2018年11月1日木曜日

【回路設計】業務トラブル事例について (判る人だけ爆笑せい)

回路設計者の皆さんなら判ると思う、業務上のトラブル話です.

登場人物は、あの方、ヒラサカ の2名です.
あの方とわたしとは旧知の仲で、あの方のアナログ回路に対する造詣はわたしよりも優れています.ただし、それ以外にはあまり知識がありません.
わたしはアナログ/デジタル/ソフト/メカ/マネジメント/金目となんでもござれなダンドリ君です.(ソフトとメカは、技術者の行動原理が解るってぐらいだけどね)

あの方は、個人で電気設計事務所を経営しているのですが、お金の話に疎いので経営に苦労しているみたいです.

以前、あの方がproducerをやったprojectで金で揉めて決裂したことがあったので、わたしとしては前科一犯と認識しており、今回あの方と仕事をするにあたっては、金目のハナシはきちんと合意したうえで取り掛かりました.設計費用は言うまでもありませんが、デモ要員や打ち合わせなどで外出したら日当を請求しますとか、ヒラサカは工数売りであってコンサルでは無いとか、開発業務なんだから失敗してもかかった工数は請求しますよとか、そんな諸々です.

あの方が当ブログを読むかもしれませんけど、べつに読めばいいさ.それで少しは経験値upしたらいいんじゃない?

むしろ、別の知人がこれを読んで、「あの方ってXXさんじゃね?」ってゲラゲラと笑う場面が目に浮かぶわ.

以下では、あの方とした仕事の呆れた顛末を書きます.かな~りぶっ飛んだ事例かと思います.

日付などを脚色してますけど、大意は外してません.

ーーーーーー
5月1日
あの方から仕事の依頼、口頭で「XXXで測定し、精度10nsを目指す」

原理に新規性があるので口頭で10nsを目指すと言われても何も出来ない.あの方から技術開示も無く、締め切り日も聞いてないし、待ってるしかないまま1ヶ月が経過.
ただ途中で、あの方からFPGAの品名などという素っ頓狂な質問が来たけど、そんなの議論の価値は無いので「べつに何でも」ぐらいを回答.あの質問は何だったんだろう?

6月1日
あの方から唐突なメール、「試作品を8月1日にイベントに出品する」(爆笑)

なんだよそれ.
だって、まんま口頭で「XXXで測定し、精度10nsを目指す」しか聞いてないのよ.あの方が技術開示もしないし仕様書も寄こさないまま無為に1ヶ月経ってしまったのよ.なのにあの方は、ヒラサカの完璧なる業務遂行が絶賛進行中であると疑っていなかったのだった.ダンドリ無能でやばすぎる.
   あの方の認識    100%
   ヒラサカの認識       0%
基本ラインでここまで認識に乖離が生じる場面ってちょっと考えられない.後に判明するのだが、デバイスリスクなんか眼中になく、FPGAなんつうノーリスクな部分にリスクが集中しているとでも思っていたらしい.はぁぁ?
だからだろう、メールの最後にあった一言が傑作なんだ.
「FPGAはMax10でもできる?」
オレいま、机バンバン叩いて爆笑中なんだよ、ひー腹いてえ、ぐぁー

ここで「無茶言わないで」と少なくとも一旦は決裂するべきだったのだろう.しかし、わたしも50歳を過ぎて、温和な人間になったということなんだろう.8月1日に間に合わせるためにはといろいろと考えたわけさ.温和になったというよりもバカマジメに堕落した己を戒めなければならんな.

6月2~19日
ヒラサカが様々な質問をあの方に投げる.するとあの方は、自分が想像だにしなかった着眼を得て、あの方自身ではまとめられなかったであろう全体構想を、ヒラサカの質問に回答するという形でまとまりのある物に昇華していったのだった.

だがこの時点で、ヒラサカの業務は大サービスなわけだよ.
なぜなら、ヒラサカは工数売り屋さんなわけで、コンサルではないのだから.
べつにいいんですよ、コンサルを兼務してあげても.だけどコンサルもやって欲しいなら割り増し料金を支払ってね.でもわたしはコンサルじゃないのに、親切にもコンサルをやってあげたわけさ.

