「宇宙戦艦ヤマト2199」を観ました. (第二章の感想はこちら)
出渕裕が70点の演出家ですから、名作をリスペクトして作って80点がやっとだったと思われます.演出の問題点は、説明が過剰なためにかえって感情移入を拒んでしまう組立になっているため、旧作よりも感動が不足してしまっています.惜しい.
旧ヤマトの波動エンジン始動のシーンをまずはご覧ください.このシーンは、超大型ミサイルが飛来 → エネルギー充電 → 島が始動に失敗 → 再始動するもエンジン無音 → 古代がいらつく → 沖田のどアップ → 次第に高まるエンジン音 という組立になっていて、視聴者も古代君になりきってドキドキしてしまうようになっています.
ところがこのシーンがヤマト2199ですと、始動に必要な電力を世界中の国々がヤシマ作戦のように緊急融通してくれたという説明が追加されていて、サラッと波動エンジンを始動して発進できてしまうんです.人類の希望が失われるかもしれない瀬戸際感を減退させる演出です.これは劣化です.地球防衛軍長官が各国の元首と会話するシーンなんか不要で、そんなシーンを入れるから尺が足りなくなるのさ.
つぎに、超大型ミサイルの爆煙の中からヤマトが発進するシーンを観てみましょう.このシーンは、ヤマトの生死がわからなくなった画面から、煙の尾を引きながらヤマトが顔を出し「あのBGM」が流れるところが演出のGOODなところです.
ところがヤマト2199では、「あのBGM」がかかるタイミングが10秒ぐらい早いんです.その結果、主砲発射でめでたく発進という演出になってます.そして爆煙が映った時点でヤマトの艦体はすでに半分ほど見えていて、緊張感が持続しづらくなっています.これは劣化です.
というようなわけでして、先日お亡くなりになった石黒昇監督がヤマト2199を観たら、「オレの演出に較べると甘いなぁ」と思ったにちがいないです.出渕裕監督と聞いて感じた一抹の不安が現実になってしまって、まことに惜しいと思わざるをえません.
メカの機動にはとくに不満はないですけど、びっくりするほど良かったわけでもありません.想定の範囲内でした.ゆきかぜが特攻して集中砲火されるシーンは、旧作のほうが墜ちる前に全弾打ち尽くせ感が漂って悲しくてよかった.
メカの描き込みは、エバ破の宇宙船の執拗な描き込みに慣れてしまったのが悪いんですけど、エバ破に較べるとヤマト2199のそれは2段階落ちぐらいでした.
細かい話で、羽を開くシーンは2199では上空から俯瞰する画面レイアウトになっていました.これは下から見上げる旧作のほうが好きだな.作画が簡単だから下からの画面にしただけなのかもしれませんがね.
OP絵コンテを庵野が描いたそうですが、印象的なOPアニメだとは感じられませんでした.
設定が変更されている部分は、物語が始まる1年前にイスカンダルから波動エンジンの設計図が届いていて、サーシャが運んできたのは波動エンジンのキーコンポーネントなので、それを受け取るためのおとり作戦が冥王星海戦だったという設定になっています.あと、真田さんが謎の装置をヤマトに積み込むシーンがあって、この装置は2199のキーになるのではないかと予想されます.
今回の上映では地球を離陸するところまででした.次回は6月のようです.予告編によるとワープがカッコイイかもしれません.もちろん次回も必ず劇場で観ます.次回はワープと波動砲と浮遊大陸のあたりですかね? 楽しみなんだぜ!!
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