オッペンハイマーみます.16時の回かな.
観る前の予想では、
・映像はすごい
・原爆の描き方はUS人の思慮深さぶりっ子のオナニー
・観終わってアホくさと思っているヒラサカ
どーなりますかねー?
15:35
さっきまで日比谷tohoに居てとんぼ返りで六本木toho。映写室にはTCXとかいう看板がついてる。
客層は男性女性が5:5ぐらい。意外に女子多い。20歳台は少ない。
思慮深く苦悩するオッペンさんを軸に描くのではと予想します。
実際は「京都に落とそうぜぇ」とノリノリの科学者(ノイマン)とか、超破壊マニアの軍人だって居ただろうに、そうゆう人を捨象してオッペンさんだけにfocusする事によって、「思慮深い俺達」という嘘の満足をUS人に与える映画なのでしょう。
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19:25
観ました。
上で書いた予想ほどには酷い映画じゃなかった。
けどオススメはしません。日本の興行は伸びないと思います.
暗い画面、おどろおどろしいBGM、強迫神経症的な演出、核爆発シーンは評判ほどではない、セリフ多い、時間シャッフル多い、判りにくい、破綻は無いが絶賛するほどじゃない。アカデミー賞って不思議な作品を高評価する場合もあるよな。
簡単には↑こんな感想。
上映は3時間です。3幕からなります。
1時間目
プリンストン高等研究所へ招聘される辺りから始まる。アインシュタインに会ったりする。
2時間目
ナチスが核開発してるので「USも原爆作ろーぜ」「全米の物理学者結集だ」「場所はロスアラモス」などとイケイケでプロジェクトリーダーに就任する。核の点火に成功。ヒーローになるオッペンさん。
3時間目
広島長崎に原爆投下。核拡散に反対。戦後の赤狩りで共産主義者ではと疑われるが、疑惑が晴れるオッペンさん。
3幕目にドラマが詰まっているけれど、重要度は低いと思った。
この3幕のシーンがしっちゃかめっちゃかに時間シャッフルされているので判りにくい。
例えば、赤狩り査問会で奥さんの前で共産主義者の女との浮気を証言しなくちゃいけなくなる。その浮気関連シーンが時間シャッフルで後出しだったりする。(あの奥さんはボーダーラインの捜査官じゃね?)
そもそも映画の冒頭が査問会だったかな。とにかく時間シャッフル多い。
平均的US人の知的水準でこの映画を一発で理解できる気がしません。それなのに客はたくさん入ったそうで、なんでかよくわからない。日本での動員はあまり伸びないと思います。
科学者について.
エドワード・テラー(水爆の父)がチー牛みたいな奴で良かった。
テラーが空気中の水分に無限誘爆すると予想したので、オッペンさんがアインシュタインに意見を求めに行くと、アインシュタインとゲーデルが散歩してるシーンは良かった。アインシュタインはちとデブでした。
ボーアとハイゼンベルグも出たな。ボルンも出てたのか?
ノイマンは登場しなかったと思ふ。
海外から伝わる感想によると、「原爆起爆シーンで過呼吸になりそう」とか言われてたけど、全然フツーでした。あれはフツーとしか言えない。
単純に爆発の描き方だけで言えば、巨神兵が王蟲を薙ぎ払った1撃目の方が高迫力だと思ふ。
オッペンさんの思想がどう描かれていたかと言うと、、、予告編の苦悩する雰囲気とは全然違いました.
共産主義にシンパシーありだが、共産党員ではない.共産党員の浮気相手が居た.
ナチスへ対抗するため原爆作るで一貫していたが、核実験の時点でナチスは滅んでました.そんな情勢でオッペンは「日本に核を落とすのもやむを得ない.なぜなら核の威力を知らしめれば戦争抑止力になるから」というスタンスでした.意外と核賛成派なんです.ただし相互確証破壊(MAD)信者ではない.ゆえに軍拡競争には反対で、軍やWHへ水爆開発の懸念を上奏してた.その態度が戦後の赤狩りで共産主義者と疑われる素地ともなりました.エドワードテラーと不仲になるのもそのせいでした.
ロスアラモスで核実験が成功したとき、職員達は大喜び.トルーマンも大喜び.そういった核開発万歳な人々を描いていたのは正しい映画でした.テラーはいつも「水爆やろうぜ」言ってるし.
尺が3時間あるうち、オッペンさんが反核の立場を鮮明にしたのは3幕目の半分ぐらいの分量でした.なので、本作が反核オナニー映画だとは思いません.かといって核開発礼賛では映画になるわけもない.
じゃぁstoryの主軸は何だったのかというと、、、3幕目でstoryが赤狩りに飛んでしまって、オッペンさんを共産主義者疑惑で失墜させようとした黒幕はXXXでした.という推理小説かサスペンスめいた展開になる.USの近代史に疎い日本人には理解するのが難しいんじゃないかと思ふ.
核エネルギーの解放は人類にとって巨大なissueなわけです.1幕目と2幕目がそれでした.なのに3幕目がWH界隈の権力抗争に下がってしまいました.不揃いな2重構造脚本に感じられます.わたしはそうゆうのを減点します.オッペンさんの思想の判りにくさに脚本が振り回された感じがするです.storyに破綻はないけどなんかイマイチ.
前半の高いpotentialに比べて後半が盛り下がる減点作品にはちょくちょく出会います.欲の出し過ぎか、サービス意識の過剰か.
「君の名は」 片割れ時までの前半と、後半は彗星落下の賑やかし
「アリスとテレスのまぼろし工場」 不死のセカイの前半が、後半は秩父脱出に堕落
というわけでオッペンを厳しく査定して、5段階評価で3点というところ.
この映画は20年早く作られたらもっと切実な恐怖映画になれた気もします.ウクライナ戦争が核兵器を使わないので核兵器=人類滅亡の恐怖が遠ざかりましたから.
※絶賛する評論家とか映画ライターがうようよ出てくるだろうけど、わたしの感想の方が参考になると思うよ.絶賛するライターはインチキです.原稿料を貰ってる身だから仕方ないんだけどさ.
あでゅ~