2013年11月21日木曜日

初めて経営者と知り合いになって思い出したこと

あの~、わたしはプチ経営者なんです.でも、まともな経営者じゃないんです.まともな経営者って何なのか? わたしの定義では、ファイナンスもできる経営者のことです.ファイナンスが苦手な経営者のことをマトモな経営者とはわたしはみなしません.そういう経営者はどこかで無用な危ない橋を渡ることになります.もちろんわたし自身もマトモな経営者ではないと自覚しています.

企業に勤めていた頃、わたしは技術にしか興味がありませんでしたから、金のハナシには頓着せずに20年間ぐらい過ごしてしまいました.でも最後の数年間で、少しだけですが金を専門にする職種の人と仕事をする機会があり(ソニーでは管理屋と呼んでいましたが)、なるほど企業は金で廻っていると実感した次第です.見聞きしたのは大企業の管理屋の片鱗に過ぎませんでしたが、「企業=金という原理主義」を脳の奥深く、脳幹レベルで思い知ることができたのは、何物にも代え難い体験だったと痛感しています.その前までは、大切なのは資本じゃないよ大切なのは技術だよ、などと青臭いことを考えていたわたしでしたが、それは誤りでした.

先日リフォームのお手伝いをした方が会社経営者だったのですが、その人のハナシを聞いていると、IT系企業だったり、不動産業だったり、飲食業経営だったりと、やってる業態が様々に分散しているので、あれ~よくわかんないなぁと思いまして、尋ねてみました.

ひら   「Kさんって、最初から経営者だったんですか?」

Kさん   「最初にすこし税理士事務所で働きました.数年で辞めましたけど.やっぱ金の事を知ると企業経営の役に立つでしょうし」

これで合点がいきました.要するにKさんは、経営することが目的で経営者になった人で、そのための基本的スキルはファイナンスなのだと.そういうタイプの経営者とは今までご縁がありませんでした.今までわたしと縁があったのは技術系の会社の経営者ばかりで、ファイナンスに長けた人々ではありませんでした.

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ファイナンスに長けた経営者に会って、わたしが関わった技術開発projectのかなりヤバいエピソードを思い起こしました.といってもファイナンス以前の問題なのですが...

飲食店を開業するような案件の場合は、必要資金を調達できれば、たとえ紆余曲折はあろうとも開業まではこぎ着けられると思われます.開業後に客が入らないリスクはありますが、そこは企業努力でがんばってくれと.

けれど技術開発プロジェクトは、飲食業の出店とはかなり違います.技術開発のプラン(画に描いた餅)はあれど、それを試作してみなければ本当に実現できるかどうかはわからない.その試作成果で出資者を募って、市場投入し、それが狙い通りに売れて初めてお金を手にすることができる.試作フェーズと市場投入フェーズが1年以上かかることはザラであり、お金を得るまでに長期間かかります.なのでいくらすぐれたアイデアがあっても、初期資金がないと何も始まりません.企業努力以前にファイナンス問題ゆえにオダブツです.

さて、わたしが関わった技術開発projectをKプロ(仮称)と呼びます.Kプロのkick-offミーティングには、プロデューサ、アナログ屋、デジタル屋、ソフト屋、アプリ屋、が出席しました.各々の参集者はプチ経営者です.わたしの役目はデジタル技術者で、数ヶ月先行して趣味的に試作してきて技術面での目処はある程度立っていました.技術的ブレインストーミングがひとしきり終わって、それでハナシが終わってしまいそうだったので、いったいなんじゃそりゃ~?と思って、プロデューサに問いました.
「ところでさ、Kプロは、絆方式でやるの? それとも金方式でやるの?」

プロデューサ殿の返答を記する前に、「絆方式」と「金方式」とは何かを解説しましょう.

技術開発projectは、上で述べた理由によりハイリスクハイリターンになりがちです.そのリスクを誰が負担するのかが、「絆方式」「と「金方式」の違いです.
「絆方式」
Kプロ参加者全員がリスクを負担する.全員が無報酬、手弁当で働く.失敗したら骨折り損のくたびれもうけになる.成功したら、莫大な利益を全員で山分けする.ベンチャービジネスの創業者7人衆の固い絆がその典型例である.
「金方式」
プロデューサが一人でリスクを負担する.他の参加者は、たとえ失敗しても僅かだが報酬を受け取ることをプロデューサが保証する.成功して得た莫大な報酬は、プロデューサの総取りである.参加者はいわば金で雇われた傭兵である.

↑これは両極端ですが、Kプロ発足にあたり、絆と金をプロデューサがどう思っているのかを語ってくれないことには、気づかぬうちにリスクまみれになっていたり、報酬をもらえなかったりと、バカバカしいことになりかねないので、わたしは絆と金をボカしたプロジェクトの発足なんか許しません.だから尋ねたのです.「絆方式」か「金方式」かと.

