2013年11月24日日曜日

祝、劇場アニメ「アリオン」BD版発売、キャラデザに惚れて作られし作品

安彦良和といえば1stガンダムのキャラ設定&作画監督でつとに有名なアニメーターですが、安彦氏の原作・監督による劇場アニメ「アリオン」(1986年)がBDで発売されました.いつ発売されたのかは知らないのですが、わりと最近の事だったみたいです.これは買わねばなりませんぞ~ということで速攻でamazonでゲットしました.

安彦氏の監督作品というと、アリオンの他に「クラッシャー・ジョウ」「巨神ゴーグ」「ヴィナス戦記」あたりです.いずれもストーリー的にはあまり褒められた作品とは言えますまい.ラストの盛り上がりシーンへ向けてそれなりにお膳立てはするのですが、決着の着け方が弱いというか甘いというか、釈然とせずに終わるところが安彦作品の特徴であります.
「クラッシャー・ジョウ」では父子の確執が少し解けたような終わり方だったと記憶しています.「巨神ゴーグ」では暴れたゴーグが海へ帰って行くのがラストでした.これらは安彦氏特有の照れ隠しなのかと思わんでもありませんが、意図的に肩透かししているのかなんなのか、わたしにはよくわかりません.

それでも安彦ブランドはアニメ業界では強くて、「安彦が作るなら観るよ」というアニメファンは多かったのではないでしょうか? わたしもその一人です.安彦アニメの何に魅せられて観るのか? それは、安彦氏のあの精妙な、まるでイラストのような線で描かれたキャラが動くなんて、いったいどんだけ贅沢なんだよ?っていうアニオタの始原的興奮によるものであると、わたしは思います.
↓「アリオン」においてはアテナの作画に最も熱意が感じられます.鼻梁の線、口元の影、陰影の落とし方、目の表情、、、、うーむこれを動かすとは、、、無上の贅沢.
BDのパッケージはどうなっているか?
↓パカッと開いて見えるのはこれだけ.特製ブックレットとかは何もなし.なんか寂しいぞ.
↓表紙はこれ.
↓裏表紙はこれ.人物相関図になっています.
↓DISKはこれ.収録されている特典映像は、DVD発売時に収録されていたのと同じと思われます.古い画質のメイキングと、予告映像ぐらいです.本編もDVDと同じと思われます.カットされたシーンを追加して欲しかったところですが、残念.
ストーリーを復習
ギリシア神話をモチーフとしていて、神々がまだ実在している古の時代に、神々による圧政を倒して人類の自主独立を勝ち取る闘いを描いたストーリー.
↓一番エライ神様、ガイアは巨人です.わたしの記憶が正しければガイアのデザインは少女漫画家の山岸涼子だったと思う.
↓各界を統べる兄弟達.この兄弟の勢力争いが物語の背景.ハデスは神々の末裔であるアリオンをけしかけて刺客に仕立てる.
↓主人公のアリオンと、ヒロインのレスフィーナ.二人はポセイドンの双子の兄弟とみなされていたが、実はアリオンは別の神様(プロメテウス)と人間のハーフだった.神々には強い超能力を持つ特異体質が産まれることがある.ガイアがその筆頭.そしてレスフィーナにも未だ知られぬ潜在能力があった.
↓チャラ男のアポロンも超強力な能力者.
↓いろいろな出来事があった末に、捕らえられたレスフィーナを救うべくオリンポスへ向かうアリオン.その闘いは神々を打倒する革命戦争と連動することとなる.
↓オリンポスの奥深く、ガイアの居室にたどり着いたアリオンだったが、ガイアの超能力の前には無力に等しかった.すると、捕らえられていたレスフィーナが発動し、ガイアをも上回る超能力でレスフィーナがガイアを殺して一件落着.ここでのアリオンの無力さはストーリー上の問題点といえるでしょう.まぁ、所詮神々の内部抗争の物語なのですから、アリオンごとき雑種の出る幕ではないのですが、、、、
↓レスフィーナは死んでしまったかに見えたが、ひとまず闘いは終わった.そこへのこのこと現れたのはアポロン.兄弟の確執を利用してガイアを打倒し、レスフィーナと組んで新しい王朝を建てる算段をしていた真の黒幕はアポロンだった.アポロンがレスフィーナにご執心だったのもレスフィーナの能力を見込んでのことだった.アポロンに斬りつけるアリオンだが、ここでも雑種と神では互角の戦いにはならず、しかし目覚めたレスフィーナがアポロンを拒絶するとアポロンは何処かへと去ってゆく.う~ん、、、肩透かしな展開かと.
↓全ての闘いが終わり、レスフィーナとアリオンは仲良く暮らすことになったのでした.おしまい.
四方山話
↓このシーンはリュカオーンに導かれたアリオンが囚われのレスフィーナを遠隔視するシーンです.そこへアポロンが来てアリオンを追い払うまでが描かれます.ところが、本来はその後に続くシーンがあってカットされたらしいんです.気絶しているレスフィーナが強い霊力を発し続けるものだから、たじたじになったアポロンが「このじゃじゃ馬めが」とつぶやくシーンです.これって、ラストシーンでのレスフィーナの強さの伏線として残すべきだった重要エピソードのように思うんですが.どこかでその動画を見たものの、そのソースが何だったのかを失念してしまいました.特典映像の中にも収録されてないと思います.
↓安彦氏のカメラワークは独特です.対象物が静止している画面でなら、カメラ位置と被写体位置が固定されているので普通の画になるのですが、このような被写体が移動する画面ですと、カメラ位置が浮遊するんです.前後左右にカメラが揺れまくって、これを長く観たら船酔いするだろうってな画になるのが安彦氏の独特な持ち味です.こういう特徴を観ると、安彦氏って映画のコマの中に被写体を合理的に納める仕事が本来は好みじゃなくて、イラストのように自由な画を描きたい人なんだろうなと思うんです.その欲求を発散させるためにこんな画面を描きたいのではないか???
↓アリオンのBGMは久石譲です.アリオンのラストシーンを流してウルトライントロクイズをやったら、100人中97人までが「風の谷のナウシカ!」とお手つきしてしまうことでしょう.過激に似てます.もちろん制作年代はナウシカが後ですw.ちなみに、アリオンもナウシカも徳間書店です.徳間はジブリの前にもこうしてアニメ制作に手出ししていたんですね.
↓アテナがアポロンを誘惑するシーンは最も好きなシーンのうちの一つです.オレ、アテナのこと好きだし~.CVの勝生真沙子さんは当たり役は少ない方のようですが、脇役としては長く活躍されているみたいでなによりです.
以上でアリオンについて書いておきたいことはオシマイです.欠点がなくはないアリオンではありますが、キャラの画に惚れられて制作されたアニメの筆頭事例として、日本アニメ史の必修科目指定がふさわしいのではないでしょうか? 意外とそういう作品は少ないものですから.

かしこ

追記2014年1月9日:
四方山話で書いた、カットされたレスフィーナ暴走シーンの出典が判明しました.DVD版arionの同梱冊子に書かれていました.これです↓.クリックすると拡大表示されると思います.

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