だけどねぇ、あの方はヒラサカに大サービスさせているコトを全然察知できない人なんだ.マネジメントや金目がてんでダメな人なんだよ.
もしもあの方が100%ピュアに信じていたように、「XXXで測定し、精度10nsを目指す」の一文だけで開発をスイスイ進めていたとしたら、そいつは超能力コンサルタント兼超能力設計者でしょ.超能力高額な費用を支払ってもらわなくちゃいけないよね.

6月20日
質問と回答を繰り返して、8月1日デモに必要な仕様はあらかた整理できた.ヒラサカは超能力親切にも「開発構想書」を書いて渡した.

それで設計に取り掛かれるか?     →もちろんダメに決まっている.

そもそも、5月15日かそこらの時点で、あの方が自発的に要求仕様書を発行しなくちゃいけなかったわけだ.ヒラサカは設計工数売り屋なわけだから、ヒラサカが要求仕様を決めるなんてことは1ppmもあってはならないはずなのだ.

ところがさぁ、あの方ときたら、ヒラサカコンサルの質問に答える形でずるずると断片情報を出すだけで、「要求仕様書」を書く気配が無いのよ.

しか~も、ずるずる回答の中にトンデモないものがあった.
「精度1ns」  (核爆発級)
こっこいつ、、、自分で何も考えないどころか、5月1日に口頭で10nsだったのを、シレッと10倍厳しくしてきやがった.さすがにこれには噛み付いたよ.

それで、ぎゃーぎゃークレームメールを打ったんだ.穏当な表現をするなら「あなたが仕様書を書くべきなんですよ」って.オレの仕事じゃないよって.理解できる?って.

そしたら、その日夜遅くに「要求仕様書」がメールで来た.しかしその内容は、ヒラサカの質問に回答する形で決着のついた内容のみだった.お詫びは無かった.

ちゃんと筋を通せってことだが、筋とは何かがわからないのだからそろそろ意思疎通の難しさも限界ってところだった.

7月15日
8月1日デモには間に合わないという意味で開発は失敗した.あの方に断念を意見具申した.

なにが起きたのか?
デモ機はデバイス+ロジック+ソフト からなる.リスクはデバイスに集中している.
スケジュールがギリギリだった.なにせ8月1日にデモだと言うだけ言ってるproducer様ご本人が、ヒラサカにガミガミ怒られてようやく6月20日に要求仕様書を出してくる体たらくなわけで、「もしノートラブルで進行したらデモ機が間に合う」というギリギリプランに堕落していたのだった.
ところが、デバイスリスクが顕在化してしまった. ← 終わった! デモ無理

あの方とヒラサカの議論
  あの方:   デモは是非行いたい、諦めない
  ヒラサカ:あんなに放置プレイしといてよく言うよ
  ヒラサカ:デバイスリスクが顕在化しちゃったんだから素直に死ね
  あの方:   デバイスリスクは先々にゆっくり潰せばよい、今はデモにfocus
経験値upでどうにかできる次元に存在してないな、この人は.
喩え話をすると、「デバイスリスクは先々にゆっくり潰せばよい」はこうゆうコトだ.
  あの方:   不動産開発projectをやる
  ヒラサカ:資金調達の目処は立ってますか?
  あの方:   資金は開発完了後にゆっくり調達すればよい
  ヒラサカ:ひぇ~
高次元存在かよw  テレサかよw  正解するカドかよw


わたしは本projectへの関わりを打ち切りました.回路図と試作品を渡す、費用請求もしない、もうそっちで勝手にやって下さいということで.あの方にはお金が無いのでむしろ望外なオファーだったのではないでしょうか?

でも、8月1日に所望の仕様のデモ機を出品はできないでしょう.

ーーーーーー
しかしねぇ、なんでこうも事態をこじらせるんだろうなぁ.
  無茶な計画
  kick offしたらproducer業務終了
  放置プレイ
  何もやってないのに全能感だけはある
  リスクの無視
  リスク克服の先送り
  協力者の離反
  MAX10とか言ってる場合じゃないだろ(爆)

でも本人がこじらせてることに気づいてないんだろうから、まっいいか?

はっぴーはっぴー、ハッピーシュガーライフ~

4 件のコメント:

  1. 実在の人がいるとコメントし辛いです~。
    お疲れ様でした。

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    1. murasaki殿はこの手の話題が三度の飯よりも好きそうなかんじです.

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  2. 地獄プロジェクトはやるのも見るのも大好物です~。( ^o^)ノ
    上記事例も語りたくてしょうがないですが自粛致します。

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