダやビデオのヘッドに強い事は知っていました。また、工作機械の位置
    検出にもSONY製のマグネスケ-ルが使われていた事を思い出しました。確かに強い分野
    が幾つか有った様に思います。少し年代を振り返るとHardからSoftへのShiftが有りましたが、この辺にも少し関係が有る様に思いました。趣味で、真似下製作したPCMSoundが
    有ります。
    Mr.Chan 8Pin Audio Player
    http://elm-chan.org/works/sd8p/report_j.html
    少ない部品で音楽が聞けた時の、感動今でも思い出します。素晴らしいと思いました。
    これも、Softかの波に乗った製品かなと私は考えていますが?
    これからの、製造業は、どうControllして行けば、比較的楽、正道なのでしょうか?
    正道など無いに等しいのでしょうか?ボンヘッドでは、技術を理解し、将来の姿など
    想像出来ません。

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    1. 自動車とかメカトロとか住宅とか重厚長大とか官公庁のビジネスは残るでしょう.でも、電機メーカーの多くはかつてのようには存続できそうにありません.

      ものづくりの競争力の源泉がプロセスに移ってしまったので、液晶パネルとかLSIをつくる産業にしか電気業界の先端技術はなくなってしまっています.そういう意味では日本企業では東芝が生き残りそうに思います.
      プロセスが嫌だからものづくりから撤退するソニーのような企業にとっては、権利ビジネスという出口が残っています.
      権利ビジネスもやれない企業は消滅となります.

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    2. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 10:46

      権利ビジネスも結構厳しいと思う今日この頃です。
      根拠が無いわけではないのですが。

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    3. ソニーには面白いアニメをたくさん作って欲しいです.現状あまり面白くないのが問題なのですがー

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  3. 週刊東洋経済2/17発売 690¥と分かったので購入しようと思います。
    今朝は、調子が良いので、980¥の米だけの酒 福徳長酒類株式会社 韮崎工場の酒
    1合を飲んでしまいました。剣菱ほど、酷を感じませんが、美味い酒の様に思います。
    つまり、上手い酒の飲み方を発見した様に思います。

    今までの飲み方は、嫌な気分を飛ばす、嫌け酒的飲み方だつたと思います。それを、
    この様に改めました。

    人付き合いに於いて、どうして私の考えを分かってくれないのだろうの考え方を捨てる事に
    しました。
    こうする事で、異常な物質と捉え無ければ、過剰な抗体物質も出来ないでしょう。
    この様な考え方に至り、980¥の酒も上手く飲める事を発見しました。980¥の酒でも
    美味く思えます。
    今朝、長男の家に、切手を貼らずに、ワ-プロで書いた手紙を投函してきました。何と言って来るかが楽しみです。
    後妻は、新潟の家の水道破裂事故で帰新潟しているので、私が食事の準備をした後、何をしようか?
    i2c ADCのProgramの勉強をしようか?
    と考え、1日が始まります。

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    1. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 10:55

      まず、生まれ育った環境もそれぞれだし違うという事を認識するのが良いと思います。また、自分の考えが相手になぜ伝わらないかと考える事も必要だと思います。
      人によっては自分の中ではクローズしている内容であり、人に伝える時にはわかってもらえているはずと思い込み、主語をおろそかにしてしまい、相手に伝わらない事は結構あるものです。
      話し上手は聞き上手とも言いますし、それがコミュニケーションとも言います。
      自分の反省点を述べてみました。

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    2. 論点がズレてますが、、、
      わたしは自分のことを、結局のところ横暴な人間だと思っております.わかりやすく書くのは手っ取り早く説得できるだろうと思うからわかりやすく書こうとするわけだし、逆に説得を放棄した相手のことはガン無視するし、基本的に人の言うことを聞いてないし.... ははは
      それで困った事があったかどうかと振り返ると、あまり困りはしなかったように思います.人からの忠告を無視しても、結果的に状況から自分の過誤を悟らざるを得ない場面に遭遇したらサクッと軌道修正すりゃいいんじゃないかと.
      わたしが自分を褒めるとしたら、おおむね真摯であることかと思います.

