2012年7月10日火曜日

「上念塾経済セミナー2DAYS」を見学 →なぜかエロ漫画規制条例を連想

昨夜、経済評論家の上念司のトークライブが「上念塾経済セミナー2DAYS」と題して、大久保NakedLoftで行われましたので、見学しました.そんなに広い会場ではないので超満員でした.昨夜と今夜の2回開催で、昨夜は右翼歴史家倉山満との政治経済漫談、今夜はリフレ派経済学者の田中秀臣との経済漫談となっています.たぶん今夜も満員でしょう.当日入場枠があるみたいなので興味がある方はどうぞどうぞ.

このLoftって都内にいくつかの支店があって、人体の一部を食する猟奇イベントが行われたのは阿佐ヶ谷Loftでした.うげ~~

上念司のトークライブは4月にもあってその時も見学しました.4月は、日銀審議委員候補者の河野龍太郎という「日銀審議委員になれるならデフレOKですよぉ~」の御用経済人が国会の人事委員会で却下された直後だったので、「カクリコン撃墜おめでとう、乾杯」という始まり方でおかしかったです.

で、今回はどうだったかというと、衆議院で消費税法案が可決されちゃった後で、このままじゃ参議院も通過しちゃうんじゃないかという「経済逆噴射状態」なので前回ほどは意気軒昂とはいけなかったようです.参議院自民党がゴネてくれりゃいいけど、ゴネそうにないので、参議院を通過しちゃうんじゃないかというのが推測のようです.小沢GPの人数も衆議院で民主党を過半数割れにするには不足だったし.

ところで、今回の消費増税法案には次の附則があります.
消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。

この記事を書くためにこの附則をマジメに読みましたら、要するに今のようなデフレなら消費税UPしないと言ってます.たしか消費税UPをGOするのは平成25年の9月と記憶してます.なので、わたしは誤植かと思ったんで複数のソースで確認したのですが、平成23~32年度の平均成長率という未来の結果を平成25年9月にfeedbackするという因果律を無視した構造になっています.こないだ観た「涼宮ハルヒの消失」を思い起こさせる時間パラドックスぶりでびっくりしちゃいましたヨ!
長門有希に頼んで空間構成要素を再構築しなくちゃ
この附則は存在できないじゃないですか? はぁ~?
←強いぞ長門!
だから、平成25年9月の時点ではデフレだけど、来年以降はインフレにするから、平成32年になれば平均3%になってるさワッハッハ、という人が総理大臣だったらこんな附則なんか何の効力もないですし~.

先日の衆議院における消費税法案採決で、欠席または反対票を投じた議員は、反対を唱える議員の2/3ぐらいだったと思います.1/3が脱落したのは党議拘束がかかっているのと、反対したら次の選挙で刺客候補に逆襲される、自分のスキャンダルで脅されているとか、いろいろな取引の結果でしょうけど、意外にも上記の附則が論理的逃げ道になっていた部分もあったらしいです.
それは、反対派が過半数になれない中で、むざむざ議員生命をおしまいにするのではなく、附則があるから後で逆転できる可能性がないわけではない、今は雌伏の時だ、という論理です.具体的には、平成25年夏の総選挙でアンチ消費税の政権にすればよいっていう戦術です.もう今国会で多数派工作する段階ではなく、総選挙での逆転に賭けるという戦術です.そこまで戦線が後退してるんですね

タイトルの「なぜかエロ漫画規制条例を連想」に話を繋げますと、こういう状況すなわち、多数派工作失敗→面子を立てて可決→運用で骨抜き っていう おきまりの流れって随所に見られるけど、自分の身近ではエロ漫画規制法がまさにそれって気がしています.
始まりは、性的な物事にコンプレックスがあるへんな人々が規制条例を都議会に提出したものの、主に民主党の反対で廃案になり、焦った規制派がエロ漫画を持って小学校のPTAの面前で「こんなひどい図書を許せるでしょうか?」とアジったりしたうえでリベンジ条例案を提出し、ここらで手打ちにしとかないともっとひどい規制条例案を提出されかねないんで、騒ぐ奴らに気づかれないうちにサクッと可決し規制派の面子を立てた.ところが、運用面では骨抜きになってます.相変わらず秋葉の店頭では売ってますし.東京都は「業界の規制意識向上で効果は上がった」と結論づけていますし.結局エロ漫画ファンにはなにもなく平穏な日々って結果になってます.
消費税法案の成りゆきをみるにつけ、エロ漫画規制条例の押したり引いたり骨抜きにしたりっていう戦術と似てるなぁと思うんです.

知ってました? エロ漫画規制条例って、ゾーニングじゃないんですよ.発売禁止条例なんです.有識者による判定委員会が発売OK/NGの判断をする権限を持つんです.エロ小説なんか昔からなんぼでもあるのに、マンガだけには発売禁止条例を設けるっていうオタクをバカにした条例なんです.けれど、草の根的に大騒ぎになり、しかも東京都のアニメフェアからは大手メディアが抗議のために撤退したりという「抵抗の実績」を残したのは相当効果的だったと思います. 規制派のガス抜きのために条例を可決したものの、運用面では判定委員会を立ち上げる気すら失せているんだと思う.判定委員の人選が漏れてきたり、これがダメなマンガだなどと実例が公表されたらどれだけ揉めるかは火を見るよりもあきらかでしょうから.

上念司のイベントで倉山満が言ってました.「たとえ敗退しても、いま反対の旗を立てたという実績を残さないと最悪なことになる」    エロ漫画規制条例には反対の旗を立てた効果があったわけです.だから消費税法案にも、いま反対の実績をしっかりと残すことが大切だと思った上念塾経済セミナーでした.

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2 件のコメント:

  1. 未来まで含めた成長率で判断とか・・
    玉虫色に納めるにしても、もう少し知恵や奥行きや
    風格や緊張感のあるアイデアはないのでしょうか。

    いま、霞ヶ関に大人は居るのでしょうか?

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  2. ガダルカナルで兵隊を何万人も餓死させる作戦を誰にも止められない国ですからね.今もそのままだってのが心底驚く.

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