2018年8月27日月曜日

「東芝 原子力敗戦」東芝になにがあったのか?

東芝ってどうしてあんなになっちゃって、今どうなってるの?
そういう疑問の答えを求めて読んでみたのが「東芝 原子力敗戦」という本.

【経緯は簡単】
米原発メーカーのウェスチングハウス(WH)を買収したけど、WHは日本人の指導なんかに聞く耳持たない赤字企業で、やがて倒産し、巻き添えで親会社の東芝が死んだ.以上説明おしまい.お笑い.

そんなバカなことが起こりうるのか?と誰でも思うでしょう.それが起きたっていうのが東芝粉飾事件の興味深いところだw

【根っこにあるのはこういう事情】
・東芝社内のコンプライアンス体制が有名無実であったため、CFOを無視して原発事業部と社長だけで投資を決めてしまう風土だった
・東芝が原発投資を闇雲に推進したのは、経産省の後押しという錦の御旗が東芝社内で絶大な説得力を持っていたからだった
・経産省の思惑は、原発のトータルビジネスを日立・三菱・東芝にやらせることだった
・原発のトータルビジネスのため、WH買収だけでなく、ウラン資源企業への投資、世界への拡販を進めた
・東芝の炉はBWRだが、現在主流はPWR.WHのPWRを東芝は欲しかった
・WHの赤字を隠蔽するため全社総動員で粉飾決算をした
・PC事業の建て直しで社長になった西田には、粉飾で黒字転換したという噂がある

東芝の罪は無謀な投資と粉飾決算である.一つでも死刑なのに二つもやるなよw
そしてこれらの罪は歴代社長の人格に起因する.東芝では無謀社長が何代も連発したんだからおぞましい.なんで無謀社長が連発したのか?
一つには、東芝には国策を推進しているという誇りがある.二つ目は、東芝の社長は経団連会長になる慣習がある.経団連といえば財界の天皇である.そういった奢りが東芝社長の自意識を肥大させてしまった.どんな投資をしてもわたしに過ちはない、わたしの行動に過ちはない、ってさ.
その自意識が嵩じて、決算発表3日前に「PLを120億円改善せよ、さもなくば事業部を売る」という無茶を平気で言える社長が出来上がったらしい.東芝の歴代経営者には無謬性という毒が廻ってオツムが少々狂っていたように思われる.
病んだ会社だwww

【今後の東芝の運命】
・チッソと同じだ.チッソは水俣病被害者補償のため倒産は許されず生殺しにされた
・東芝も、原発廃炉・メンテ会社として倒産は許されず生殺しにされる
・WH関連の損失はこれ以上増えないのか? 必ずしもそうではない.USと中国の原発建設が無能なWHのせいで滞っているからだ.USと中国から損害賠償喰らうと東芝はさらに死ぬ
・USからLNGを買う契約があるのだが、LNG市場価格が低迷したケースの損失が1兆円とも言われる.つまり、まだ東芝の体内には2つ3つの不発弾が残っているのだ

FLASHを売却すべきでないという考えの人もいるが、どのみちそれは無理だったのだと本書を読んで思った.なぜなら、FLASH投資のための莫大な資金集めをもう東芝の看板ではできないのだ.売るしかなかったのだ.

USからLNGを買う契約というのが、原発とどう関係するのか?と不思議に思う.
天然ガスを液化するには莫大な電力を要するので、原発の電力を液化プラントに融通しようという思惑でLNGへ投資したというのだ.なにもそこまでノリノリで投資する必要はないだろうと思わざるを得ないw
病んだ会社だwww

【原発を推進すべきか撤退すべきか】
原発ビジネスにコミットしているのは、今やフランスと日本だけだそうだ.
UK,USは原発ビジネスから撤退した.
UK,USの撤退した跡地を埋めるように東芝がM&Aにのめりこんだという図式である.
アングロサクソンのやるコトの逆張り路線で成功するのは確率が低かろう.そういうジンクス的意味で原発ビジネスの将来に明るさは感じられない.

【感想】
ライブドアには特捜が入って倒産させられたのに、東芝にはずいぶん甘い対応じゃないか、とご立腹なわたしだったが、本書を読んで事情がわかった.
事情とは、元来東芝は国策会社であり、原発投資を経産省が下支えしており、今後の東芝には廃炉をさせるという国策がまだ生きている、、、つまり過去から未来まで全部国策なのであった、東芝という会社は.
病んだ会社だwww

人生設計が狂ってしまったであろう東芝グループ社員に同情する気は起きない.
全社総動員で粉飾決算に邁進していたという爆笑企業の罪は重いんじゃね?

ソニーと東芝の違いは?
総合電機メーカーの屋台骨であった白物家電とPCとケータイ事業が滅びかかっている現状ゆえ、どこの経営者も何か別の柱を見出さねばならない.そのための悪あがきの果てに東芝を待っていたのは「事実上の消滅」という結末だった.
悪あがきといえば、ソニーのエレキ事業だっていろんな悪あがきをしてきた.その多くが失敗だったのはソニーも東芝と似たようなものだったと思う.
それでもソニーは東芝よりラッキーだった.
トリニトロンの終焉がソニーのエレキ事業の終末のゴングだったわけだが、トリニトロン事業のインフラは償却済みの組立工場だったから撤退のダメージが比較的少なかったとわたしは思っている.原発事業のような引くに引けない事情なんか無かった.
ソニーは長年、コンテンツ・金融に手出ししてきてそれらは不況を乗り越えて存続している.メディカルとFLASHを売ったら原発しか残らなかった東芝とは違う.

わたしは2010年末をもってソニーを退職した.その時点で考えたのは、もはやエレキ産業に人生を投資する価値は無いという悟りだった.
それでも、わたしは東芝のことを日本の総合電機メーカーの最後の砦だと思って尊敬していたんだけど、何のことはない粉飾による虚像だった.すなわち東芝の事実上の消滅は、絶好調だった1980年代の日本エレキ産業が、1990年代2000年代を通じて没落し、完全にオシマイになったという意味だと思っている.

エイメン

4 件のコメント:

  1. いや、今回の記事は読み応えありました。毎回ご苦労様です。

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    1. いや、東芝さんのおかげです.
      東芝に就職した人は複数いたけどどーしてるのかな???

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    2. 就職した人いましたね。
      Mさんとか、どうしてるんだろう?

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    3. 彼は原発じゃなかったので売られて別会社になった先で生きてるといいですね

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