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  4. 有隣堂の販売棚に有ると言うので、人生相談を聞いた後、出かけようと思う。暇なので

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  5. 14:00ごろ、週刊東洋経済 2/22を買って戻りました。相鉄電車内と家に向かう畑のわけ道の道路で、ソニ-非常事態を読んでしまいました。内容良く理解したわけでは、有りませんが、投資ファンドに突き動かされるように、事業再編が進む。を読んで、ファンドが怖いように感じました。失敗と言う失敗を挙げるとしたら、何何なのでしょうか???
    引き揚げ等の意思決定が遅いとは、有りましたが?

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    1. ファンドのいいなりとは結果的にそうなのでしょうが、自発的にリストラするにせよ、ファンドのシナリオに乗るにせよ、リストラは結果的に社員のクビという同じ結末を引き起こします.
      ファンドのいいなりと見えるくらいまで、リストラを先延ばししたのは、民族資本の愛として賞賛するべきじゃないかと思います.これが外資だったら10年以上も昔にもっと激しいリストラをやっていたのではないかと思います.IBMのように.そういうのをイデオロギー的にわたしは好みません.リストラがここまで遅れたのはソニーが生粋の日本企業だからなのです.

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  6. 真摯?
    http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/114292/m0u/
    自分を褒められる点を持っている事は、大変良い事と思います。私も平坂氏は概ね真摯的と思います。
    私自身、概ね真摯的と思っていますが、凝り性、偏屈なところが、問題と思いますが
    なかなか修正が出来ません。半分、自信を持って、これでも良い言う考えが残って
    しまいます。

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  7. 知り合いのミュージシャンが関テレにアルバイトに行っていて、ナショ・ビクターの方が規格が良く守られているが、不思議にSONY同士で録再する分は不思議に良く合うので、SONYを使っていたと言っていました。
    回路図なんかもヒマラヤに行くので、サポート要員の見積もりを取ると、換わりに回路図や調整要領書をもらえたと言っていました。

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    1. プロ用機器が様々なメンテナンスを必要とした時代は儲かりましたのでおいしかったようです

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  8. 選択と集中は、会社にも人生にも必要と短絡的に考えてしまいます。
    3/1の週刊現代に60過ぎたら、どんどん捨てなさいの記事が有りました。
    1.親をすてる。(既に親は無し、クリア)
    2.子供を捨てる(子供は全て独立?子供は一応切り離しされていると考えている)
    3.友人を捨てる(友人は1人、東京---横浜の距離が有り、金の借貸しの間柄では無い)
    4.家を捨てる(マンショに借り替え居住の金無し)
    5.見栄を捨てる(見栄で行動する気持ちも、金も無い)
    6.年賀状やお中元をやめる。(5年前より実施)
    7.金を捨てる(捨てる程の金は無い)
    主旨は概ね理解出来るが、実行は難しい。死の前に、研究がらくたの整理は必要な事は
    認めるが、実行方法が決まらない。車も無いし、かたずけるためのスペ-スが必要?
    物置の物の廃棄が先だな。頭、痛い。

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    1. ご老人の断捨離といいますと、わたしがオススメしたいのは、「庭木を斬る」です.
      60~80歳まで放置した杉の木などは、樹齢が20年にもなると立派な大木に育ってしまい、相続したお子さんが大木の処分に困ってしまいます.大木を斬り倒して抜根すると植木屋に10万円以上支払うことになる恐れがあります.重機を入れるとさらにプラス10万円みたいな状況に...植木は子供のうちに殺処分.

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  9. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 23:06

    今日はBSフジの番組に富士フイルムHDの会長が出ていました。
    写真フィルムのピークは2000年だそうです。それから2,3年は徐々に落ちている感じが2005年からは毎年25%減の売り上げになっていったそうです。
    社長に就任した2000年では富士フィルムの65%の売り上げと75%の利益の源泉だったが、今後はビジネスが立ち行かなくなることを考えて今後の事業を考えて、社員には写真フイルムの今後の推移とそれに代わる事業を立ち上げる事での生き残りについて発表したとか。今では数%の売り上げ貢献にとどまっているそうです。
    ソニーの場合には事業縮小に伴い事業移行の姿を見せることが出来なかったのではないかと思ったりもします。
    富士フイルムも化粧品事業が順調で写真フイルムにとって代わっているけど10年後には本当に残っているのかは誰にもわからないですね。
    今はどれくらいの人間でLTOの開発やっているんだろうか??もちろん富士の事です。

