当ブログのpvが多いのは、基本的には「謎の彼女X」のようなオタク記事でありますが、政治経済の記事が意外にきちっとpvが伸びます.飲み会の席なんかで政治経済の話題をするのはあまり品の良いこととは位置づけられていないけども、興味はあるってことなのかと思っています.今回は2012年最後の政治経済ネタです.
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日経平均が¥1万になったのに刺激されたのか知らないですけど、学者とか評論家とか経営者団体が新政権の政策を支持しますと寝返って、オマエらいままでとは言うことが逆じゃね?みたいな者が続出しているこの頃ですが、ビックリなのが竹中平蔵がつぎの日銀総裁になるかもというこちらの下馬評ニュースです. http://news.livedoor.com/article/detail/7253802/
竹中平蔵は維新の新自由主義的政策をつくった謂わば今回の選挙では自民党の敵に回った人だと思っていたので、その竹中平蔵が日銀総裁とはギャグかと思っちゃったです.
新自由主義者の中でそれなりに発言力がある竹中平蔵ですから、日銀総裁に持ち上げて政治活動の自由を制限する効果ならあるかなぁなどと思ってしまいました.竹中なら少なくとも金融引き締めをする心配はないはずだし.まぁ、この時期に噂になる意外な人事は当て馬にすぎないでしょうから、ギャグで終わるのでしょう.なかなかおもしろいギャグでした.
わたしはグローバリストとか新自由主義者が嫌いだと何度も書いてますけど、それはなぜか?
最初に彼らが世の中でメジャーになったのってUKのサッチャー首相が最初だったかと思います.当時のUKはゆりかごから墓場までといわれた福祉支出で国家予算が逼迫し、労組が強すぎて産業競争力がダウンしてUK全体が沈滞していて、そこに国民よ自己責任でやってくれと言って登場したのがサッチャーだったと理解しています.
当時のUKでサッチャーが「自己責任でやれ」と言ったのはUKにとって有意味な処方箋だったとは思いますけど、政治と官僚のお手盛りを排するための方便として「市場の決定に任せよ」というドグマが追加され、あまつさえ「国家よりも市場が優先する」と言わんばかりの極端なドグマが完成するに至った.その「市場最優先主義」を信じているのが竹中平蔵なんじゃないですかね?
もちろん市場に任せるに然るべき事象が多々あるのは承知していますけど、市場こそが「最優先」というのはおかしいと思います.人間がどこにもいないじゃん.
わたしは日常会話や飲み会の席でガチで政治談義をするのを厭わないようにしています.それで左翼の人と話すのも全然嫌じゃないのですけど、彼らのことをおかしいなーと思うのは、彼らって、マルクスか反原発かしらんですけどなにかドグマを決める.そしてそのドグマにマッチしない事象は革命で打倒すべき事象なので分析や理解の対象から外してしまう、という思考形態であることです.だから現実感のない脳内風景になってしまうように思います.なんでそんな風に思考をあの世に飛ばすのが好きなんだね?
で、そんな左側の人の思考形態と、新自由主義者の思考形態って、こいつら似てるなーと思うんです.新自由主義者のドグマは「市場」なわけで、市場で価格決定されるメカニズムに未だビルドインされていない、日本の医療も農業も教育も行政も改革で打倒されるべき旧体制であり、そんな旧体制の現状分析や手当なんてする必要はなくて、ただただ市場を導入して優者必勝劣者必敗を黙って看過していればいいのだ、という無茶なセカイを実現させたいわけでしょう?
極左と極右は似たもの同士っていうことわざがありますが、その通りだなと思います.
じゃぁヒラサカはどうしたいんだい?というとケースバイケースで決める主義でいいんじゃないですか? ドグマなんか決めるべきではなく、各々の事象ごとに分析して特殊解を求め、失敗したらゴメンナサイと素直に謝って臆面もなく解を修正すればいいでしょというヒヨヒヨ主義とでもいいましょうか?
念のため、冒頭のオマンマが食えなくなるので続々と新政権の金融緩和路線賛成に寝返るような人々とは一緒にされたくないです.彼らはオマンマのために所属組織の方針で喋っているだけの意志のない木偶人形ですから.頭の出来だけはいいかもしれないけど.
わたしが当ブログでチクチクと語ってきた、金融緩和で円安株高にするのがひとまずいいんじゃないの?という読みは、市場を信任してるわけですけど、べつに市場を神様扱いしているわけではなくて、国民経済の発展のためにならたかが市場ごときはシステムの構成物として利用しちゃえばいいじゃない?ってスタンスです.市場はそこにある、だが神様ではない.
これが左寄りの人的には、金融緩和なんかしたって儲かるのは株やってる金持ちだけじゃんと野田元総理が言ってましたが、それは「マジメに働けドグマ」に縛られている発想であって、たかが金融緩和ごときで株が上がることのどこが悪いんだ?というのがヒヨヒヨ主義者であるわたしの考えです.
