2018年9月15日土曜日

柏崎刈羽原子力発電所見学ツアー、スゲー面白い

出張のため長岡から松本へクルマで移動する道すがらに東京電力 柏崎刈羽原子力発電所がある.道草で見学した.スゲー面白かったよ.機会があれば読者諸氏にもオススメします.

わたしは原発の是非にはニュートラル.それでいてアンチ電力会社.再稼働したいのってそりゃぁ電力会社のたかが仕入れの都合でしょと思っている.

理由は、、、
まず反原発サヨクには理屈など無いので無視.
かといって推進派にも与する気が無い.3.11の後に推進派が言ってた「原発止めると日本が滅ぶ」はウソだったじゃないか.
要するに左右どっちも為にする議論しかしてない.

ひら的には、原発推進の中心原理は経済性でしかなくなってしまったと見ている.設備を遊休させておくのはもったいないだろっていうことだ.

もちろん経済性は大切ではある.しかし電力会社がいまさら経済性などとホザくのは片腹痛いんだよ.だってさ、2年ぐらい前に発送電分離で電気料金が劇下がりしたじゃん.我が家では毎月2万円→1.5万円に電気代が下がったもんね.発送電分離は、従来の電力会社がどれだけ国民=客を騙して高収益を上げていたのかを晒してしまう出来事だったのだ.
そういう事情を知ってしまったヒラサカ的には「原発はアンタら電力会社が仕入れ値を安くしたいというアンタらの事情でしょ」と冷たいのだ.電力会社の努力で再稼動すりゃいいじゃんで終了である.殊更に再稼働を支援する気は起きない.

なので柏崎刈羽原発を見学するにあたってのわたしの態度は、「是も非も無い、巨大プラント見学に興味があるだけだ」というものだった.

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それでは、柏崎刈羽原子力発電所見学ツアーのレポートをしよう.

【入るまで、セキュリティ】
まず知っておくべきなのは、見学は資料館とツアーの二本立てである、と言う事だ.

資料館は、昼間の営業時間内であれば無料で誰でも入れる.展示物を見るだけ.資料館のレポだけでも長文記事を書けるけど、ツアーがあまりにも有意義だったので資料館は割愛.

ツアーは、柏崎刈羽原子力発電所の構内を網羅的にクルマでゆっくり走る.運転手は東電社員の総務部広報課っぽい人だった.運転しながら左右の設備や建物を「技術的に」解説してくれる.質問も随時ok.ツアーは1時間ぐらい.

ツアーは平日と休日で運用が異なる.
休日は出発時刻が決まっていて、4〜5便出る感じ.
ところが平日は定期便は無いのだ.代わりに随時飛び入り参加できるシステムになっている.ただし事前予約者が無く、説明員が手空きだったらという条件つきなので、飛び入り参加は運任せだ.たまたまわたしは一人きりだった.らっきぃ!

このツアー受付がイイ味なんだ.
住所を記入するぐらいはカラオケ店の会員証を作る時でも当たり前だが、柏崎刈羽原子力発電所飛び入り見学ツアーでは、運転免許書を渡す.それで事務所で審査される.10分ぐらいして審査が通りましたと言われ免許証が返された.
飽くまでも想像だが10分間というと、警察のデータベースに照会して過激派との接触歴があるか?外国のスパイの疑いがあるか?前科があるか?ぐらいは裏で調査出来る位の時間だと思う.原発施設に入構する者にはそのくらい厳格な身元調査をやっとけと思う.

なおツアーでは写真撮影絶対禁止である.受付にロッカーがあるので、スマホ・ケータイをロッカーに入れるよう勧められる.強制ではなさそうだったが.

運転手兼説明員の人に促されてクルマに乗る.
資料館と受付とクルマに乗る場所は、原発施設の外部なのだ.なので原発施設への唯一の出入口ゲートを通過するのが最初の見学ポイントとなる.
このゲートがいいかんじ~.
民間警備会社がゲートを守備しており、クルマの積荷をチェックする.クルマの下部に怪しい物が無いかどうかを鏡でチェックする.クルマは東電の資産であるにも関わらずだ.
運転手が「見学者です」と言ってヒラサカの入門が許可される.
構内の至る所に監視カメラが設置されているが、セキュリティの全貌は東電社員にも知らされないそうだ.まず味方を疑えである.
構内の道路が曲がりくねっているのは、暴走トラックがゲートを突破した場合に足を止めるためであると言ってた.

ゲートに「上空にドローンを飛ばしてはいけません」という看板があった.ミサイルでドローンを撃墜するところを見たかった.