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    1. フジは所帯が小さくて右向け右がやりやすいのかなと思っています.というのは、フジのパテントを検索すると、ある時期はビデオ、またある時期はフロッピーとか、一丸となってテーマを追い求め、一定期間後に目標を変更するような行動をしていたように見えたからです.そんでも化粧品とはずいぶん大きな変化ですが.
      LTOは開発としてはあと5年ぐらいは続くかもしれませんが、その後は進歩が止まって30年間ぐらい最終フォーマットとしてenjoyできるのではないでしょうか?おいしいです.

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  10. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 23:11

    ”笑うしかないことには、まさに文字通りの意味で”は”文字通りの「Smile」”ですか?
    内輪ネタ。

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    1. わたしの好きなスマイル.他にもあの時期ありましたが忘れちゃいました.

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    2. ソニーOB:佐藤2014年2月18日 23:36

      マックだとSmile ¥0なんですがね。

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    3. 一粒で¥2000とかだったか、、、、固定費をどんだけ乗せるかで単価なんかズブズブと変わってしまうんですがね

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  11. http://news.livedoor.com/article/detail/8547628/
    「「次期社長の候補もチラホラ聞きます。最有力はネット接続会社ソネットの前社長で、現在ソニー執行役の吉田憲一郎氏(54)です。財務に強く、出井伸之元社長の時代に社長室長を務めた人物です」(真保紀一郎氏)
     ソニーの大胆リストラの総仕上げは、社長交代かもしれない。」
    以前、「日本の大企業で次期社長候補が見つからなくて困ってる例が多い」といったかんじの記事で読んだ事がありますが、困った挙句に内情に詳しい社長室長を社長に据えて大失敗した大企業が3社ほどのってました。どこか忘れたけど。
     上の記事みたいにソニー次期社長に財務屋元社長室長がなったりしたら、ほんとに終了ですねぇ。。。

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    1. このニュース読みました.たしか昨日だったかと.ゲバ評は意外に当たらないと思っていた平井社長が当たりましたので、この吉田さんも当たるのでしょうか? わたしとしては、創業者一族の系列から誰かが出てくるのがいいんじゃないかと思っていますが、いかがなものか?

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    2. ソニーOB:佐藤2014年2月19日 16:08

      そう考えるとその昔、日本一(世界一)の中小企業と揶揄されていましたがソニーを語る上で一番ぴったりの言葉だったのかも知れませんね。
      イメージでしかないけれど社長はエンジニア上がりで従業員からは「おやっさん」とか「社長」と尊敬され一人前の職人を育て上げることに情熱を注いでいたのがいつの間にか大企業になってしまって技術に疎い奴がのさばり短期の利益だけを追求するようになってしまったのね。
      ただ、今日週刊東洋経済を読みましたが元ソニーで活躍されていた方々がトップになられていたからと言って立ち直れたかは疑問符が残るところかな。

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    3. しかしその東洋経済ってみんな読んでますね.わたしも立ち読みしようかしら?

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  12. 幹部、社長候補は、この危機をどの様に考えているかに、自己再建の成否がかかっている様な気がします。ダメ策の領域を出ませんが、
    お金の有る異分野企業合併なども考慮の一つか?

    新製品開発の元祖と言う(東京通信工業)の魂(心)の火を消す事の無い様に、
    せめて5年、10年、20年後でも物造り企業、製造業として日本を支える企業に成って
    欲しいと思います。(私は、まだ、まだ、やるべき道は、有ると思う。)

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    1. わかってはいるけど、どうにかするのは難しい、そんな感じじゃないかと思います.本文で書いたことも、わたしのような下っ端が見ていて感じてしまうことなわけですから上位層は当然察知していたはずで、それでもどうにもできなかったと.