一方で、新自由主義者が唱えるウソ理論で「トリクルダウン理論」というのがあります.企業が儲かる→企業が給料を多く支払う→社員が儲かる→国民が幸福になる という理論です.これって、多国籍企業には当てはまりません.いま、ソニーの国内拠点はどんどん閉鎖されていますが、それでもソニーの連結売上は7兆円とかのまま維持されているっていうことはなにが起きているかというと、日本人に支払う給料が減って、外人に支払う給料が増えているっていうことです.日本国民の懐具合への貢献度が低下しています.でも、新自由主義者が信ずる「市場最優先ドグマ」によれば日本人への給与支払額の減少は問題じゃないんですよ.竹中平蔵の政策眼に映る労働者とは、日本人労働者ではなくて、どこかの国の労働者なのですから.「市場最優先ドグマ」を日本の政策に反映されたら大変なので反対!というのがわたしが維新を非難していた理由の一つです.日本人を幸福にすることを目的としない理論を信ずる政党なんか勘弁してほしいです.
そんな各方面の綱引きの中で、リストラはけしからんと多国籍企業を責める勢力もいるかと思えば、リストラが不足しているから日本企業はダメなんだと主張する勢力もいます.でもそれらは、企業の足腰を支える交易条件すなわち円高株安・デフレという最大のファクターをあえて無視した「所属組織のご意向に沿った世論誘導」というやつです.前者は労働組合の闘争方針ゆえの世論誘導であり、 後者は新自由主義者が日本人労働者を市場に放逐させたいゆえの世論誘導です.
正しい解はたぶん、「マジメに働けドグマ」とか「市場最優先ドグマ」から導出された程度の単純なローカル解なんかじゃなくて、はるかに複雑で時間のかかる国家経済運営スゴロクであって、金融緩和して円安にして企業収益を上げて公共投資もそこそこやって国内景気を良くして国内投資を復活させてGDPを拡大させて増税に頼らずに税収を上げて、でもあまりにも円安にしすぎると石油の輸入代金が嵩んでインフレになるからそこそこ安全が確認された原発から再稼働させて再処理問題もきちんとやって、USAはTPPに参加しろとうるさいけどおいしいとこどりしかする気がないけど尖閣があるんであまり邪険にも扱えないのでのらりくらりと引き延ばしてとか、、、、、ドグマなんかに頼れないタフでドロドロなスゴロクを分の悪い出目を受諾しつつ進めてゆく覚悟をする態度こそが正しい解なのだろうとヒヨヒヨ主義者的には思います.
思うに、↑こういうドロドロ情況を知るだに不安になってビビってしまうマジメな人が一定数存在して、そういう人が反原発とか、TPP賛成とか、TPP反対とか、中国と戦争だとか、尖閣を中国にくれてやれとか、ハイパーインフレだとか、増税とか、なにかにつけて極端な「ドグマ的解」を求めるんだろうなぁ.ぼんやりとした不安に耐えられるだけの賢さを身につけたらどうですか? 野田元総理の「決められる政治」っていうのは、「白黒をはっきりつけないと不安になる頭の悪い人のための政治」だとわたしは思います.野田本人の頭も悪かったようですがw.
最後に、維新に投票した人へ.-----比例区全国の得票数=自民:維新:民主=1600万:1200万:960万と意外に多いんだ------ http://todo-ran.com/ts/kiji/15167
脱官僚したら政治主導になるというのは維新の政治家の無能力さをさけおけばまぁハズレではないのでしょうが、問題はその次の段階です.維新の政策を竹中平蔵が作ったということは、官僚という神様を倒したら、次は市場を神様にしますっていう意志の現れだと思われます.官僚という仕組みに丸投げしてきた反省を解決するために、次は市場という新しい神様を打ち立てることだって気づいていますか? しかもその神様は日本の神様じゃなくて、外国のたぶんUSAの神様になりますが、そんでいいんですか? 新自由主義者のいう市場というのは、USAの市場ルールのことですからね.そして市場最優先主義の論理的帰結として政治主導は完全に否定されますからね.政治不在・人間不在の極端理論として共産主義と新自由主義は似てるんじゃないですか?
比例で維新に投票した1200万人が、商社マンのような国際取引で働いていて市場の実態を知ってそれでも市場好きな人ばかりだとは思えないとすると、ぼんやりとした不安に駆られてコロッと騙されたクチがそうとう多いんじゃないかと心配になるわたしです.いくら自民や民主がダサそうに見えたからと言っても、竹中平蔵がいる維新はチト筋が悪すぎるんじゃないですか? -------その竹中が自民に寝返りつつあるっていう笑えない噂もあるみたいで、何を信ずるべきか謎ですがw-------
というか、新聞とテレビだけ見てたら維新萌え~と判断をするのがフツーなのかな???
本年は当ブログの偏らないのがかえって偏よりというイデオロギー色の濃い文章を読んでいただきまして、ありがとうございました.
ではまた来年.
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