このリコールの技術的内容はネットを探したけれど見つかりませんでした.トヨタの説明によると下図のように、すぐ隣を走っている車からのミリ波の反射は遅延時間が短いのであわや衝突寸前と判断してしまい、高速道路上で急ブレーキの末オカマを掘られる事故が何件か起きたそうで、オカマを掘った側は悪くもないのに悪役にさせられてすごく悔しい気持ちだろうと推察します.
この衝突防止装置の誤動作によって死亡事故が起きたりしたら、刑事責任はどこにあるんでしょうか? 目下のところたまたまオカマ事故だけで済んだからあまり問題視されてませんけど、かなり深刻なPL問題ではないかとわたしは思います.トンネル内で生じた急ブレーキのせいで後続車が玉突き衝突しトンネル火災になって死者が多数なんてことになっても、自動車メーカーはお咎めなしで、玉突きしたドライバーの運転技能の問題に帰されるとしたらそんなバカな話はありません.今般のトヨタのリコールに対して経産省から重視している等のコメントも出ないし、トヨタのファームウエアの変更点が具体的に何なのかの解説もニュースにならないし、そんなことでいいのでしょうか? (自動車のリコールは経産省ではなくて国交省でしたorz)
というわけで、今回のトヨタのリコールでソフトウエアのどこが改造されるのかを果敢に予想してみました.
前者の距離を測定する衝突防止装置にとっては、隣車反射波は邪魔者ですので、隣車反射波をなるべく拾わないようにミリ波アンテナに鋭い指向性を持たせていると推測されます.その結果、下図のように前車には高感度、隣車には低感度という性能差を、アンテナの指向性で作りだしていると予想します.これは無線の混信防止のためにつかう基本的な手段です.
①最初にレーダーの発する電波の漏れが巨大に受信されるはずです.
②次にすぐ隣を走行しているけれどアンテナの指向性のおかげで低感度な隣車反射波が観測されます.急ブレーキを踏むほど近いということで1mぐらいと仮定すると、往復2mを光が進む時間差は約7nSecぐらい経って到来します.
③前車反射波が高感度で観測されます.前車との距離は余裕でもないけど10mもあったとすると往復20mを光が進む時間差は70nSecぐらい経って到来します.
しかし、現実にそんな危ないクルマを出荷するほどトヨタもバカではありませんから、なんとかして隣車反射波なのか前車反射波なのかを区別できないかと知恵を絞るわけです.知恵を絞った結果、上図のようなしきい値を設けておき、しきい値未満なら無視するようにすればいいじゃないかと.ちなみにこのしきい値は、近くのエコーには大きく、遠くのエコーには小さく設定するように傾斜を持たせているとも推測されます.直線近似ではなく、逆2乗で設定されているんじゃないかな?
高速道路で数件起きた急ブレーキ事故のケースでは、このしきい値プロファイルが小さすぎてたか、アンテナが右か左に曲がってついてたかして、隣車反射波であるにもかかわらず前車反射波であると誤解する羽目に陥っていたのではないでしょうか?
そして、今般のトヨタのリコールでソフトウエアを修正するというのは、この『しきい値プロファイル』を上にずらすように変更するだけではないか? というのがわたしの予想です.その修正の結果、隣車反射波を確実にネグレクトすることができるようになるのです! とても安心ですね! さすがトヨタだ!
市場をスクリーニングに使うな! > トヨタ殿
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追記:
レーダー受信機をフロントの左右に配置して、オブジェクトの距離だけでなく角度の測定もできる仕組みも考えられるなぁとさっき首都高を走っていて思いました.このシステムならアンテナの指向性はむしろブロードの方が好ましいかと思います.でも、この仕組みだったらどうして隣車反射波で誤動作するんだと謎は深まりますが、、、
かしこ
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