2013年11月28日木曜日

日中有事の際に中国から脱出できるか?

ガンダム第1話のジーンさんみたく、「フン、手柄を立てちまえばこっちのもんよ」なんて言って撃ってしまう中国軍の若者がいたら状況が始まってしまう.尖閣情勢はそんな微妙な段階にさしかかっているのかもしれません.

防空識別圏の件でUSAの神経まで逆撫でしてしまったかに見える昨今の中国ですが、日本の政府・防衛関係者は、
撃たれたときに、無邪気に反撃できたら楽なんだがなぁ
としばしば考えているのではないでしょうか?
なぜなら、中国には13万人の日本人が滞在していると言われ、尖閣で小競り合いが生じた時には多くの日本人が人質にされると思われます.軟禁が長期化した末に、持病が悪化して死ぬ日本人が生じるかもしれません.軍人は有事の際に死ぬのを織り込んでいる職業ですから、極端には軍人の死者が生じるのはやむを得ないが、たとえ病死であろうとも軟禁された民間人から死者が出るのは避けねばならない.尖閣近傍で自衛隊が撃たれたときに反撃して撃退するのは戦術的に容易だと判ってはいても、大勢の日本人が人質になってしまったのでは元の木阿弥である.そんなアンビバレントな悩みを日本の当局者は今抱えているのではないでしょうか?

まぁ、突き放して考えてみればこういう↓非情な論理も成り立つわけで、状況次第では状況を有利に展開するべく非情な方針変更のスイッチが入ってしまうのかもしれません.
状況が始まった→中国で反日暴動→日本人軟禁→日本人軟禁者が病死→※中国を非難→日本の外交ポジション向上→他国を巻き込んで経済制裁→事態の長期化→日本人病死者増加→※へ戻る

いずれにせよ、中国からは目先引き揚げた方がいいと思われます.といっても社命で行ってる人が簡単に引き揚げられるとは思えませんので、くれぐれもご自愛申し上げますぐらいしかかけてあげるコトバがありませんが... 争乱が生じた地域に対する渡航自粛勧告とかいうのが外務省から出ると、ソニーではその地域への出張は禁止になりました.ソニー社員は業界のヒエラルキーの頂点付近にいる人種ですから、「じゃぁ帰りますので、あとはヨロシク」などと言って帰れますけど、下請け部品メーカーさんの社員はそうは行かないと思われますし.

とすると、唐突に状況が始まって、日本人の安全が危うくなった時に、日本人は個別に中国から脱出しなければならなくなる.しかし中国人民と中国当局が網を張っている中国から安全に脱出できるかどうか? それは難しいように思われます.

わたしは通算2ヶ月ぐらい中国の東莞市というところに出張したことがあります.あとはマカオのすぐ上にある珠海市には1ヶ月ぐらい出張したことがあります.

付近の空港は、広州空港と香港空港がありますが(マカオにもあるかも)、結構距離がありますので容易にはたどり着けません.東莞-香港間には特急電車が走っているので、日本人だとバレてリンチされるリスクを冒せば香港まではたどり着けるかもしれませんが、広州空港へはクルマで行くしかないでしょう.
困ったことにクルマが問題です.中国の道路事情は、歩行者と自転車とクルマが路上でチキンレースをしているようなもんですから、駐在日本人でクルマを運転する人を見たことがありませんで、みんな中国人運転手を雇っているんです.だから、反日暴動で「日本企業を焼き払え」と目が血走っている中国人に運転してもらって空港まで行けるかどうかは賭けです.金目の物を奪われて殺されるかもしれない.
”空港までの足”のことだけ考えてもこんな事情ですから、空港に駐機しているJAL機までたどり着けるとは思えないわけです.しかも空港で中国当局に拉致られるかもしれんわけですし.どうせ拉致られるなら広州空港よりも香港空港の方が文明圏に近いだけマシかと思います.

先日の反日暴動の時には、沈静化するまで外出も出勤も避けていたと駐在日本人から聞きました.ですから日中有事の際には、ひとまず動かないでホテルに籠城してるのがマシかもしれません.なにせ中国のことですから、反日デモが反中共デモに転嫁するのは時間の問題でしょうから、それまで待っていれば反日なんかケロッと忘れてしまうかもしれません.

東莞や珠海に駐在する妻帯者は、奥さんと子供を香港に住まわせて週末は香港へ帰るという生活をしている人もいます.そういう人は、尖閣で衝突があったらその日に妻子だけは香港空港から逃がした方がいいでしょう.行き先はインドだろうがドバイだろうがどこでもOK.
それと病院事情ですが、日本人が怪我や病気をしたらわざわざ香港の病院まで出掛けていました.それだけ中国本土の医療はプアだってことですから、軟禁なんかされたら持病のある人はヤバイです.

わたしとしては、目に見える形で緊張が高まって、渡航自粛勧告が出て、多くの日本人が帰国した後で状況が始まることを願いますけれども、それでも一部の日本人は残るでしょう.その時残った日本人の命運には悲観的にならざるをえません.まぁでも渡航自粛勧告が事前に出る確率は少ない気がしますが...

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反日暴動以降、中国離れが進む日本企業ですが、日本企業が撤退する際に莫大な違約金みたいのを支払わされるという法律が中国にはあります.これのせいで日本企業の中国離れが阻害されているのかというと、現実にはあまり日本企業に痛みを与えていないように個人的には思っています.つまり、撤退してはいけないのですから、日本企業同士が合併するんです.合併して合理化しましたが、企業としては存続しとりますというレトリックで済んでいるみたいです.たぶん.

マレーシアみたいな親日国で、クルマを運転できるほど安全な国に駐在する方が幸せですね.

かしこ


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