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  13. お世話になります。
    マグネスケールで過ごした元同僚の一人です。(部課は全く別でしたが)
    東洋ビルも解体され、私も地方生活に引っこみましたが、学会でたまに上京すると不動前を懐かしく思い出します。元上司とは、ひょっとしたらオールバック気味のメガネをかけられていたあの方、それとも二技からVP事業部への移行期にその方の後任として来られた感情の起伏があまりない穏やかな話し方をされるあの方(失礼な言い方で誠にすみません!)なのかなと勝手に想像してニヤっとしてしまいました。お元気で何よりです。会社生活ではいやな出来事のほうが多かったのですが、VP設計陣には個人的にいろいろよくしていただきましてご恩には今も感謝しています。おかげさまで、現在は原則的に(あくまで原則で・・笑)ぎゅうぎゅうと管理ばかりのどこかの窮屈な会社と違って、やりたいと思う仕事はのびのびと思う存分やらせていただける毎日を送っております。勇気は要りましたが思い切って飛び出して良かったと思っています。
    さて、私も東洋経済の記事を読みました。研究者(実は、今その一人です)、特に経営学分野には電機メーカーを辞めて大学で教鞭をとっている研究者も意外に多いのですが、彼らの中でも総合電機メーカーがデジタル家電を利益の稼ぎ頭にしようと考えることは無意味というのが少なくとも4、5年前からの結論です。実際にソニー中途退社組で某有名大学の教授から面と向かって「ホームエレクトロニクスの研究なんぞやめて、自動車とか航空機とかプロセス産業(化学素材の擦り合わせ製品など)といった将来日本で有望な研究をやれ」と言われたこともあります。ある家電設計者の新聞記事を読んだときも、モジュール化は双六の上がりと同じで研究開発にもう伸びが期待できないのだから、日本企業は手を引くしかないとの趣旨が書かれていました。確かにアナログのVHS機器でも回路がワンチップになってモジュール化するにつれて価格下落が激しくなり、結局、大手メーカーは撤退するしかなかったという歴史を私も経験しています。そもそも、サプライチェーンをグループ内で完結させる垂直統合の組織能力しか持ち合わせてこなかった日本メーカーに、国際分業するほうが競争上も有利に働くモジュール設計型の完成品でオープン分業している企業から競争優位を奪い返せというのは無理な相談です。もちろん、垂直統合を強みとしてきたメーカーがこれから何をもって経済的価値を得ていけばいいのかについてはこの10年間で研究蓄積がかなりできましたが、結局、平坂さんが仰るように「すりあわせのものづくり」ができるプロセス産業とか、三菱電機のようにメカトロに事業構造をシフトするとか、東芝や日立がやっているような発電所、人工衛星、新幹線車両とか、そういったインテグラル型のものづくりで利益が出せる事業に頼っていくしかないという結論ばかりになっています。オープン分業に適した組織に自らを変革しようという意思も見られないので、結局、アーキテクチャ自体がどのように変わっても今までと同じ統合型のものづくりのやり方で利益が出ないかとなってしまいます。しかし、燃費や安全性能などまだまだ機能的価値に対する顧客要求が高い自動車産業と違って、ほぼ顧客の機能的欲求がオーバーシュートぎみのデジタル家電(3Dテレビや4Kテレビがいい例です)では、そこにすり合わせ技術を突っ込んで無理に性能向上をすると今度はガラパゴス化が起こるだけで、さっぱり利益にならないこともすでに証明されています。
    日本企業の組織能力(リニア・モデル型の研究開発と垂直統合のものづくりが好きで仕方ない)はデジタル家電のようなオープン分業に向いている製品との相性が悪いのは自明のことで、あくまで理論上ですが、日本企業をサプライチェーン単位で切り刻んで細かく分社・分散化して、ひとつひとつを独立したベンチャー企業とするような形にでもならないと、とても利益など出ないなあと感じます。そういう意味では、あくまで私感ですが、統合型組織にこだわらず、時とともに事業が分社化・分散化していくことも止むを得ないと思っています。とりとめのない書き込みでしたが、元同僚に免じてお許しください。
    平坂様のますますのご健勝をお祈りいたします。

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    1. すばらしい論考を有り難うございます.ソニーマグネスケールにこんな知性のある人が居たんだー、と思ってしまいました.不動前は生活圏内なのでちょくちょく通ります.

      ところで、飲んだ元上司というのは、「オールバック気味のメガネ」の威勢の良いメカ屋の人でありまして、「穏やかな話し方をされる」サーボ屋の人ではありませんで、後者とは飲みたくもなんともありません.(笑)

      ちなみその前者の方の情報によると、森精機のマグネスケールになり、元VP事業部で今でも残っている人もいるそうで、マグネスケールという商品自体は独占商品なのでまぁ安定した商売をやっているみたいです.それなりに幸福な状態なのかなと思いました.