【施設概要】
広大な敷地には、ディズニーランドが9個入るらしい.シーも含んで9個なのかは知らない.ヒラサカの想像では、黄色のラインが原発施設のセキュリティラインだと思う.

赤い四角が原子炉で7つある.ピンク色はタービン建屋で原子炉の海側に隣接している.電気の流れからするとタービン建屋は山側にあるのが妥当だが、海水で冷却するのでタービンは海側に置かれるのが通常なのだそうだ.海に面した矢印は取水口と排水口だ.
ここの原発の最大出力は800万kwを超えている.でかいなー

上で触れた資料館と受付は、原発施設の外側の①の場所にある.見学ツアーは①から出発する.

クルマが入る唯一のゲートは②の場所だ.

③は東電社員のofficeビル群で、制御ルームもここにあるみたいよ.震度7にも耐えるビルになっているうえ、窓際には鉛のシールドが置かれている.原発災害の際には篭城する気なのだろう.
震度7を超える震災時の制御ルームは5号原子炉建屋の中に設けられているとのこと.ヤマトの第三艦橋とかエヴァの第二発令所を思い出しちまってニヤリッとな.

④は変電設備.50万Vで送電する.800万kwを送電するにはさぞや巨大な送電線が在るものと予想していたのだが、後で述べるように意外とフツーの鉄塔が2本あるだけなんだ.

⑤は東芝日立GEなどの協力会社社員の居室建物群.柏崎刈羽原発の原子炉は全てBWR型であるから、この3社はBWRをやる会社なんだろう.

この敷地内にいる社員数は東電と協力会社を合わせて6000人もいるんだって.運転休止しているのにすごい人数だ.

【震災対策】
福島原発の破滅の引き金になったステーションブラックアウトへの対策を熱心にアピールしていた.ベースとなるのはディーゼル発電機である.バックアップその1として、トラック型ガスタービン発電機が2機ある.バックアップその2として、トラック型発電機が30台ぐらいあった.

福島後に配備された消防車が多数.100mぐらい放水できる強力なもの.これらがホース口径300mmだっていうんだからビックリ.もはや人間にハンドリングできる代物ではない.ホースを展ばす専用車両と、放水車両があった.これはもうモビルスーツかパトレイバーの出番だろうと思った.
今回の見学で最も印象的だったのが、消防車を運用するのは東電社員だってことだ.福島後に東電社員が大型免許を取り、消防車を駆使した消火活動を確立したそうだ.わたしは消防団の訓練を知っているけれど、大型車両なんか扱わなくても大変な重労働なんだよ.ホワイトカラーの東電社員が消防団よりも数段ハードなはずの消火訓練をやってるってのはマジかよって思っちゃった.ご苦労なことで...

津波対策のため15mの堤防が海側に設けられている.

津波の引き波が生じると海面水位が取水口よりも低くなる可能性がある.取水できないと原子炉は熱暴走するかもしれない.そこで取水口の近所に遊水池が設けられていて、短時間なら死なないように出来ている.

【その他】
最大800万kwの電気は、50万V変電所から2方向へ伸びる送電線で関東地方まで届く.

写真の右下に赤白の鉄塔が見えるが、これは避雷鉄塔なのだ.冬の嵐で多くの雷が生じる土地ゆえ、敷地内に3本の避雷鉄塔が建っている.

各原発建屋に白い鉄塔が立っている.これが何のためにあるのかはよくわからなかった.

【資料館】
資料館で面白かったものをいくつか.

↓50cmぐらいのウラン鉱石から燃料ペレット1個作れますという展示.もっと取れ高が少ないのかと思ってた.
↓原子炉を覆っている厚さ2mの壁の模型.鉄筋の太さが45mmぐらいあるかなぁ.建物調査の仕事をやってるわたしとしては普通のビルでこんなの見たこと無い。「こんなに黒くて太いものが入ってるなんて...」と唖然としちゃったよ.
↓ガラス固化して放射性物質を地中に埋める展示.金属円筒の中にガラス固化体を納める構造.こんなに巨大なの?と思ったので写真を撮った.比較のためA4サイズの紙を置いた.ガラスの直径が30cmぐらいある.


最後に、最大800万kwのこの原発がどのくらいの年間電力売上を稼ぎ出すのかを試算してみよう.
平均500万kw、送電ロスを10%と仮定する   →  需要家には450万kwが届く.
1kwh当りの価格を¥20と仮定する.
1年間=8760時間.
年間電力売上 = 450万 x 8760 x 20円 = 78840000万円 = 7884億円
こんなに稼ぐのなら社員を6000人も抱えてもやっていけるね.

それでは皆さんも柏崎刈羽原発へGOGOGO

#数日経過しましたが歯茎からの出血とかはありません!

かしこ

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