2014年10月18日土曜日

青色LEDの中村さん、発明は会社に帰属してはいけない?

青色LEDのノーベル賞学者の中村さんが、発明の報酬をもっと支払えと日亜化学を訴えて、一審で200億円もらえる判決が出て、二審で6億円に減って、それで双方矛を収めたと記憶しています.

いま、業務上なされた発明が会社に帰属するように特許法が変更されようとしていて、
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO78566680Y4A011C1EE8000/
中村さんとしてはそれに猛反対しています.
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141018-00000007-asahi-bus_all

このへんについては、いろいろと思うところがありまして、わたしが考えていたコトを時系列順に書きます.

訴訟~ノーベル賞直前まで
中村さんはビッグマウス過ぎて、いかがなものか?と思っていました.(今もだけど)
なぜかというと、
1) 中村さんが、2万円しか報酬を受け取らなかったというのは、ほとんど嘘と言って良いくらいの眉唾な主張である.日亜は最終的に中村さんを役員待遇まで持ち上げています.日亜が研究費用を何億円も出費したのは言うに及ばず、日亜の社員として海外留学までさせてもらっているのだから、育てていただいた日亜には感謝しております、というのが事実に基づく妥当な態度だと思う.

2) 中村さんは、「報酬が少ない日本企業全部がダメだ」と主張した.これは、戦線を拡大しすぎの失敗であった.法廷での争点は中村vs日亜の報酬闘争に過ぎないはずなのに、日本はダメと主張するのは無駄な反発を招くだけである.さすがはビッグマウス.

3) 中村さんは日亜を嫌いである.会社と反りが合わないなんてのは、夫婦の離婚みたいな「犬も食わない」類の個人的要件に過ぎない、謂わば個人の嗜好や私生活を晒すような行為である.中村さんは報酬闘争だけでは飽きたらず、日亜を最大限disりたかったようだ.もしかしたらそれこそが彼の勝利条件だったのかも知れない.
闘争戦術として「報酬が少ない典型的悪しき日本企業=日亜」という図式をブチ上げた.だがそれは(1)で述べたようにかなり嘘であるし、中村さんvs日亜の闘争を、日本人サラリーマンvs日本企業の図式にスリ替えて日亜を叩くという大衆操作戦術はかなりダーティーだと思わずにはいられない.やはりビッグマウス.

4) やぶれかぶれの開発技術者は心情的には好きだが、日亜との闘争戦術で顕わになった中村さんのダーティーさは、中村さんのブランド価値を自ら毀損した.優秀な人だろうに、残念なことだよ.ビッグマウスは損である.

ノーベル賞受賞の時点で
上で述べたように、中村さんはそのダーティーな闘争戦術によって自らのブランド価値を毀損したとヒラサカは見ている.それに気付いていない一般人でも、訴訟で勝ってもまだ文句言ってる五月蠅そうな人ぐらいに見ていた人は多かったのではないかと思う.
し・か・し、、、ノーベル賞を授かったコトによって、出る杭だからこそノーベル賞を穫れたんだね、という風に、マイナスをプラスに転じるコトに成功した.だから、中村さんがノーベル賞のニュースを知った時にわたしは、「中村さんノーベル賞穫ったかぁ、よかったじゃん」と歓声を上げてしまったのでした.ビッグマウスだけど、ツイてたね、よかったね、中村さん.

現在
特許法が変更されようとしています.
現状は発明者は個人であり、会社がその権利を買い取るシステムです.
変更後は、会社が発明者になるんだと思う.
中村さんはこれに反対しています.

わたしは業務上の発明は会社に帰属するのでよいと思います.エジソンが活躍した時代では、多くの発明が個人的に為されていたでしょうけど、技術が複雑高度化した現代では、例えばプロセス技術のように個人が発明する余地はもはや無く、企業活動を通じてこそ発明が為されるだろうから.中村さんのLEDもそうでしょう.

ゆえに本当の争点は、発明者に支払われる報酬を増やすコトのはずです.もしも現状を維持して、発明者は社員のままだが、自動的に会社に権利を売り、報奨金を2万円しか受け取らないのでは何も解決したコトにはなりはしない.しかもソニーなんか退職したら報奨金くれないからね.HPは退職後でもくれたけど.
法案では、発明報償規定を各社が定めるように求めているが、日本商工会議所などは「めんどくさい」と反対しているとか.おいおい反対するなよ.

もっとも、各社が発明報償規定を定めたら発明者に支払われる報酬が増えるわけもないわけで、中村さんがやったように、判例の積み重ねでしか解決しないのが本質だと思います.だから、中村さんが「もっと発明報酬を支払え」と裁判に訴えたのは、偉大な先人の功績として奉られるべきだと思います.

だからこそ中村さんに求めたいのは、発明が会社に帰属するのがけしからんと批判するのではなく、発明報償規定のガイドラインぐらいは国が定めよと主張して欲しい.それが中村さんの望む方向性ではないのだろうか?  (経済活動に国が口を出すな、という批判には甘んずるが、、、)

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以上、中村さんのノーベル賞は目出度いし、遠くから見ている分には中村さんを好きだし、LEDの功績も報酬訴訟の功績も評価する.しかし、ダーティーな戦術が過ぎる人だな、というハナシでした.

かしこ


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2 件のコメント:

  1. ソニーOB:佐藤2014年10月19日 0:40

    今日は試験ですね。
    私も今日は職業訓練開発職の採用試験の1次試験で筆記(SPI2かな?)と小論文と集団面接とてんこ盛りの一日です。まあ受けられるなら受けてみようという感じで仙台会場もあったので応募した次第です。さあがんばるぞ!平坂さんもがんばって下さいませ。

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    1. よしっ、でも早死にしてますのですの.
      会場は大崎東TECから歩いて行ける場所です.
      試験はたしか13:30~だったかな.
      そちらは、なんだかやけにハードなご様子ですが、ご武運を祈っています.

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