      「デジタル家電を利益の稼ぎ頭にしようと考えることは無意味というのが少なくとも4、5年前からの結論」 そうですか、経営学でそうですか.ソニーの業績低迷はメカトロ(すりあわせ技術)→プロセス(スタンプ技術)への移行によるというのが私の持論ですが、ソニー固有の現象と思っていました.それがソニーだけではなく電機メーカ一般にそれが通用してしまうとは、少々ショックです.1980年代の栄光の時代を知っている者としてはなおさら.

      わたしは水平分業につきあうのがかったるいので電機メーカーから離脱したわけですけど、垂直統合を洗練させた高度成長期の、一番最後のラストラン世代だったと思っています.定年までは走れなかったのは残念ではありますが.

      またご縁がありましたらよろしくお願い致します.
      では.

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    2. 平坂様

      お褒めいただきありがとうございます。
      ただし、在職当時は知性のかけらもありませんでした(笑)。右向け右という感じの組織だったので森を見る機会がなかったせいかなと思ったりもします。平坂様が懇意にされている元上司の方も市販のソニー本に名前が出てくる方ですから、社内でフレンドリーに話しかけられても子会社の平社員はどうしても緊張してしまいます。萎縮した私も悪いのですが、会社の方針を「何か違うなー」と考えることも許さないような社風はありました。結局、息苦しくなっちゃったのだと思います。盛田さんがよく言っていた「この会社にいて自分は幸せになれないと思ったら一日も早く辞めなさい。定年までそれを我慢したら人生そのものが不幸だったと言うに等しくなる」という心境になったと言いますか。その反動なのか、会社を辞めてエレクトロニクス企業の研究を始めまして(もともと電気製品が大好きで業界に入ったので)、このまま日本企業は何ともならないのかと先行研究をむさぼるように読み、研究報告するようになって、気が付いたら学位を取っていてという感じです。今では学生相手に偉そうなことを言っています。自分が幸せを感じられる仕事に出会うまでずいぶん遠回りしたと感じますが、若い学生には自分のようにはなるな、目先ではなく長い人生のことを考えろ、就職活動に悩んでいたらすぐ相談に来いと言っています。
      さて、富士通、パナソニック、松下電工、ソニーと経営研究の世界には多くの企業出身者がいます。いろいろと理論化にトライしたものの、垂直統合型の組織がオープン・モジュール型の製品で競争優位に立つことは難しいという見方が形成されてしまいました。垂直統合型であれば海外企業も例外ではなく、テレビが有名な某メーカーもこの10年を見るとデジタル家電事業が何年も連続して赤字であったことを確認できます。デジタル家電の収益性が日本固有の問題ではなく、垂直統合自体に起因する問題なので本質を見誤ってはならないと論じる重鎮もいます(つまり、統合型企業間の競争に勝っても収益性は向上しない)。日本企業の苦肉の策は、内部デバイスをカプセル、ブラックボックスにすることで利益を取る策ですが、いくらデバイスをブラックボックスにしても、モジュール型の製品アーキテクチャを自社が支配していないオープンな状況、あるいは他社に支配されている状況では、いくらいいデバイスでも完成品ビジネスではいつまでたっても一人勝ちできません。(スマホもおそらくそうでしょう)パソコンは完全オープン・モジュール型の製品ですから、どうしてここまで引っ張ったのかと。せめて、途中だけでも、アップルのデジタルハブ構想のように組み合わせ型のビジネスモデルを作ろうと努力していたのなら良いのですが。それと、オープン分業ってアメリカの国策に近いのですよね。コンピュータはずっと前からオープン分業しやすかったはずなのに、汎用型コンピュータではIBMにずっとクローズドにさせておいて、80年代に電子産業が苦境になるとベンチャー企業が参入しやすい分業化を進めるためにデジタルとオープン環境をうまく利用したという流れがありましたから、日本も企業努力だけではなんともしがたい感じがいたします。
      今、ソニーの完成品ではデジカメと放送機器の収益性が高いようですが、これらにはすりあわせが多少ありますので、うーん、やはりここまでかというのが正直な感想です。レンズと受光素子とのマッチングが必要だったり、機械式駆動の構造物があったりするはずなので。
      長くなり申し訳ありません。結論ですが、組織能力と製品アーキテクチャには適合性が認められるとの理論があります。インテルのような分業型組織はモジュール型のアーキテクチャをもったものづくりと相性が極めてよく、ソニーのような統合型組織は関係者が至近距離にいないとできないような擦り合わせ型のアーキテクチャをもったものづくりと極めて相性がよいというのがその中身です。(つまり、逆は不向きということになります)