そしたら、プロデューサ殿が言ったことがすごかった!
「いや、それは金のハナシだから、今は話す必要がないでしょう」
だってさ.金とリスクについて少しは考えたらどうだと言いたい.
実を言うと、その人のことを知っていたので、想定内の返答のうち最悪の返答だったのですが、こりゃぁダメだと思いましたわ.その後、わたしは諸事情によりKプロを離れたのですが、風の噂ではかなりヤバいことになっているそうです.どういう風にヤバいのかは想像にお任せします.www

ファイナンスを武器に経営者をやっている人もいるかと思えば、絆方式と金方式を問われてキョトンとしてしまうほど金(とリスク)に疎い経営者もいる.世の中いろいろ、人生いろいろ、オトコもいろいろ、、、、なのであります.

ぷしゅ~
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16 件のコメント:

  1. ソニーOB:佐藤2013年11月21日 23:08

    Kpro(仮称)ですか。直接関わってなくてもなんとなくわかりますが、
    >風の噂ではかなりヤバいことになっているそうです.
    現在進行形だとわからないなぁ。HとのAでしょうか?
    私は直接的にはJproは関わっておりました。当時のPVの方で知り合いは結構いましたね。
    ちょっと前ですが日商簿記の2級レベルくらいは知っている方がいいのかなぁと思った時もありました。2級だと工業簿記入ってくるんですよね。

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    1. ははは.Kproと聞いてJproを思い出すとは、お互いの出自の同一さが窺い知れますね.書いててわたしもJproみたいだと思いましたから.磁気記録の再興を願っていたわたしとしては、HiFD,Jpro,F1とその時々の旬のprojectに参加できてうらやましいです.わたしはずーっとDDS/AITだったので.

      簿記については、近頃の会計ソフトはかなり自動化されていて便利なのと、仕訳費目がわからん場合はネットで検索すると回答が見つかることが多いです.

      税務でさっぱりわからないのは、たとえば中古不動産を購入して、それを事業用途で使う場合(賃貸住宅など)の、減価償却についてです.これは税理士先生がゴニョゴニョと計算している過程を見てまして全然わかりませんでした.

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    2. ソニーOB:佐藤2013年11月23日 17:36

      Kproは実名かと思っていました。K〇〇〇Projectはありましたから。
      あの辺りで日本のお家芸である商品の小型化の商品価値はなくなってきたように感じました。
      もう多層基板の開発なんて終わっているのかな?
      Jproなんて消費電力ありきでの設計で各基板の割り振りされてアンプで〇mA、信号処理で〇mA、記録再生系で〇mAなので記録再生系で記録電流を20%減らせないか?Hcもう少し下げたら目標達成できないか?などの議論があって、結構シビアだなと思ったものでした。

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    3. その名はKENT、、、、あれはQuentだとかいう説もありますか?

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    4. ソニーOB:佐藤2013年11月23日 18:03

      たばこのKENTの大きさという意味だったと思います。
      平坂さんだとSmileには苦労したなぁとか。これじゃCNR取れないじゃない。
      メディアどこまで厚くできるの?なんて感じかな?

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    5. KENTが売れなかったのは、遠回しにTS部にも悪影響がありました.あの後でメディアやヘッドビジネスのR&Dに対する期待感が一気に失せましたから.まぁKENTがあのspecで売れるとも思えませんでしたけど.
      結局のところ、PVはKENTの後でHDDへfocusしたんだったかと思います.

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  2. ソニーOB:佐藤2013年11月22日 18:02

    また週末になりましたね。
    10日、17日と関東ではやや大きな地震があったので2度あることは3度あるみたいに今週末はどうか?って心配しているところです。
    こちらは相変わらずで、昨日もどーんと震度3でした。

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    1. 先日の地鳴りはヤバそうでした.オリンピック前までには大きいのが来るでしょうねぇ.怖いよう.

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  3. 今はなんと平和なことか。
    http://www.youtube.com/watch?v=Hrut_6N9Gpk
    フランスまでベトナムで奴隷売買をしていた。

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  4. 今もなんと矛盾しているのか ドバイにて。
    http://www.youtube.com/watch?v=gCJ5aLlju0g

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  5. イスラエル、シリア、イラン、メリカの関係を示す画像
    http://www.youtube.com/watch?v=GoTRb3EVd-o

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  6. メリカよおまえもか
    http://www.youtube.com/watch?v=pesTdPaN2MA

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  7. 無題
    http://www.youtube.com/watch?v=8rY0tNUbl60

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  8. アラブ王国では1億以上の車しか買わないそうだ、
    しかしGT-R 2013が 400台以上売れているらしい。
    画像を見るとまともな判断らしい、一般市販車で、ニューブルで最高速と安定性をたたき出せる。(最もとても買えないが、死ぬ前に買おうかな)

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    1. ハイテクすぎてアラブの砂塵で故障とかしませんように > GTR殿

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    2. 砂漠、雪道、その他前性能を追求した居るようです。

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