      今回はこれで失礼いたします。
      こちらこそ、またご縁がありましたらよろしくお願いいたします。

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    3. IBMの話が出てきましたが、LTOというテープストレージが我々のコンペチターでした.ソニーは垂直統合、HPは水平分業、そしてIBMはというと、IBM社内の非難を無視して垂直統合でやっていました.IBMは世界の勘定系のdefactoですので、そんな企業行動も並行していたようです.まったく賢い奴らです.HPが水平分散でテープストレージをやるのは技術すりあわせで余計な苦労をしているようで、大変だなーと思って見てました.ソニーはヘリカルが縮小市場だったのでもっと大変だったのですが.(泣)

      ソニーがデジカメ+放送機器が高収益という理由は、撮像デバイスがまだ世界一だから、それが競争力の源泉らしいです.ソニーの半導体は昔からリストラが盛んで、もうやり尽くし感がありましたが、先日ルネサスの工場を買収すると聞いてわたしは驚きました.目的は撮像デバイスの増産だそうで、撮像デバイスは元気があると.

      わたしはクタラギに社長になって欲しかったです.彼が社長になっていればわたしはソニーを辞めなかったと思う.cellという排他的技術をコアにして、ソニーをそれまでのメカトロすりあわせ垂直統合企業から脱皮させ、IBMのような垂直統合と水平分散の併存を志向したのがクタラギだったと思います.ですが現実にソニーで起きたことは、クタラギの攻撃的に未来に賭ける大方針は破棄され、水平分散を採用し、縮小に次ぐ縮小でブランド管理会社へと縮退するという防衛的未来でした.クタラギがソニーにとってのpoint of No returnだったのです.でも、このことを明確に意識しているソニー社員はあまりいないように思います.不思議なことです.

      ではまた.

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  14. 今からでも遅くはないから、i-Padもどきを作ってSONYブランドで売ってくださいよ。
    ああ云うの買う人は、ブランド志向なんだから。ブランドとしてはサムソンよりソニーがずーと上ですよ。

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  15. (続) 
    インクとかテープの話が出ましたが、あと、デジカメなんかのバッテリーを高く売ったりする商法、あれは駄目ですよ。皆が怒って次からは別のメーカーのを買います。プリンターのトナーとか。儲かるかもしれないけど、人の恨みを買う商法です。でっ、結局客は離れていく。
    Sonyのデジカメもとうに壊れたけど、あれはACアダプタで動作したから良かったです。最後は電源部が壊れて、捨てました。
     ウォークマン買ったときは普通の乾電池だったと思う。最初にお金を払って、後はずーと楽しめて、良い物買ったと満足でした。

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  16. (続々)

    ソニーのデジカメで思い出したけど、メモリーを増やそうとしたら、独自のメモリーで他社のありふれたメモリーが使えず、値段は倍だった。(ここはタイランドですけど。)
    結構うんざりして、こんなんじゃタイじゃ売れんよ、と思っていました。
    壊れた後はFujiFilmのを買ったけど、バッテリーが長持ちせず、しかもくそ高い。
    わたしは二年くらい、TelGoというオーストラリアのメーカーの安い携帯電話を使っていますが、最近バッテリーが駄目になったので町に買いに行ったら、同等品は無かったけど290バーツと460バーツのコンパチ品を提示されたので290バーツのを買った。それでも千円なので高い。FujiFilmのバッテリーはコンパチ品が無く、1000バーツだって!3300円以上する。以前700Bと800Bの所もあったけど、メーカーはいったい幾らで卸しているのでしょうね。そのデジカメは、型落ちで1900Bで買った物でした。
     技術より、この辺りで売れる・売れないが決まるのかもしれませんよ。

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